
写真:沼津市のラブライブサンシャインのファンによるイベントにて@2017年
あいちトリエンナーレ2019が閉幕。65万人以上で過去最高の入場者数を記録@美術手帳2019/10/14より
8月1日に開幕した「あいちトリエンナーレ2019」が、10月14日で75日の会期を終えた。入場者数は65万人以上で、あいちトリエンナーレ史上最高を記録したという。
さて旧聞になりますが本blogでも取り上げました愛知トリエンナーレが10月14日に終了しました。
あいちトリエンナーレに思う
あいトリ補助金問題、宮田文化庁長官が初の発言。「不交付決定を見直す必要はない」@2019/10/16より
あいちトリエンナーレ2019と補助金不交付決定をめぐるタイムライン
7月31日 宮田亮平文化庁長官が「第一報」を受ける(予算委で証言)
8月3日 菅官房長官「適切に対応していきたい」と発言
8月3日 「表現の不自由展・その後」展示中止
8月18日 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会「中間報告」について文化庁が進捗確認
9月19日 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会「中間報告」について文化庁が進捗確認
9月20日 「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業」26件のうち「あいちトリエンナーレ2019を除く」25件を交付決定
9月24日 不交付決定を起案
9月25日 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会「中間報告」を発表
9月26日 不交付決定
上は文化庁の補助金不交付問題に関する美術手帳にのっていた補助金不交付までの今回のトリエンナーレに関するまとめです。前回の記事の段階では「表現の不自由展・その後」の展示中止までしか抑えられていませんでしたが、そこから文化庁による補助金不交付の問題も出ています。 個人的な見解を出すならばやはり一度内定を出したならやはり補助金は出すべきだったと思います。たとえ合法であるにしても表現の自由が問題となっている以上、政治家が色々発言するのは仕方ないにしても予算などの実行するのは良くはないと思います。
・「表現の不自由展」をつぶした主犯は?
「表現の自由」を取り戻すために~アートとは、そして美術館の役割とは何か@江川紹子2019/9/11より
今回の企画展が中止に追い込まれた最大の要因が、大量の抗議電話だったことから、プロジェクトでは、アーティスト自らがコールセンターを設立することも提案している。演劇ユニット代表の高山明さんは、その趣旨をこう語る。
「我々アーティストが表現の自由を訴える一方で、最前線で県の職員が抗議の電話を受け続けてくださっている。その抗議の声を、我々アーティストが受けたらどうだろうか。その課程で、『公共とは何か』『公共サービスとは何か』を法学者などの専門家を交えて問い直していきたい。そして、電話対応について一定のガイドラインを作っていく。具体的には、電話対応の運営マニュアル。それによって、あいちトリエンナーレに限らず、公共の文化事業を今後も存続させていけるよう、今回の問題をプラスに転化して行けたら、と思っています」
さて表現の自由を揺さぶられたことで良くも悪しくも話題となった今回のあいちトリエンナーレ、さて今回この「表現の自由」を揺さぶった主犯はだれになるでしょうか?それはこのイベントに電凸した人たち、言うなれば一般の市民に他ならないのではないでしょうか? そして今回の件で市民がその気になってちょっと電凸すれば表現なんて簡単につぶせる、それが多くの人の目に留まる形で示されたのが今回あいちトリエンナーレの騒動ではないかと思います。
「表現の自由」を取り戻すために~アートとは、そして美術館の役割とは何か@江川紹子2019/9/11より
――会見では、日本では自主規制が日常化している、という話もされていましたね。
「日本では、誰が検閲の主体なのかが、なかなか見えないんですよ。もしかしたら議員のプレッシャーがあったかもしれない。あるいはプレッシャーをかけたのは役人か、館長か……。小泉改革の後、文化に関しても「官から民へ」ということで、美術家にも指定管理者制度を導入したり、民間委託されたりして、自分たちで金を稼ぎながら、美術展を開いていく、ということになりました。
昔は行政に直接雇われたキュレーターという専門職が美術展を作っていて、何が美術として価値があるのか、公的な美術館に何が置かれるべきか、という判断をある程度任されていた。今は、指定管理者に雇われ、役所や指定管理者、そこにいろんな人が入ってくる重層構造な権力構造になっていて、責任の所在もはっきりしなくなっています」
しかし不思議なのはこうして市民たちに表現の自由を奪われつつあるアーティストたちが主犯である市民に対して言及せず、議員・役人・官庁・指定管理者制度、全て市民とアーティスト・作品の間にある存在にばかり言及することです。確かに市民とアーティスト・作品の間に立つ彼らのアーティスト・作品を守る力が弱くなっているのは一因としてあると思います。しかし本来ならこういったことも投げかけるべきだったのではないでしょうか?「今美術館や役所などアートと市民の間にある存在が弱くなり、市民1人の1本の電凸で作品はあっという間に簡単に排除できる時代です。それ故に市民の皆さん、電話するなとは申しません。しかし考えてほしいのです、その作品は社会から排除されるべきものなのか、そしてそのアーティストの生活を奪うまでそれは憎たらしいものか?と言う事を」
・表現を守るためにアーティストは何をするべきか
私がまだ「プロなんだから連載を最優先するのは当然」と思っていたころ。ある作家さんに「有明を一回休んだら、僕の年収は300万減るんですよ!」と言われまして。マンガで食っていくとはどういうことか、何をもって商業と言うのか考えるきっかけになった一言です。#作家さんかく語りき
— 荻野謙太郎(フリーランス漫画編集者) (@gouranga_) 2018年10月16日
作品・製作者と市民・消費者の間にある存在が弱体化しているのは何もアートの世界だけではありません。活況を呈していると思われる漫画の世界でも同じことが起こっています。しかし彼らはその間にいる存在を愚痴るだけでなく、生き残るために別の市場を開拓していっています。これはコミケと言う独自の市場を作り育てていったからです。
これは何もマンガだけでありません。音楽の業界でも角松敏生をはじめとした凄腕のミュージシャンがインディーズでレアグルーブを追求していくために始めたAGHARTAと言うバンドがあり、「WAになった踊ろう」と言う曲を作って長野オリンピックの閉会式で素晴らしいパフォーマンスをしたという歴史があります。表現者として生き残り、より自由に作品を発表していくには、美術館の様な公的な存在に頼り切るだけでなく様々な市場を開拓し、多様なスポンサーを集めるというのも必要なのではないでしょうか?
・表現を守るためにファンは何をするべきか
あいちトリエンナーレ2019が閉幕。65万人以上で過去最高の入場者数を記録@美術手帳2019/10/14より
8月1日に開幕した「あいちトリエンナーレ2019」が、10月14日で75日の会期を終えた。入場者数は65万人以上で、あいちトリエンナーレ史上最高を記録したという。
話は変わってアートを支えるファンはどうでしょう。最終日に発表された入場者数は65万人強、個人的にはびっくりしました、その少なさに。あいちトリエンナーレのこれまでの入場者数は最高は2013年の63万人弱、前回2016年は60万人強、確かに増えてはいますし、過去最高と言うのも間違いはないですが、あれだけ騒ぎになってわずか8%ほどしか入場者が増えていない状況に違和感すら感じました。
東京藝大や京都の文化庁でも。あいトリ補助金全額不交付への抗議デモ@美術手帳2019/9/28
ReFreedom_Aichi --あいトリ2019を「表現の自由」のシンボルへより
現在の支援総額:11,412,009円
パトロン数:703人
碧志摩メグを認めてもらいたい!頑張るしかない!三重県観光PR動画プロジェクト!!より
現在の支援総額:3,352,000円
パトロン数:345人
確かにデモや署名運動が行われたという話はありますが、もう1つ必要だと思うのはイベントを支える地域やあるいはアーティストを経済的にも支えていく事ではないでしょうか?「表現の不自由展・その後」に関してはクラウドファンディングが行われ700人のパトロンから1140万円の資金が集まりました。
一方で同じように外部からのクレームで公認を外されたという悲しい過去を持つお隣三重県の非公認の萌えキャラ碧志摩メグも志摩地域のアピールのため都内にラッピングバスを走らせるためにクラウドファンディングが行われているわけですが、こちらは報道もほとんどなかったのですが345人のパトロンから335万円もの資金が集まっています。 こうしてみるとアートのファンは行政からの補助金ばかり期待して身銭を切らないけちんぼと言う風に見えてなりません。今後アートをシュリンクさせないためにはクレームで公認を外されてから3年近くたっても身銭を切って支えてくれる碧志摩メグのファンのような存在、外部にアピールし地元を中心に味方を増やしていく為の努力が必要となってくると思います。
・まとめ
名古屋駅の西側エリアに「アニメロード」構想が浮上 その狙いとは@中京TV2019/9/19より
アニメやマンガのキャラクターを名古屋駅の西側エリアに設置して、話題の新スポットをつくる構想が浮上しました。名古屋市が前向きに検討するそうですが、その狙いとは? いつにも増してご機嫌な、名古屋市河村市長。 「面白いと思いますよ。なるべく早く、名古屋の世界的名所になるように」(名古屋市 河村たかし市長)
そんな中あいちトリエンナーレのメイン会場である名古屋市でアニメロードを作るという話が出てきました。場所は名古屋駅西口でトリエンナーレの会場ともなっている場所です。この時期にこの決定を出したという事は多分名古屋市として地域を盛り上げていく為の投資先としてアートに見切りをつけ、アニメに重点を置くという事なのでしょう。トリエンナーレの入場者数、クラウドファンディングでの資金の集まり具合などを考えると妥当な選択としか言いようはないです。
私自身表現の自由を尊重する立場から言えばまず大村知事の「表現の不自由展・その後」の休止の選択はやはり受け入れがたいですし、菅官房長官を中心とした政府の補助金不交付の決定には懸念を表明します。ただ一納税者として今のアートに投資するのは地域を盛り上げるための投資としては効果が期待できないのではと思わざるを得ません。
そう考えるとアートのファンはアニメのファンのように身銭を切り地域やアートを潤すための努力をしていかないとならないのではないかと思います。
いかがだったでしょうか?最後にまた書くのですが市民の皆様は少し苦情の電話を入れれば表現を排除できるという大きな権力を持っています。しかしその権力は表現を殺し、表現者を路頭に迷わせかねない危険があるという事を頭に入れてダイヤルを推していただければ幸いです。









