
瑞穂の国を襲った米価高騰
「頭じゃなくて米価を下げろ」農水相謝罪に国民から猛ツッコミ!…それでも政府が「コメ高騰政策」を平然と続けるワケ@Diamond2025/4/24より
昨年夏から続くコメ不足やコメ高騰の元凶は「減反政策」にある。しかし、これを50年以上も続けて莫大な税金を投じてきた農水省としてはそれだけは絶対に認められない。そこで「コメは足りている」という白々しい「嘘」をつき、それを誤魔化すためにまた苦しい言い訳を重ねているというのだ。
米価の高騰が続く中、フリーライターの窪田順生氏がその元凶を減反政策に求める記事が話題になっています。確かに米価の高騰は家計に厳しいと感じますし、減反政策と言うコメを育てる田圃を減らしてきたのは確かです。ただ米価と言うと世界初の金融先物取引の対象がお米であり、先物市場が成り立つという事は、そもそも値段の上下が激しい商品だったという事でもあります。そう考えるとそんな単純なものなのだろうかと思います。と言う事でここではその辺に関して少し考えて見ましょう。
減反と食管法の概要を見ていく
減反政策@Wikipediaより
昭和37年(1962年)に日本の「1人当たりの年間米消費量」はピークになり、以降から右肩下がりが続いている[5]。背景には機械化による生産量増加・食の欧米化で「米離れ」が加速したことにある。日本で統計的に生産量が消費量を上回るようになった1970年には、農家からの買取価格より市場への売値の方が安くなるという事態が起こるようになった[2]。お米が余ることで価格が下落事態を抑止するため、 日本政府は米価を維持し、継続コメ農家を守るするために米の生産量を調整してきた。具体的な方法として、米作農家に作付面積の削減を対価に金銭を支給した[5][2]。日本国内のコメ消費量はピークの昭和40年(1965年)頃と比較すると、2023年の「1人当たりの年間米消費量」は約半分の50.9kg(1人/年間)まで減少している[5]。生産継続するコメ農家らは守られたものの、高コストの零細農家の市場退出(田の集約化・大規模農家化)を抑止してしまっていたり[6]、「生産量を消費量が上回った年度」には国内米限定だと米不足が発生する(緊急輸入のあった冷害時の1993年)[1][2]。~中略~
その年度や季節ごとの需要と供給で市場で価格が決まってきた野菜など他の農作物とは異なり、米価のみ政治問題化するか継続コメ農家保護政策が取られてきたと指摘されている。後述の減反政策下の米価で分かるように、そもそも農作物は生産量と価格の調整が難しい問題もある。具体例として、平成15年時でコメ生産量が10%減少しただけで米価は30%も上がった。逆に、平成16年時では生産量9%増の生産過剰になっただけで米価は25%も暴落した。
減反政策は1970年または1971年から実質的に開始され、 2018年度(平成30年度)に廃止となった[1][2]。廃止後に、45の道府県のうち14道県は増産方針を打ち出した[2]。
さてこの問題に関して関連の深い減反政策と食管法について概要を見ていきます。減反に関しては所謂「コメ離れ」によってコメの消費量=需要が減る中の供給側の調整と言う意味で始まっています。さて最初に書いた様にコメは価格変動の激しい商品で2003年に供給量10%減少で価格が30%上昇し、2004年には供給量9%増加で価格が25%下落しているなど需給調整が一筋縄でいかないのが見て取れます。
食糧管理制度@Wikipediaより
食糧管理制度(しょくりょうかんりせいど)とは、日本における主食である米や麦などの食糧の価格や供給等を、日本国政府が管理する制度をいう。
食糧法の施行により、農家が自由に米などの作物を販売できるようになった。これはその後の米輸入解禁に備え、あらかじめ自由に米を流通させることで日本国内の農家の競争力・対応力の向上を目指したものである。一方で、政府による管理は緩和されることとなった。 1942年(昭和17年)2月21日制定の食糧管理法(いわゆる食管法)に基づき創設された。同法は1995年(平成7年)に廃止され、代わりに主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(食糧法)が制定されたことを受け、食糧管理制度の呼称も食糧制度と改められた。また、2004年(平成16年)には、その食糧法に大幅な改正がなされるなど、制度の内容は時代と共に大きく変化してきている。~中略~
米穀統制法・米穀配給統制法を発展させ、1942年(昭和17年)の東條内閣時に食糧管理法が制定された。2月21日公布、7月1日一部施行。米穀に加え主要食糧の生産・流通・消費にわたって政府が介入して管理するというものであり、目的は食糧の需給と価格の安定である。供出価格及び供出数量は政府によって決定される。1942年9月1日、日本米穀など5団体を吸収し中央食糧営団が設立され、10月-12月各府県に地方食糧営団が設立された。
当初の対象となったのは米の他、はだか麦・大麦・小麦などの麦類である。生産者は自家保有量以外を公定価格で供出し、政府は米穀配給通帳に基づき消費者へと配給する。加工・管理は食糧営団が行う。これ以外の流通は一切認められず刑罰規定もあったものの、実際には闇市での取引が行われていた。米穀需給調節特別会計は食糧管理特別会計(食管会計)に発展し、管理業務の経理を実施。~中略~
1994年(平成6年)12月14日、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(いわゆる食糧法)が公布、一部の条項を除き翌1995年11月1日に施行され、これに伴い食糧管理法は廃止となった。また、制度の呼称としての「食糧管理制度」も内容の変更に沿って「食糧制度」に改められた。ただし、食糧管理特別会計(2007年度から食料安定供給特別会計)・食糧管理勘定など、一部の用語には「管理」の文字が残った。~中略~
2004年の大幅改正
食糧法を大幅に改正する主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律(平成15年法律第103号)が2004年(平成16年)4月1日に施行され、従来からの農業従事者に限らず誰でも自由に米を販売したり流通させることが出来るようになるなど、1995年の食管法廃止・食糧法制定に匹敵するような制度改革が実施された。この大幅改正後の食糧法は、それまでの食糧法と区別するため「新食糧法」あるいは「改正食糧法」と呼称される。
法改正により、米穀の販売については、従来は登録制であったが、これが届出制になった。すなわち、47条1項は、「米穀の出荷又は販売の事業(その事業の規模が農林水産省令で定める規模未満であるものを除く。第五十九条において同じ。)を行おうとする者は、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない」と規定している(届出制について参照、[1])。
また。米穀の輸入についても、一定額を支払えば自由に行うことができるようになった。34条1項は、「米穀等の輸入(関税法 (昭和二十九年法律第六十一号)第二条 に定める輸入をいう。以下この項及び第四十五条第一項において同じ。)を行おうとする者は、国際約束に従って農林水産大臣が定めて告示する額に、当該輸入に係る米穀等の数量を乗じて得た額を、政府に納付しなければならない」と規定している。
続いて長い引用になりましたが食管制度についても見ていきます。食管制度に関しては戦時中に不足する食糧供給に対して政府が介入する事で始まった制度で、1995年に廃止され食糧制度と変更し、2004年に大幅変更されました。単純化して言えば1995年、2004年に大幅に変更されそのたびにコメを中心とした農業に関して販売ルート、輸入に関して規制が緩和されて来たと言う事です。
平成~令和のコメ需要と相場に関してみて見る

コメ価格の推移@米の販売数量及び民間在庫の推移(令和6年9月)より
さて今回の件の主役と言えるコメ相場についてみていきましょう。実は食管法廃止のあった1994年からコメ相場の下落傾向が続いていて60㎏あたりの価格は1993年23607円→2014年11967円とほぼ半減しています。ちなみに2019年に15716円に30%ほど上がっていますがその後コロナショックで2021年には12804円と2014年に近い水準まで下がっています。言って見れば減反政策の目的が「コメ価格の安定」にあるならば、コメ価格が半減したというのは減反が足りなかったとすらいえる訳です。

コメ需要量の推移@米の消費及び生産の近年の動向についてより
続いて値段が下がったコメの需要についてみていきましょう。こちらは価格が半減しているのに対して需要も減少しています。1996/97年944万トン→2022/23年691万トンと27%も減少しています。言って見ればコメ市場は価格半減、需要3割減とただひたすらシュリンクしている中コメ農家を中心に農業からの逃散を防ぐために悪戦苦闘してきたのが減反をはじめとする日本の農業政策で、今起こっているコメ高騰はその無理が行き着いた結果起こったものではないかと思います。
コメ価格高騰の原因と今後
コメ・パックご飯等・米菓の輸出実績の推移@⑤ コメの輸出・輸入より
米輸出、初の100億円台 24年 日本食人気追い風@YahooNews2024/12/28より
米の年間輸出額が100億円を突破したことが26日、分かった。財務省が同日公表した貿易統計によると、2024年1~11月の米の輸出額は、前年同期比2割増の106億円。日本食レストラン人気を追い風に、北米向けを中心に伸長した。政府が25年の目標とする、パックご飯などを含む米の輸出額(125億円)の達成も視野に入ってきた。~中略~
地域別に見ると、北米向けが著しく伸びており、米国が同4割増の22億円、カナダが同5割増の5億円になった。主力のアジア向けでは、香港が29億円、シンガポールが12億円、台湾が9億円で、それぞれ同2割伸びた。
円安に加えて、すしやおにぎりなどを提供する日本食レストランの人気が輸出拡大の追い風になっている。現地レストランでは外国産米を使うケースも多い中、「日本産米は、冷めてもおいしいといった品質の高さで支持を高めている」(農水省)。外国産米から日本産米に切り替える業者もいるという。
さてそんな中何故コメ価格が高騰したのか、理由とまではいかないですが昨年コメの年間輸出額が100億円を突破したそうです。ただ仮に減反によって他作物に転換した田んぼを戻すとしてもその農家は価格の下落圧力が強く、需要も減少を続ける国内向けにコメ生産を行うでしょうか?正直なところその可能性は低いのではないでしょうか?
EUの農業政策@農水省より
1. EUの共通農業政策(Common Agricultural Policy:CAP)の概要
EU共通農業政策(CAP)は、EU加盟国27カ国に対し共通して講じられる農業政策。EU予算を財源として欧州全体レベルで運営される。
(ア)農業者の所得を保障するための「価格・所得政策」(第1の柱)、(イ)各加盟国が農業部門の構造改革、農業環境施策等の農村振興プログラムを実施する「農村振興政策」(第2の柱)の二本の柱から成る。
1962年、欧州域内市民への十分な食料供給と農業者の生活水準の確保を目的として、共通農業政策(CAP)を導入。生産過剰状況を踏まえた制度見直し(1984年)、市場支持から生産者補助への転換(1992年)、デカップル支払いの導入(2003年)、持続可能な農業に向けた対応をより重視した制度見直し(2013年)など、累次の改革を実施。
2021年に採択された現行CAP(実施期間:2023~2027年)では、加盟国の裁量・責任を拡大するとともに、環境・気候変動の取組を強化。
2. 価格・所得政策
(1) 直接支払い
1992年、価格支持制度における支持価格の引下げによる農業者の所得減少を補填するため、農業者に対する直接支払いを導入。当初は、品目ごとに決められた支払単価を基に、作付面積等に応じて支払われていた(カップル支払い)。
2003年改革において、支払いを生産と切り離し(デカップリング)、過去の支払実績に基づいて支払額を決めるという、品目によらない単一直接支払いを導入(2005年から実施)。
2013年改革において、直接支払い制度は環境・気候変動課題への対応をより重視した制度へと見直しが図られ、グリーニング支払いや各種目的別支払い等が定められた(2015年から実施)。
現行CAP(2023~2027年)においては、直接支払いの受給要件である環境・土壌保全等に関する共通遵守事項(クロスコンプライアンス)を強化(コンディショナリティ)。また、更なる環境・気候変動への取組を行う農業者に対する上乗せ支援「エコ・スキーム」を導入。
(2) 価格支持
対象品目毎に支持価格を定め、市場価格がそれを下回った際に、各国の機関等が買支え等を実施。
対象品目:小麦、大麦、コメ、牛肉、バター、脱脂粉乳等
多分今後安く価格の安定したコメを中心とした食糧を確保するとしたら欧州の所得保障政策の様に政府が大幅に市場介入や農家への所得補償をしていくほかないのではと感じます。そしてそれが現状の減反より安くつく保証はどこにもないのは言うまでもないと思います。









