人間の感覚が徐々に回復して来ると、今日は朝から人間の食べ物は何も食べていなかったことを思い出した。
“何か食べないと、体がもたんぞ・・・”
 幸い、お腹の痛みも治まっていた。

 めし屋に入って何か食べる気力はないし、一刻も早く家に帰って治療をしたいという思いが強かったので、コンビニに寄って何か買うことにした。
 コンビニには入ったものの、体が疲れ切っている上に黄金を食べた所為で食欲がある訳ではない。無理にでも胃に詰め込もうと考えているのだから、弁当なんて食べるのは無理である。おにぎりにしようと思ったが、寄った時間帯の所為か、碌な具のおにぎりは無かった。
“仕方ない。パンにでもするか”
 ピーナッツクリームパンを一個だけ買ってコンビニを出た。

 それから、しばらく歩いて漸く自宅マンションに着いた。
 外に出て自宅に戻った時はほっとするものだが、この時は、
“生きて帰れた・・・”
 ということで、物凄くほっとした。

 鍵を開け、電気をつけて部屋に入ると、すぐに股間の具合を確認した。皮の切れている部分からは、まだ血が出ている。
 絆創膏やオキシドール、マキロン、オロナイン、脱脂綿、医療用紙テープを用意したが、まずは患部を洗うことが先だと思い、バスルームに入った。傷だらけで血が出ている状態なので浴槽への入浴は無理。シャワーを出しながら、ボディソープ、シャンプーで体を洗った。
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