M男ぶちのblog

ドの付くM男で強度のハイヒールフェチが、徒然なるままに日暮しパソコンに向かいて、書き綴った日記です

カテゴリ: 奇譚クラブ

 奇譚クラブの存在を知ったのは偶然だった。
 大学の授業をサボって、よく神田神保町に行き、SMコレクターやSM奇譚のバックナンバーを探していた。神田神保町は日本一の古書店街であり、漫画を専門に扱う店、洋書を専門に扱う店、美術書を専門に扱う店など特色のある店も多い。そんな中、アダルトを専門に扱う店もあった。勿論、自分が行くのは、アダルトを扱っている店である。
 神田神保町に中山書店という一般的な古書の他、アダルトも扱っている店があった(今は閉店している)。
 ある時その中山書店に行って見ると、アダルトっぽい古書が山積みで置かれていた。
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 “奇譚クラブ?”
 そんな本、その本の名前は聞いたことなかったが、奇譚という文字がSM奇譚に繋がるものを感じ、手に取って見てみた(アダルト系の古本はビニールに包んで中が見えないように売っている店が多かったが、この中山書店はビニールで包むようなことはしなかったので中を確認できた)。
 そこで目に飛び込んで来たのは、春川ナミオ氏の挿絵だった。
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 “そうか、SMの文字はないけど、奇譚クラブというのはSM本だったんだ。しかも、春川ナミオ氏の挿絵があるからM男向けのものもある”
 売値として500円のシールが貼られていた。
 自分は財布の中身を確認し、買えるだけの奇譚クラブを春川ナミオ氏の挿絵を基準に選んで買い込んだ。7、8冊は買っただろうか・・・。
 家に帰って、中身を確認した。これらは1972年前後に発行された奇譚クラブで、量的には圧倒的にS男向けの物が多かった。M男向けのものは、芳野眉美氏と鬼山絢策氏の小説の2本か、読者投稿小説かエッセイが加わって3本かというところだった。
 だが、芳野眉美氏は甘美なM小説を書かせればピカイチの作家であり、内容は充分に楽しめた。また、M男物には、春川ナミオ氏か、岡たかし氏の挿絵が必ず付いていた。
 初期の春川ナミオ氏の絵は、粗削りなところはあるが、女性の体形は標準体型で描かれており、充分抜けるものであった。
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 神田神保町にあった中山書店で、偶然、奇譚クラブの存在を知ってから、SMコレクター、SM奇譚のバックナンバー収集と合わせて奇譚クラブの収集を始めた。
 持ち金が無くて、買えなかった中山書店にあった奇譚クラブは、バイトで金を貯めて、ほぼ買い占めた。
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 それからは、神田神保町のアダルト専門の古書を扱っている店でも奇譚クラブを探した。
 1970年を挟んだ6、7年分の奇譚クラブは、かなり揃えることが出来た(学生の自分には結構な出費となったが・・・)。
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 春川ナミオ氏のイラスト、M小説の他、奇譚クラブは読者通信欄が充実していた。
 読者通信欄とは、読者が、交際相手(勿論、ノーマルなものではなく、SがMを、MがSを求めるものである)を探して呼びかけるものである。
 これらは、SMコレクターやSM奇譚にもあったが、それらよりも奇譚クラブは充実していたと思う。インターネットなどない時代、こういう雑誌で探すしかパートナーを探す方法がなかったことを編集部が理解し、読者の声を大切にしていたと言うことができるだろう。

 読者通信欄を見ると、投稿者の男女比率は8対2か9対1くらいで、男性の方が圧倒的に多い。が、この当時はSMクラブなどというのは存在しない(怪しげなのはあったが)時代。投稿者はすべて素人女性ということを考えれば決して低くないだろう。
 だが、残念なことに女性の投稿者は、ほとんどがMということだ。
 男の場合もS男の投稿の方が多いが、それでもM男の投稿も全体の3割程度はある。
 内容は「貴女の便器にしてください。オシッコもこぼさず、ウンコも残さず食べます」といった今のM男がSNSなんかでS女様を求めている内容とほとんど同じである。M男という人種が40年たっても全然進化していないということだろう。

 それでも、たまにS女様からの投稿がある。
 そうなると、そのS女様の争奪戦が始まって、M男は大騒ぎとなる。

 奇譚クラブ1973年5月号の読者通信欄に次のような待望のS女様の投書が載った。
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大阪市旭区の高橋千寿代様という女性からの投稿である。
『私は男を責め上げることに最大の歓びを感じるS度100%の女性です。この奇クを通じて、お前達男奴隷を集めて存分に調教してやりたいの。私は今年二十二歳の学生で、身長163センチ、体重52キロ。水泳と合気道(女性の部で初段)で鍛えた脚で思い切り男の顔を蹴飛ばしてみたいの。調教法は鞭などというちゃちなものではなく、すべて私の下半身で痛めつけるのが特徴ね。窒息寸前の顔面騎乗、合気道仕込みの回し蹴りなど、容赦しないつもりよ。これらのリンチに耐えられたら、人間トイレットペーパー、人間便器の奉仕もさせて上げるわ。また複数の奴隷を集め、私の友達にも女王様になってもらってする集団プレイも計画中よ。その時には奴隷の舌の長さを測る遊び(想像できるでしょ。お前たちが一番好きな遊びよ)をさせてやるわ。きっとよ。数多い奇ク愛読のS女性も影をひそめてしまった昨今、図々しいようだけど、私が女王様ナンバーワンのようね。』

この投稿に早速翌6月号で反応がある。


 6月号の読者通信欄に京都市左京区の光林祐二の以下の投稿があった。
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『高橋千寿代様、いきなり誌上でごあいさつする御無礼を平にお許し下さい。奇クを愛読する中で今の今まであなた様の出現を心待ちにしておりましたM男です。私は二十四歳、身長一七四センチ体重七五キロ、スポーツを愛し、あなた様の調教を心から望む男性です。私は高校時代より野球部で活躍し、大学に入ってから現在に至るまでアイス・ホッケーを、いたしております。顔はやや童顔の部類に属し、体格はご推察の通り大柄です。あなた様の水泳と合気道で、お鍛えになった引きしまった、お体で責めていただきたいのです。体に傷がついたり、生命に危険のない責めでしたら、如何なる責めにも耐えるつもりです。(もし耐えきれずに、そそうをしたら、おしおきを下さい)私の体を奴隷として千寿代様に、さしあげます。女王様の前で全裸になり、首輪をされて、四つん這いで歩き、体に墨かマジックインキで「千寿代私有物」と書いていただき、奴隷の名前で呼んでいただきます。舌がしびれるまで御奉仕申しあげます。卑しい奴隷の私を思いきり足蹴にして下さいませ。緊縛、さるぐつわ、アヌス責め、ペニス責めなど、存分に調教をいただきたいのです。そして、ごほうびとして女王様が一度口に入れて吐き出した残飯を下さいませ。さらに女王様のお友達は私にとっては聖なる王女様です。(女王様は千寿代様だけです)たくさんの王女様達のおられる前で、私一人女王様の調教を、おうけし、羞かしめていただけるなど、考えるだけで私の体の芯からゾクゾクとしたものが込みあげてきます。私を馬にしていただき、王女様共々、素肌で私の体にまたがっていただけたら、どれ程幸せでしょう。高橋千寿代様。今一度、お願い申しあげます。この私を奴隷として調教して下さい。そして、私有物として、あなた様のおそばで御奉仕させて下さい。なにとぞ、私に興味をお持ちになりましたら、編集部を通じてまた、この欄を通じて御一報下さい。奇ク掲載の春川ナミオ氏の絵のように私を、お責め下さい。私は千寿代様の思われるがままです』

 体に傷が付いたりするのは嫌だ、とか、ああしてくれ、こうしてくれ、こんなご褒美をくれとか、エゴマゾ丸出しの内容なのだが、本人としては至って真剣なのだろう。自分で原稿を書きながらオナニーをしていただろうことは容易に想像が付く。

 5月号での呼びかけに対し、6月号にそれに応答した投書が載る。これは凄いことである。当時は今のデジタル印刷とは違うので、原稿の締め切りは早かったはずである。5月号を買ってからすぐに手紙なり葉書なりで投稿したとしても、編集部に届くのは締切ぎりぎりだろう。
 おそらく、読者通信欄を最後に作っていたのだろうが、奇譚クラブが読者を大切にしていたことが分かる。

 なお、このやりとりには更に続きがある。



7月号には、早くも高橋千寿代様の返信が載せられた。
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『先日の奇譚クラブで、おまえの寄稿を読み便りをした次第。文面より察し、おまえの心がけは大へん立派なのだが、少々私のサディスチンとしての素因を甘くみているのじゃないかしら。私がおまえに心配するのは「死ぬほど苦しい目」に合うかもしれない私のプレイについてゆかるかどうかという点よ。詳しいことは省くけど五十数キロある私の身体を肩車しての兎跳びと厳しい足蹴など、おまえの想像以上のものがあると思うんだけど。おまえの体格はなかなか立派だけど、体さえよければ奴隷になれるとは限らない。顔も知らないおまえを安易に信用できないというのが、私の本心なの。でも何か月かの間接的な考察で、おまえの性格が奴隷として適格と分かれば、おまえのMの欲求を百二十%充たしてやるわ。今の私は、もう我慢できぬほどS度が昂っているの。奴隷の顔を股で挟み思いっきり臭いをかがせ、舐めさせ性液や小便を飲ませてやりたいという願いも日ごとに増しているのよ。私がまず第一に、おまえへ与える奴隷としての仕事は待つことのみね。おまえが奴隷としての身分をわきまえれば、いつか、きっと私と会う日が来るだろう。尚、おまえが、この分を読んだら早速奇ク編集部へ私宛の返事を出しなさい。次の手紙は奇ク次号の通信欄のおまえの分次第とということになるわけよ』

 高橋千寿代様のおっしゃることは御尤もだと思います。
 この号では、遅れて高橋千寿代様に奴隷志願するM男の投稿も載っている。

 また、格闘技で勝負しようと言ってきている馬鹿なS男の投稿も載っている。S男という生き物が如何に最下等動物であるかということが分かろうというものである。

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