『小学校高学年生徒の同級生の母親からのご相談です。』
  
クラスに暴れたり周囲のクラスメイトを罵倒する行動が目立つ生徒がいて、その生徒の母親は担任の言うことや他の保護者の言うことをなかなか聞き入れないで、事態を改善していくことに苦慮しているとのことです。その親子が家庭内でも大声で言い争うことが多いことを、クラスメイトの保護者たちはよく知っているとのことで、この親子に対して周囲の人たちが何かしてあげることはないかとの質問です。
  問題の本質は理解しやすく、その母親自身が、自分の言うことをよく聞き入れてもらう機会が不足していることが、本質的なところにあると思います。ですからその母親自身が少しでも、うちとけて付き合える人を、日々の生活のなかに持つことが非常に大切です。生徒同士の交流が大切なように、保護者同士が親しく交じ合う機会をもてるように試みて頂くことが良いと思います。生徒に限らず保護者同士も、信頼関係がなければ相手の話や助言を真摯に聞き入れることはできません。
  問題の解決や改善のためには、まずその生徒の保護者がクラスの中で孤立することがないように、周囲の人たちの心遣いが大切です。効果を焦らないで、見守っていく努力をして下さい。 
 

『高校三年の息子さんについてのご質問です。』
   遅刻や忘れ物なども多いため、担任の先生から心配されているとのことです。専門医の診療をうけるべきかどうかお悩みになられています。
  保護者は、まず学校の担任と話し合うのがよいと思います。普通に忘れ物が多いという程度では、そこまで心配されることはないと思いますから、実態がどうであるか担任の先生に伺って、内容や程度を確認しながら本人の気持ちを大切にして、互いに納得した上で次の一歩を踏み出してあげてください。お母さんは、病名がついてしまうことを心配しておられますが、それよりもどういう状態でいるのかを正しく理解して、次の一歩を踏み出す必要があります。その際大切なことは、専門の心理士や精神科医師を受診することです。遅刻や物忘れが多いという程度のことは、特に病気ということではないと思います。子どもに限らず人間は、好きなことや楽しいことではないと、遅刻や忘れ物をしがちになります。学校の勉強や友だちとの交流が楽しめないでいると、その場へ行くことにブレーキがかかりますから、できるだけ自分の気持ちや能力に合っている環境を、選んで与えてあげてください。
 

 

『4歳の女の子についてのご質問です。』
    幼稚園になじめず、楽しくないということですが、文面を拝見する限り、何も異常はないと思います。個人差の範囲で、それも当初よりお弁当を食べることも、工作の活動もできるようになってきたということです。少しゆっくり馴染めるようになってきたようですが、それでいいのです。何でも早くできるのが、よいことではなく、気持ちが安心して熟してきて、できるようになっていくのもよいことです。お母さんのこれまでの育て方に問題があっての心配だとは思いません。個人差の範囲で、何事も十分気持ちが熟すことを必要とするお子さんです。私も3人の子どもをもっていて、みんな幼稚園や小学校の頃は、個人差が多くありました。親が好きな差とそうではない違いというものがあって、心配したりするものですが、ここに示されている違いは、健康で正常な個性の差です。何ができないかということにこだわらないで、怒りの感情など決してもたないで、個人差を楽しみながら育ててあげてください。個人差のあることの喜びは、子どもがもっと大きくなってから分かるものです。 


『13歳の男の子で自閉症スペクトラムの母親からのご質問です。』
    学校で多くの不適応行動を示しているそうです。放課後デイや家庭では安定しているそうです。疑いなく学校での教育対応が問題でしょう。先生とゆっくり対応を話し合うか、転校を考えるのがよいと思います。学校の名前に捕らわれるのではなく、担任の理解を求めて、適切な学校やクラスを見つけてください。一般論でいうように、レベルの高いクラスがよい教育を提供してくれるわけではありません。ご自分の子どもに合ったクラスを探すことです。生徒のレベルや個性に合った学校やクラスが見つかるまでは、学校には行かない方がよいと思います。児童相談所の先生がおっしゃる通りだと思います。八方塞がりなどと考えないで、この子に毎日の通学が楽しくなる学校や学級を求めてあげて下さい。子どもは、自分に合ったクラスでしか、豊かな学びはできません。しかも不適切な教育は、時を経るにつれて不幸な結果をもたらします。どうぞ、今この子にぴったり合っている学校や学級を、真剣に求めてやってください。 


『4歳になる孫娘の癇癪についてのご相談です。』
    両親は離婚をして、母方で祖母も一緒にくらしています。子どもは今、保育園・幼稚園に通えていないとのことですが、家庭での生活が精神的に安定しないと、子どもは保育園・幼稚園や学校での生活が安定しにくいものです。まずは家庭内での生活の気持ちの安定を考えてから、家庭の外での生活の安定を考えてあげるようにするのがよいと思います。家庭内の生活には、衣食住など子どもの気持ちをよく聞いて受け入れてあげることに専念するようにしてから、親の気持ちや要求を伝えるようにすることがよいと思います。子どもの言うことをよく聞き入れながら、こちらの言うことを伝えるという手順を守るような気持ちで、育児をしていくのがよいと思います。
   せっかく同居しているおばあちゃんがいらっしゃるのですから、おばあちゃんには躾や教育よりも、甘えることができる役割を担っていただくのがよいと思います。お母さんは、幼い子どもの気持ちをしっかり受け入れてやるように、堪忍袋の緒はできるだけ切らないであげてください。そこの親の気持ちの我慢が、子どもの気持ちを根気よくしてあげるように、育ててあげることにつながると思います。叱ることで育てることができるものは、あまりありません。今保護者の忍耐が、この先の子どもの我慢強さにつながるのです。できるだけ叱らないで、おだやかに言って聞かせる、忍耐強い育児が大切です。癇癪は、こちらの忍耐強い育て方によって、治っていくものです。 


『1歳半の子どもが、おしゃぶりに依存しているというご心配とご質問です。』
    無理に止めさせることはしないでください。無理強いしてやめさせることは、決してよい方法と言えません。幼いこどもは、依存と甘えと反抗を繰り返しながら、自律と自立をしっっかりしてゆくものです。1歳半の子どもは、まだまだ依存と甘えのなかにいるのが普通ですし、納得できるほど甘えた後に、すなわち相手を信じることができてから、お母さんを大きく信じることができてから、自分を信じて自立に向っていくものです。本当はお母さんのおっぱいをおしゃぶりのようにして、大きくなっていくのが最善なのです。代用品のおしゃぶりに、それほど気遣いをなさる心配はありません。こどもが自立してゆく速度に合わせて、ゆっくり自律してゆくように、育ててあげてください。
 こどもが安心してしっかり自立してゆくためには、過保護なくらいやさしいお母さんに育てられることが大切です。ここでいう過保護は、けっして過干渉のことではありません。子どもの言うことを、よくききいれてあげることが保護ですし、こちらのいうことを沢山聞かせるのが干渉です。保護は過剰になっても心配いりませんが、干渉が過剰になったら困ります。過剰干渉はこどもの本当の自立を妨げることになるものです。お気をつけください。