2013年02月18日

『ヒューゴ〜』がブルーレイ大賞グランプリ受賞!

 「第5回DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」の授賞式が15日、東京・秋葉原のUDXシアターで行われた。

 同賞は、デジタル・エンターテインメント・グループ・ジャパン(DEG ジャパン)が主催し、昨年1年間に国内で発売されたブルーレイソフトを対象として、ブルーレイの特長を最も生かした映像作品を、ユーザー投票・審査員投票によって審査・表彰するもの。

 グランプリは、マーティン・スコセッシ監督『ヒューゴの不思議な発明』の3Dスーパーセットが受賞。同作は、ベストBlu-ray3D賞も受賞した。

 『タクシードライバー』(1976年)、『レイジング・ブル』(1980年)などの巨匠、マーティン・スコセッシ監督が3D映画を手がけたというだけでも一見の価値ある作品であるが、『月世界旅行』(1902年)などの作品で“SFX映画の父”とも言われるフランスの映画製作者、ジョルジュ・メリエスを描いていることもこの作品を意味深いものとしており、映画愛に満ちた作品だ。

 いま映画はフィルムからデジタルへ、製作から配給、興行まで急速に移行している。そんな過渡期に、最新のテクノロジーとイマジネーションを駆使して、映画創世記の歴史、人物、作品の制作風景をスコセッシ監督が再現してみせてくれたことに、一映画ファンとして胸が熱くなった。

 残念ながら我が家には3D鑑賞環境はないが、授賞式で久しぶりに『ヒューゴ〜』の本編映像を観て、ブルーレイの高画質・高音質で何度でも見直したい衝動に駆られた。

 ビデオパッケージ市場は、引き続き減少傾向で苦しい状況にあるが、劇場とはまた違う映画体験、感動を伝えるひとつとして、この「〜ブルーレイ大賞」のような活動は、映画鑑賞人口を増やすためにも重要だと思う。

 まだまだ一般の人、多くの映画ファンには浸透していないかもしれないが、今年はアンバサダーに無類の映画好きで知られる俳優であり、映画監督でもある竹中直人さんを起用。ブルーレイの魅力を伝える伝道師として頑張ってもらいたい。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!和田 隆 

2013年02月14日

2013年春休み公開の主な映画

 ちょっと前に年が明けたと思っていたら、いつの間にかもうすぐ3月ですね。というわけで今日のブログでは、今年3月に公開の主な春休み映画をご紹介したいと思います。

 まずはファミリー向け映画から。今年は例年にも増してアニメが激戦です。

 春休み映画の王者『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』は3月9日公開。今回はドラえもんの大事な首の鈴が盗まれたことから冒険が始まります。一般応募から選ばれた18作品のアイテムも登場するとか。ひみつアイテムに焦点を当てた物語はなかなか興味深いです。

 こちらも定番『映画 プリキュアオールスターズ NewStage2 こころのともだち』は3月16日公開。全プリキュアが登場する「オールスターズ」シリーズの最新作。今回は総勢32名のプリキュアとなりました。もう学校の1クラスが作れますね。今回は「イジメ」がテーマだそうです。

 もしかしてとんでないヒットになるんじゃないかと密かに期待しているのが、洋アニメ『シュガー・ラッシュ』。人気ゲームの悪役が主人公というユニークな設定で、予告編を観ただけでウキウキ。「スーパーマリオ」のクッパも登場するそうです。3月23日公開。

 同じく、すごいヒットになりそうな予感が『DRAGONBALL Z 神と神』。ご存じドラゴンボールの17年ぶりの劇場版アニメ。少年たちはもちろん、ドラゴンボールにはまった20〜40代も必見でしょう。主要キャラはもちろん、ピラフ一味など懐かしいも顔を勢揃いする、お祭りムービーになるそうです。3月30日公開。

 某ホラー映画と一瞬見まがうタイトルの『パラノーマン ブライス・ホローの謎』は3月29日公開。『コララインとボタンの魔女』のチームによる3Dストップモーションアニメです。アカデミー賞の長編アニメ部門にもノミネートされている作品。

 続いて実写の洋画にいきます。

 我らがクエンティン・タランティーノ監督の最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』は3月1日公開。アメリカではタランティーノ監督作品史上最高のヒットを飛ばした作品。ディカプリオの悪役をはじめ、『イングロリアス・バスターズ』以来大作への出演が相次いでいクリストフ・ヴァルツ、そして『Ray レイ』のジェイミー・フォックスによる共演が見物の西部劇。

 この人が主演ならまず心配なし、安心マークのデンゼル・ワシントン主演『フライト』も同じく3月1日公開。奇跡的な着陸で大勢の命を救った機長から、アルコールが検出された。偉いのかアカンのか。どっちなの!? ひっくり返って飛んでいる飛行機の予告編はすごいインパクトです。

 『死霊のはらわた』『スペル』・・・というより『スパイダーマン』のサム・ライミ監督によるファンタジー映画『オズ はじまりの戦い』は3月8日公開。あの「オズ」をディズニーが映画化。爪で机を「キキキ〜」とひっかく予告編はゾゾゾッとしました。

 予告編観てもよくわからん!と言いたくなるのが『クラウド アトラス』。6つの時代と場所、6つの人生を生きる男が主人公。19世紀から24世紀を股にかけて、魂の成長を描くそうです。「考えるな、感じろ」ってな感じでしょうか。名優トム・ハンクス主演、『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉弟が監督を務めた作品。

 「ジャックと豆の木」を3D映画化した『ジャックと天空の巨人』は3月22日公開。原作は巨人から間一髪で逃げ切りましたが、この作品では次々とその巨人が落ちてくるそうです。えらいこっちゃ!高低差1万メートルの攻防は3Dの威力を存分に発揮することでしょう。ブライアン・シンガー監督作品。

 ロシア文学の最高峰、文豪トルストイの傑作を映画化した『アンナ・カレーニナ』は3月29日公開。キーラ・ナイトレイの深紅のドレス姿が印象的なビジュアルですよね。共演はジュード・ロウ。『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督作品です。

 最後は邦画にいきます。

 東野圭吾の原作を、嵐の二宮和也主演、『るろうに剣心』の大友啓史監督で映画化した『プラチナデータ』は3月16日公開。最先端のDNA捜査により、検挙率100%、冤罪率0%の社会が訪れようとしていた時、警察庁の天才科学者で数々の難事件を解決してきた主人公が、担当した事件でまさかの「自分」が犯人として追われるハメに。えらいこっちゃ!

 山田洋次監督とタッグを組んできた平松恵美子監督による『ひまわりと子犬の7日間』は3月16日公開。子犬を守ろうとする母犬、その母子犬を守ろうとする父親、その父親を応援する家族、彼らの姿に心を動かされる周囲の人々…絆が次々と結ばれていく様子を描き出すヒューマンドラマ。実話です。

 特殊ガスを吸わされて、子供になってしまった刑事が主人公の『コドモ警察』は3月20日公開。主人公は鈴木福君。もう予告編から笑ってしまいますが、数々の刑事ものにオマージュを捧げるシーンもあるとか。今から楽しみです。

 人気ドラマ「相棒」の新作『相棒シリーズ X DAY』は3月23日公開。そりが合わないサイバー犯罪捜査官と捜査一課刑事のコンビが、国家を揺るがす陰謀に挑む。この作品は試写で観ましたが面白かったです。2人が終始いがみ合いながらも、少しずつ認め合って協力していく姿が、定石ながらもしびれます。

 ウッチャンが監督を務めた『ボクたちの交換日記』は3月23日公開。ピュアで残酷なお笑いの舞台裏を描く青春の物語。伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみなど豪華俳優が共演。主題歌はファンモンが務めます。

 「五体不満足」の著者である乙武洋匡の、3年間に渡る小学校教師としての実体験を映画化した『だいじょうぶ3組』は3月23日公開。国分太一、乙武洋匡が先生役で共演。監督は『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一。撮影本番まで先生と生徒の顔合わせはなかったそうで、劇中の子どもたちの驚きや戸惑いの表情は本物のようです。

 以上、ざっとでしたが3月公開の主な映画をご紹介しました。ほかにも、2月から『ダイ・ハード/ラスト・デイ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『草原の椅子』あたりが公開されているので、春休みにも楽しめるでしょう。

 ミニシアター系からは、個人的には『ザ・マスター』が気になっています。


bunkatsushin at 08:30|Permalinkclip!平池 由典 

2013年02月12日

ブランキー・ジェット・シティの求心力

 1月30日に映連が発表した2012年全国映画概況によれば、昨年のODS全体の興収は47億8900万円を記録した。内訳は、収録ものが27億3900万円、中継ものが20億5000万円。さらに、収録ものの内訳は邦画が25億2000万円、洋画が2億1900万円となった。

 映連では、収録ものの27億3900万円を統計に算入し、2012年の年間興収を1951億9000万円と発表したが、これに中継ものも加算すると1972億4000万円。ODSの興収47億8900万円が全体に占める割合は、2.4%となる。

 この2.4%というシェアを、高いとみるか、低いとみるか、人それぞれだろう。ただ、取材をしていて感じるのは、ODSの本数は確実に増えているが、“成功”と呼べる作品が決して多くはないということ。

 一方で、この“成功”という表現も、曖昧な側面が大きい。単純に動員や興収だけでは計れない。稼働率、物販収入、コンテンツホルダーと配給や興行との関係性、映画人口拡大への寄与、そして、製作費や配給経費が相当額かかる中では、やはり収益性がもっとも肝腎だ。

 そんなことを思いながら、1月のODSの興行状況を調べ、文化通信.proにレポートを掲載した。

 当月に“成功”を強く感じたのは、ブランキー・ジェット・シティのドキュメンタリー『VANISHING POINT』。2000年7月の解散から、はや12年半。どこまで求心力があるのか、正直なところわからなかった。

 フタを開けてみれば、30代後半〜40代後半が中心となる往年のファンは勿論のこと、若年層、特に大学生と思しき男性が、友人同士で来場するケースが非常に多いとのこと。予想を超える好成績となったのは、この若年層の圧倒的支持が大きいといえる。

 解散当時、幼稚園児や保育園児、小学生だったはずの現役大学生たちが、なぜ足を運んだのか。配給サイドは、これから分析をしていく方針だ。周辺情報の一つとして興味深いのは、バンドスコア(楽譜)で最もよく売れるのが、ブランキー・ジェット・シティだということ。

 さて、内容はというと、とても面白い。メンバー間の葛藤が、痛いくらいにリアルに描かれる。長年にわたって苦楽をともにしてきた仲なのに、お互いの気持ちがわからなくなってしまう。大きな溝が生まれ、すれ違って、不安と焦燥がメンバーを襲う。バンドが解散に向かう過程で、ライブの熱狂の陰にあったドラマが、観る者を惹きつける。翁長裕監督、渾身の一作である。


bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!松本 貴則 

2013年02月06日

昨年の成功体験を今年も

▼CD・DVDパッケージ業界にとって正念場の2013年。最初の月は大型の新譜が少なく低調に推移した模様。例年2、3月にヒットポテンシャルの高い作品が揃うので、今年もこの2カ月でいい流れが生まれるはず。
▼さて、CD業界の代名詞的な賞へと回を重ねるごとに進化しつつある「第5回CDショップ大賞2013」の入賞7作品が以下の通り発表された。
▽きゃりーぱみゅぱみゅ「ぱみゅぱみゅレボリューション」
▽クリープハイプ「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」
▽SEKAI NO OWARI「ENTERTAINMENT」
▽七尾旅人「リトルメロディ」
▽back number「blues」
▽MAN WITH A MISSION「MASH UP THE WORLD」
▽米津玄師「diorama」
▼全国のCDショップ店員が、売りたい聴かせたいCDを投票により選出。この内1作品を大賞に決定し授賞式で発表する。昨年の第4回は、ももいろクローバーZ「バトル・アンド・ロマンス」が大賞を受賞。そのまま勢いをつけメディアに引っ張りだこ、年末紅白出場も果たした。
▼世の中に埋もれている良い音楽を掘り起こすだけでなく、世間にインパクトを与えCDのセールスが伸びる作品・アーティスト選びに成功した昨年。全国のCDショップはもちろんパッケージ業界全体がこの良い流れを今年も期待している。
▼「第5回CDショップ大賞2013」授賞式は3月7日(木)Zepp DiverCity Tokyo(東京・江東区)で開催。19時からライブも行われる。出演は、第1回大賞の相対性理論、第4回大賞のももいろクローバーZ、そして当日発表される第5回大賞アーティスト。

bunkatsushin at 22:10|Permalinkclip!中原 卓彦 

2013年02月04日

キネ旬「TKPシアター柏」がオープン!

 2月2日にオープンしたキネマ旬報社運営の新劇場「TKPシアター柏 supported by KINEJUN」の内覧会に1月31日出席した。

 千葉県の柏駅に行くのは初めてであったが、改札口を出て駅周辺を散策してみると、予想していた以上に活気の感じられる、非常に栄えた駅、街の印象を受けた。聞けば柏市は人口40万人以上の都市で、千葉県でも2番目か3番目に所得が高いところらしい。

 いざ、駅改札口を出て新劇場を目指したが、人通りが多く、大きな駅だけにすぐにはわからない。案内書では、柏高島屋ステーションモールS館隣りとあるのだが、S館入り口付近には目立った看板やポスターが見当たらない。

 しばらくウロウロしていると、S館入り口のちょっと横に新劇場ポスターと案内役の女性を見つけた。訊ねてみると、すぐ横の階段を降りて行って下さいとのこと。案内された通り進んで行くと新劇場が見えてきた。

 駅改札口からすぐ横のS館の下へ降りて、(バスロータリーなどからは)裏手の1階に位置する。初めて新劇場に行く人は、案内役の人やポスターがなければちょっと分かりにくいかもしれない。

 さっそく館内を取材してみると、予想していたよりも広く、ゆったりとした印象を受けた。3スクリーンで、それぞれ160席、148席、136席。1階に2スクリーン、2階に1スクリーン。1階にはコンセッションに加え、キネ旬の映画関連書籍が買える「KINEJUN BOOK STORE」、1940年代からの貴重な「キネマ旬報」バックナンバーが閲覧できる「アーカイブ」が併設され、映画ライフログサービス「KINENOTE」用PCも設置されている。

 新劇場関係者に話を聞いてみると、映写機機、椅子を新設し、壁紙などを新しくした以外は、劇場の構造自体は前の劇場(柏ステーションシアター)から変えていないという。非常に開放感があり、映画ファンは鑑賞前後や合間に落ち着いた空間を楽しめるのではないだろうか。

 この新劇場は、キネ旬にとっては非常に重要な意味を持つ(実際の運営はキネマ旬報DD)。清水勝之社長は、「我々は94年目になる出版社だが、保守的になっていた当社にとって、新規事業となる映画館運営は非常に重要なこと」としている。

 とはいえ、周辺にはシネコン、TOHOシネマズの流山おおたかの森、SMTのMOVIX柏の葉があり、あえてその商圏に3スクリーンで挑むことに社内外から危惧する声が寄せられたという。

 しかし、「2000億円のマーケットをまわりの映画館と奪い合おうというつもりは全くなく、新しいマーケットセグメントを創出できないかと思っている」と清水社長。

 「毎日一本、毎週必ず一本観る映画ファンのための映画館、価格を安くしてでもより頻度高く来て頂き、地元の方々に愛されるような映画館、座席の稼働率を上げられる映画館を目指したい」と、キネマ旬報読者を中心に、映画ファンの新たな客層の集客を目指す。

 オープニング上映作品は、「キネマ旬報セレクション」=『あなたへ』、『北のカナリアたち』、第85回アカデミー賞直前!12年の受賞作品から「映画愛」にあふれたこの2本=『アーティスト』、『ヒューゴの不思議な発明』、第86回キネマ旬報ベスト・テン特集からスタート。

 劇場運営は初めてで、オープンまでに並々ならぬ苦労があったようだが、94年目という老舗映画雑誌のキネ旬ブランドを生かし、これまでの業界の既成概念を打破して、読者、映画ファンから柏周辺の一般客をどこまで取り込めるか注目される。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!和田 隆 

2013年02月02日

2012年目覚しい活躍をしたプロデューサーは? 躍進した俳優は?

 日本映画テレビプロデューサー協会が、優れたプロデューサーや若手俳優らを表彰する伝統の「エランドール賞」の2013年受賞者が決まりました。2月7日に東京・新宿京王プラザホテルで授賞式が行われます。

 受賞者/作品は次の通り。

▼プロデューサー賞☆田中友幸基金賞

○プロデューサー賞  
映画「のぼうの城」久保田修(C&Iエンタテインメント)
テレビ「梅ちゃん先生」岩谷可奈子(NHK)

○プロデューサー奨励賞
映画「テルマエ・ロマエ」稲直人(フジテレビ)
テレビ「ドクターX〜外科医・大門未知子」内山聖子(テレビ朝日)

*プロデューサー協会特別賞  
故・小林俊一(彩の会)

▼特別賞
「土曜ワイド劇場35周年」

▼新人賞
 ○染谷将太
 ○尾野真千子
 ○松坂桃李
 ○武井咲
 ○森山未來
 ○真木よう子

 プロデューサー賞では、テレビ局プロデューサーの活躍目覚しい中、C&Iエンタテインメントの久保田修氏の受賞が目をひきます。同社は「のぼうの城」以外にも、「るろうに剣心」など絶好調でした。
 
 新人賞受賞者は、今年も旬な面々です。剛力彩芽がいない?のはまだドラマ・映画で大ヒットさせた作品がないからでしょうか。個人的には染谷の受賞を嬉しく思います。
 
 プロデューサー視点の賞は珍しく、それでけで他にない価値があります。ここに選ばれたのは、まさに業界が認めた方々といってよいでしょう。受賞者の皆さん、おめでとうございます。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!高崎 正樹 

2013年01月31日

男の初恋映画『建築学概論』

 今年初夏に、1本の韓国映画が公開されます。タイトルは『建築学概論』。先日この作品をひと足早く鑑賞し、非常に素敵な作品だったのでご紹介します。ずばり「男に響く初恋映画」なんです。

 初めてタイトルを聞いた時は「なんじゃそりゃ?」という感じでした。配給会社の人に話を聞くと、いわゆる「純愛もの」といいます。当方、純愛ドラマには全く興味がないので、当初は「あっそう…」程度の印象でした。だって韓国の純愛ものなんて星の数ほどありますもの。

 ところが、よくよく話を聞いてみると、何やら面白そうな匂いがしてきます。なんでも、韓国でこの映画にハマったのは「男性」なんだとか。「これは俺たちの初恋だ!」てな感じで熱狂的な人気を博し、『頭の中の消しゴム』などを抜いて恋愛映画の興行成績を6年ぶりに塗り替えたそうです。

 最初はカップルで映画館に観に来ます。けど彼女がいる手前、男性は泣くことができない。そこで、もう1回1人でこっそり映画館に来て思いっきり泣く…てな流れが出来ていたとか(全部配給担当さんの受け売りですが)。夜の回は、缶ビール片手に鑑賞する男性の姿が目立ったそうです。

 結局、劇中の台詞「どうする、お前」が流行語大賞に選出されたり、この映画で女優デビューした、K‐POPグループ“Miss A”のスジがこれをキッカケに大ブレイクするなど、社会現象を巻き起こしました。

 「ほう…そんなに面白いのか…」というわけでサンプルDVDをもらっていざ鑑賞。いや〜配給担当さんの熱弁も納得の素晴らしい映画でした。

 ざっと作品の説明をしますと、物語の主人公は建築士のスンミンと、ヒロインのソヨン。スンミンの大学の初恋相手だったソヨンが15年後に突然現れ、スンミンに家を建ててほしいと頼むところから始まり、現在の家を建てる過程と、15年前の思い出を回想する構成となっています。

 個人的には、現在パートよりも15年前パートが印象的。冴えないスンミンが、評判の美女であるソヨンに恋い焦がれ、関係を深めていくも、色々あってうまくいかない…。「初恋が大学生って遅くない?」とか「そんな美女がいつまでもフリーでおるわけやろ!」とか、「そんな冴えない男に美女の方から声掛けてくるわけないやろ!」なんてツッコミどころは満載ですが、そこは男子の「美しい妄想・願望」の部分を表現したもの。一方で、彼女とうまくいかずに苦い思いをし、夜中に友人にあーだこーだと相談している姿は、まさに男子の「実体験」ではないでしょうか。懐かしい思いと妄想の部分がうま〜く融合し、「美しい自分の実体験」として観てしまえるのです。

 現在パートでは、すでに綺麗な婚約者がいるにも関わらず、初恋のソヨンの登場で揺れ動くスンミンが描かれます。そして、15年前には互いが不器用だったためにわかり合えなかった部分が、少しずつ紐解かれていく暖かみを感じます。ハッピーエンドでもあり、ちょっと切ないエンディングでもあり、観終えた時にはなかなか良い余韻が漂います。作風は違いますが、初めて『猟奇的な彼女』を観た時のような感覚でした。

 そういえば、『猟奇的な彼女』公開からちょうど10年経ちました。今は、「韓国の純愛映画」というだけでシャットアウトしてしまう人もいるかと思いますが(自分もそうだったので)、まあ試しに観てみてください。10年前、ちょっとでも純愛ブームに乗っかった人は、たぶん楽しめると思います。


bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!平池 由典