2012年08月

2012年08月29日

豪州で見た日本のカルチャー

 夏休みにオーストラリア・南オーストラリア州の州都アデレードへ。そこで見た日本のカルチャー。

 ホテルのテレビで、1990年代に日本で放送されていた料理対決番組「料理の鉄人」。出演者の声は日本語のまま。その上に英語のナレーションと、時々、英語字幕。

 市内のアジア系エンタメ雑貨屋で、トトロ、ドラえもん、キティちゃん、どーもくん等のぬいぐるみ。クレヨンしんちゃんのイラスト入り靴下。アニメ「NARUTO」のポスターなど。となりにはK-POP関連グッズやCDも。

 市内にある大型市場、セントラルマーケットで夜、小規模のコスプレイベントに遭遇。浴衣やゴスロリファッションに身を包んだ現地の女性たち。BGMにはPerfumeの「ポリリズム」が流れていた。

 市内のいたるところに、日本語を冠した飲食店。「SUMO SALADA」「OHASHI」など。出している料理は日本食以外も。

 市内中心部にある時計台(下写真)は、ジブリ映画「魔女の宅急便」(1989年)の中で、飛行船が引っかかってしまう塔のモデルだそう。

「魔女の宅急便」に出てくる塔のモデル

 滞在日数は、3日と半日ほど。日本のアニメ、キャラクター、食…。店の数の多さからみて、とりわけ「食」が日常生活の中に定着し広がっていた印象。中華、韓国料理も含めアジア全般の食が人気だった。

bunkatsushin at 12:45|Permalinkclip!中原 卓彦 

2012年08月25日

パラリンピックを見よう

1_b 世界中が熱狂したロンドン五輪。東京・銀座では50万人を集めたパレードが行われ、大団円。いやよかったよかったなんて言いながら、なんだかすっきりしないのは「パラリンピックがまだ終わっていないじゃないか!」ということ。2020年の五輪東京誘致には、もちろんパラリンピックも含まれているというのに。

 パラリンピックを見ましょう。今や障害者がどうのこうのというレベルではなく、アスリートの戦いとしてすごいのですから。車イス100メートル走の世界記録は13〜14秒台(障害別クラス分けあり)。これものすごいことです。だって腕で走っているのですよ。ちなみに、マラソンなら1時間20分ほどととんでもない早さ。普通にこけたら怪我をするスピードです。

 特に期待したいのが、マーダーボール(殺人ボール)と呼ばれるウィルチェアラグビー(車イスラグビー)です。BSフジ開局10周年記念で、これを題材にした連続ドラマ「ひとりじゃない」というのがありました。1年半前のことですが、その取材がとても記憶に残っています。主演の浅利陽介にインタビューした際、実際にウィルチェアラグビーを体験した彼が「すごい迫力っすよ!」と目を輝かせながら話してくれたことを思い出します。以来、見たいと思いながらも、簡単に見られる機会もなく、やっとこのロンドンパラリンピックで見ることができそうです。

 残念ながら、大きな話題にならないのがパラリンピックですが、日本人はとても活躍するのです。もちろんクラス分けもたくさんありますし、障害者が競技に打ち込みやすい先進国だからということもあるでしょうが、真面目で勤勉な日本人だからハンディに打ち勝てるというところもあるのではないかと思います。そういう魅力は、五輪以上だと思うのです。

 いよいよ29日に開幕です。地上波ではNHKが放送しますが、民間ではスカパー!が無料放送を試みてくれます。本当であれば、影響力の大きい民放地上波が派手に盛り上げてくれるとよいのですが。本来、銀座パレードだってパラリンピックメダリストも参加して行われるべきで、こういった関心が高まらないことには、五輪の誘致もなかなか上手くいかないのではないか、そう感じます。

(C)文化通信

bunkatsushin at 22:32|Permalinkclip!高崎 正樹 

2012年08月23日

イベント取材で観たくなった『放課後ミッドナイターズ』

 色々な映画の会見や舞台挨拶の取材に行くと、ごくたまに「雰囲気の良い」取材現場があります。どのイベントも、監督・俳優の皆さんはいかにその作品が良いか、あるいは撮影現場が楽しかったのかを話されますが、「雰囲気の良い」場合は、登壇者からそれがにじみ出てきます。(その他のイベントの雰囲気が悪いわけではありませんが)

 なぜそれを感じるのか、理由は定かでないですが、監督・俳優が(ただヘラヘラ仲が良いのではなく)ちゃんと一つの方向に向かっていたり、全員が作品に自信を持っていたり、自信を持っているからこそちょっと不安な面を見せたり、様々な要素が絡み合って出てくる雰囲気だと思っています。そして、その作品は良い出来のものがほとんどだと感じます。例えば『サマーウォーズ』の完成披露試写会がそれでした。

 ちょっと長い前フリになりましたが、21日に新宿バルト9で行われた『放課後ミッドナイターズ』のチャリティ上映会でも、そんな雰囲気を感じました。たぶん、イベントに参加した人も同じようなことを思ったのではないでしょうか。

 この作品は、人体模型のキュンストレーキと、骨格標本のゴスが夜中の小学校で繰り広げるアトラクションムービー。モーションキャプチャーで作られたアニメーションです。チャリティ上映会には竹清仁監督と、声優を務めた山寺宏一さん、田口浩正さん、雨蘭咲木子さんが出席し、舞台挨拶が行われました。

 まず、声優の皆さんが話したのが「映像のユニークさ」です。キュンストレーキの不気味なビジュアルを見て、当初山寺さんはオファーを断るつもりだったようですが、参考資料の映像を見て「面白くて(笑)ぜひやらせてほしいと思った」と話していました。また、モーションキャプチャーの動きが楽しく、「演じられた俳優さんに感謝したい」とも。さらに雨蘭さんは「素晴らしい絵で、本当にワクワクされると思います」と熱っぽく語っていました。

 作品が完成した後は、田口さんが息子さんを連れて、山寺さんと共に試写で鑑賞したようですが、「(息子さんが)最初は恐がっていたのに、途中から爆笑で大盛り上がりだった」(山寺さん談)そうです。また、先週行われた香港のプレミア上映の映像が流されたのですが、現地の人も爆笑していて、竹清監督曰く「日本人と同じ所で笑っていた。いやそれ以上だったかも」だそうです。

 締めの挨拶では、雨蘭さんが「今年に入って竹清監督とお会いして、この映画を作るのに5年かかったとお聞きし、胸が熱くなった。(女の子の役を)一生懸命やったし、スタッフの愛情がいっぱい詰まっている」と話し、竹清監督も「雨蘭さんがおっしゃった通り、この作品を作るのに5年かかった。日本のアニメ制作の中心の東京ではなく、博多で作った作品で、初監督、原作なし、のチャレンジだった。けど、色々な人に関わってもらってここまで来ることができた」と万感の表情で語っていました。最後には少し涙ぐんでいたようで、この作品への思い入れの強さが伺えました。また、登壇者皆さんから作品のデキに自信が感じられたのも印象的でした。

 公開は今週土曜日25日から。私も観に行きたいと思います。


bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!平池 由典 

2012年08月21日

シネマイクスピアリで衣装展示

 シネマイクスピアリで、9月14日(金)公開の映画「白雪姫と鏡の女王」の劇中衣装2点の特別展示が、16日から始まりました。

 今回展示するのは、実際に女優陣が撮影時に身にまとった絢爛豪華な衣装。鏡の女王役のジュリア・ロバーツが着用したピーチドレス、白雪姫役のリリー・コリンズが着用した花柄ドレスの2点です。映画公開を前に、特別に日本に届きました。

 そう、デザインを担当したのが、あの石岡瑛子氏。本作の衣装が、今年1月に死去した石岡瑛子氏の遺作となったことは、周知のとおりです。

 実は、石岡氏の衣装展は、8月15日スタートの新宿を皮切りに、9月にかけて全国各地で順次開催中ですが、「映画館」という場所では、シネマイクスピアリのみです。

 展示する場所は、シネマイクスピアリ内ではなく、劇場入口の目の前にあるサテライトスタジオの「スタジオ・イクスピアリ」の中。映画のチケットを買いに来た人は勿論のこと、あの通りを歩けば、自然と目に飛び込んでくる仕掛けです。

 シネマイクスピアリと言えば、オリジナリティあふれる劇場装飾が魅力の一つです。私も何度か取材しましたが、「アリス・イン・ワンダーランド」「カールじいさんの空飛ぶ家」などにおいて、手作業で作り上げた装飾物の数々に、度肝を抜かれた一人です。

 今回の衣装展示は、あくまで借り物ですし、シネマイクスピアリの「外」ではありますが、劇場装飾の系譜に連なるように感じます。

 8月29日まで(8月25日を除く)。連日10〜19時に展示されています。

bunkatsushin at 09:30|Permalinkclip!松本 貴則 

2012年08月20日

「トゥヤーの結婚」について

 アジア映画研究の中で、未見だった中国映画「トゥヤーの結婚」(2006年)を観た。

 なんと美しい映画であろうか。中国国内にある内モンゴルの荒野を舞台に、脚が不自由な夫と幼い子供二人を抱えたトゥヤーの凛として生きる姿、そしてそのヒロインを演じたユー・ナンに魅せられてしまった。

 乾燥化が進んだ草原で、水汲みのために遠く離れた水場と家を往復し、牧畜民として100頭もの羊を世話して生活している厳しい日々。そんな中で、これでもかというくらい不運な境遇に見舞われながらも、家族への“愛”を貫こうとする姿勢に女性の逞しさを見る。

 はじめは黒く日焼けし、汚れている顔。ぶっきらぼうで、子供の躾にも厳しく、働けない夫や隣の家の男の好意にも、疲れ果てているため冷めた態度をとっている。だが、次第に彼女は気立てが良く、働き者で、内に秘めた強い愛を持っていることがわかってくる。

 時折見せる笑顔や挫けそうになった時の涙、ラクダに乗った時の颯爽とした姿勢や歩く姿、そして着飾った時の目を見張る美しさ。もちろん生き抜くために彼女が取った選択には、女性のしたたかさもある。

 しかし、厳しい大自然の中で、愛する家族を守るため、他の男と結婚する道を選ぶ彼女の苦悩する姿を、リアルで美しい映像とともに描き、シンプルに胸を打たれる。

 ラストに見せる彼女の涙の意味は、果たして何を意味するのか。男には一生理解出来ないものかもしれない

 監督・脚本・編集は「月蝕」のワン・チュアンアン。共同脚本は「さらば、わが愛/覇王別姫」などのルー・ウェイ。さらに撮影監督は、ドイツ人カメラマンのルッツ・ライテマイヤーなど、一流のスタッフによって作られた本作。

 またここでも中国映画の底力を感じずにはいられない。第57回ベルリン国際映画祭グランプリ受賞も納得の秀作である。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!和田 隆 

2012年08月15日

今度はソフトバンクと

 エイベックスが9日、新サービスを発表した。

 発表された新サービスは「会員制音楽・映像配信」。ソフトバンクと合弁会社を9月に設立、11月から始める。

 同社は、「映像配信」で実績がある。

 月額525円払えば、国内外の映画、ドラマ、バラエティなど約5000タイトルを、ドコモのスマホで見放題できる映像配信サービス「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」(以下VIDEOストア)。2011年11月にサービスインし今年4月、会員数が100万人を突破、3カ月後の7月、200万人を突破した。

 映像配信事業について、同社の竹内CFOは決算説明会で「今後われわれの成長の原動力になってくれる」と常々、説明していた。そして今のところ、言葉通りになっている。

 そういった中での新サービスの発表。ドコモに続き、今度はソフトバンクと手を組む。映像配信だけでなく、音楽配信も含まれている。サービスの具体的な内容はまだ発表されておらず、注目が集まっている。

 新サービスを発表した後、株価が上がった。9日までの1200円台から、10日には1300円台後半へ。14日には1456円になった。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!中原 卓彦 

2012年08月13日

「ロスト・イン・北京」にみる中国の不確かさ

 政治的には内外に問題を抱えているが、経済成長著しい中国。映画ビジネスにおいても世界の中で急速に巨大なマーケットとなりつつあり、ハリウッドも軸足を中国へ移しつつある。そんな中で、中国の新しい才能も出現している。

 日中国交正常化40周年の今年、“中国映画の全貌2012”のオープニングを飾る1本、「ロスト・イン・北京」(2007年)は、急速な経済発展に戸惑いつつも、それを享受し、エネルギッシュに生きようとする中国庶民の心情を描いた意欲作だ。

 地方の村から北京に出稼ぎに来て、足つぼマッサージ店のマッサージ師として働くピングォとビルの窓ふきをしている夫アン・クン。その足つぼマッサージ店のオーナー、リン・トンと長年連れ添った妻ワン・メイ。物語は、貧しいながらも都会生活を楽しんでいたピングォ夫婦と、経済成長の波に乗り多忙ながらも裕福な生活を享受しているオーナー夫婦の2組4人を中心に描かれる。

 あることをきっかけに、この4人の思惑が入り乱れることになるが、現代中国社会の中に生きる4人の不確かな心情を表現するかのように、カメラは時に焦点が合わず、揺れ動き観るものを不安にさせる。

 中国国内では、当局の指摘により激しいセックス描写などのカットが要請され、カット版が公開されたが、08年に上映禁止処分となったいわく付きの作品。「トゥヤーの結婚」が金熊賞(グランプリ)を受賞した2007年にベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品された。

 監督は、「ブッダ・マウンテン」で2010年の東京国際映画祭芸術貢献賞と最優秀主演女優賞を受賞し注目された女性監督・李玉(リー・ユー)。ベネチア国際映画祭CICAE賞受賞作「紅顔」に続く、製作総指揮、方励(ファン・リー)とのコンビ作で、「ブッダ〜」にも主演しているファン・ビンビンを加えたトリオによるもの。このトリオは今年、最新作「DOUBLE XPOSURE」も製作している。

 ピングォを中国の人気女優ファン・ビンビンが演じ、それまでのイメージを覆す過激な全裸シーンに体当たりで挑んでいるのも見所のひとつだが、したたかに生き抜く女性の姿を魅力的に表現している。

 足つぼマッサージ店のオーナー、リン・トンには、「愛人/ラ・マン」(92年)、「エレクション」(06年)などの香港の名優レオン・カーファイ。経済的な成功を手にした中年男性の悲哀をリアルに表現し、自分勝手だが、その几帳面さと純粋さが周囲をかき回していく様が物語を引っ張っていく。

 主導権を握っているかに見えた男二人が、ラスト、北京の街中を彷徨い途方に暮れる様は、中国の行く末を暗示しているかのようだ。

 今の時代をリアルタイムに描くこと。様々な規制がありながらも、スター俳優と共にしたたかにこういった問題作を撮り上げてしまう中国の新しい才能の波には舌を巻く。

 “中国映画の全貌2012”は、10月6日(土)より新宿K's cinemaにて開催される。配給はオリオフィルムズ。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!和田 隆