2013年02月

2013年02月28日

しょこたんの吹き替え

 先日、完成したばかりの『DRAGON BALL Z 神と神』(3月30日公開)をマスコミ試写で観ました。自分はモロに「ドラゴンボール世代」なので、懐かしい気持ちで久々にあの世界観に浸りました。

 ところで、後日宣伝担当の方と話をしている時のこと、ゲスト声優として起用された「しょこたん」こと中川翔子さんの話題となりました。実は、映画を観ている最中はしょこたんがどのキャラクターの吹き替えを担当しているのか全くわからず、あとで資料を確認して、「あ〜あのキャラだったのね」と知った次第。

 そのことを宣伝の方に話すと、「そうなんですよ。中川さんは、できるだけご自分のことが観客にわからないように演じられていました」とのこと。観ている人が少しでも自分の顔を思い浮かべてしまうようなシーンがあれば、それだけで興ざめされてしまう。ドラゴンボールの世界観を壊さないためにも、「絶対にわからないように」という並々ならぬ意気込みでアフレコに臨まれたそうです。

 それを聞いて、ちょっと感動してしまいました。一ドラゴンボールファンとして、その心意気が嬉しい! 作品への愛を感じます。

 そういえば、しょこたんの吹き替えでは、ディズニーアニメ『塔の上のラプンツェル』でも印象的なエピソードがありました。ディスニーアニメの日本語吹き替えは、毎回声優の選出に時間をかけます。米国本社の審査が厳しく、十何人も候補者を挙げて、ようやくOKが出るそうなんです。

 しかし、ラプンツェル役として候補に挙がったしょこたんは、なんと一発OKで起用が決まったと聞きました。あの作品を日本語版で観た時も、後で「しょこたんがやってたの??」と知ったぐらいで、本当にラプンツェルのイメージにどんぴしゃの吹き替えをされていました。

 タレントの吹き替え版起用に異論を唱えるような記事も目にしたことがありますが、そんな中で、完全にその映画に同化できる、役になりきれる、貴重な存在ではないでしょうか。

 というわけで、しょこたんのさりげない名演をチェックするためにも、皆さん『DRAGON BALL Z 神と神』を劇場に観に行きましょうー!


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bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!平池 由典 

2013年02月26日

“再考”ブラッド・ピット!

 プレシディオが今年一番力を入れる作品は、ブラッド・ピット主演作『ジャッキー・コーガン』。4月26日(金)から公開される。興収目標は大台の10億円。

 ブラピはこの作品で、凄腕の殺し屋を演じている。『ジェシー・ジェームズの暗殺』のアンドリュー・ドミニク監督を再びタッグを組んだ。


 マスコミ試写で配られるプレスの中で、面白い企画があったので、ここで紹介したい。

 『ジャッキー・コーガン』公開記念特別企画“再考”ブラッド・ピット!、と銘打ち、ブラピの過去の出演作ベスト3を配給会社、宣伝会社、ライター、著名人らが選出している。得点は1位に3点、2位に2点、3位に1点を加算する方法。

 配給会社(プレシディオ)と宣伝会社(パブリシティ=レオ・エンタープライズ、WEB=デジタルプラス)の枠では、3社から33名が参加。その結果、1位に輝いたのは『セブン』(44点)。これに『ファイト・クラブ』(40点)が続く。この2作品が、圧倒的な点数を獲得しているのが、特徴と言えそう。

 一方、映画評論家、ライター、著名人の枠では異なる傾向が見えた。36名が参加。1位は『ファイト・クラブ』で、44点を獲得しダントツ。配給・宣伝会社で1位の『セブン』は21点の3位にとどまり、2位には22点を獲得した『リバー・ランズ・スルー・イット』が入った。

 マスコミ枠では、回答者から『ジャッキー・コーガン』へのコメントが付いている。皆さん鑑賞前に答えているのであろうが、かなりの期待値の高さが見て取れる。ちなみに、この枠では同じ監督・主演コンビによる前作『ジェシー・ジェームズの暗殺』が5位(17点)に入っている。

 ブラピの出演作一覧を眺めるだけでも面白い。本当に多種多様な映画に出ている。ブラピはやはり、並のスターではない。


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bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!松本 貴則 

2013年02月25日

第85回アカデミー賞の受賞結果は!?

 有名な映画賞を受賞したからといって、その作品が傑作・名作だとは限らないことはよくわかっている。しかし、やはりアメリカの映画の祭典、アカデミー賞の発表には一映画ファンとして毎年胸が高鳴ってしまう。

 今日、第85回アカデミー賞が発表される。果たして、作品賞はどの作品が獲得するのか!? 

 下馬評では、スティーヴン・スピルバーグ監督の『リンカーン』が最有力との声が高まっているように感じるが、すでに観た『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『レ・ミゼラブル』、『世界にひとつのプレイブック』、『愛、アムール』、いずれの作品も映画的感動を与えてくれるものばかりだ。

 未見だが、3D映画の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の評価もまわりでは高いし、残る一本、『ハッシュパピー〜バスタブ島の少女〜』も負けてはいないのだろう。

 今回のアカデミー賞作品賞のノミネート作品を改めて眺めてみると、『リンカーン』、『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』と政治色の強いものが揃った印象を受ける。『レ・ミゼラブル』だってフランス革命を扱った作品なので入れてもいいかもしれない。

 映画は時代や社会を映す鏡だとよく言われるが、2012年という年にこれらの作品が製作された意味をよく考えた上で受賞結果を見るとさらに面白いと思う。

 ハリウッドは主にユダヤ系の社会であり、さらに投票するアカデミー会員の高齢化などが結果を左右するとは、昔から指摘されている。

 いわゆるアメリカ的な視点、賞的な盛り上がりなどからすれば、『リンカーン』の受賞が順当なのかもしれない。
 だが、『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』のような政治的タブーを扱った作品をエンタテインメントとして作ってしまうところに、ハリウッド映画の底力を感じずにはいられない。

 とはいえ、個人的な好みで言えば、『世界にひとつのプレイブック』が素晴らしかった。最愛の人を失った人間同士(どこかちょっと人とは異なる感性の持ち主同士)が、お互いに足りないものを埋め合うかのように、次第に惹かれ合い、ダンスによって力を合わせ、心が再生していく、生きる意味を再発見していく様は、笑いと涙なくしては観られない。主演男・女優賞、助演男・女優賞、いずれかの賞で獲得することは間違いないと予想する。

 そして、『ジャンゴ』。タランティーノ世代としては、ただ映画的な幸せを感じながら楽しめばいい痛快作であり、余韻に浸れるストーリーテリングは、他の作品とはやはり異なるタランティーノ独自の真骨頂。脚本賞受賞は固いのではないだろうか。

 最後に、一点指摘しておきたいのは、『ザ・マスター』が作品賞、監督賞にノミネートされていないこと。前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の衝撃は今でも忘れないが、ポール・トーマス・アンダーソン監督が外されたのには、何か“政治的”な意図が働いているのだろうか。

 ひとりの人間という存在はいったい何なのか―、アンダーソン監督が追求し提示するその映画的世界に、観終わった後、しばらく席を立てなくなるので注意して欲しい。

 では、受賞結果をお楽しみに!

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bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!和田 隆 

2013年02月20日

地方発ヒットへの取り組み

▼ソニー・ミュージックディストリビューション(SMD)の札幌オフィスは3月4日、北海道札幌市の「cube garden」で道内の音楽業界関係者向けアーティスト・コンベンション「DIAMOND LANE Vol.1 “Second To None”」を開催する。
▼昨年9月に行われた「Vol.0」に続く第2弾。第1弾は道内のCDショップ、媒体、イベンター、ライブハウス、広告代理店など様々なジャンルの業界から150名もの関係者が来場。6組のライブと懇親会が開かれた。来場者からは概ね好評で第2弾、3弾の開催を期待する声が多数あったという。
▼SMDは地域に根ざしたヒットを作り出そうと、昨年から北海道だけでなく東北、中部・北陸、関西・中国・四国、九州と全国各地のオフィス機能強化に取り組んでいる。東北オフィスでは演歌歌手・石原詢子を東北オフィス名誉所長に任命し昨年11〜12月に演歌キャンペーンを実施。名古屋オフィスでは今年1月から東海・北陸エリアの店舗限定で女性アーティスト作品拡売キャンペーンを実施するなど、地域の特性にあった施策を考え実行している。
▼地方のお店との関係を密に… SMD本社(東京)にとって原点回帰の取り組みである。1店でも多くのお店が元気になることを願うばかりである。

bunkatsushin at 10:00|Permalinkclip!中原 卓彦 

2013年02月18日

『ヒューゴ〜』がブルーレイ大賞グランプリ受賞!

 「第5回DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」の授賞式が15日、東京・秋葉原のUDXシアターで行われた。

 同賞は、デジタル・エンターテインメント・グループ・ジャパン(DEG ジャパン)が主催し、昨年1年間に国内で発売されたブルーレイソフトを対象として、ブルーレイの特長を最も生かした映像作品を、ユーザー投票・審査員投票によって審査・表彰するもの。

 グランプリは、マーティン・スコセッシ監督『ヒューゴの不思議な発明』の3Dスーパーセットが受賞。同作は、ベストBlu-ray3D賞も受賞した。

 『タクシードライバー』(1976年)、『レイジング・ブル』(1980年)などの巨匠、マーティン・スコセッシ監督が3D映画を手がけたというだけでも一見の価値ある作品であるが、『月世界旅行』(1902年)などの作品で“SFX映画の父”とも言われるフランスの映画製作者、ジョルジュ・メリエスを描いていることもこの作品を意味深いものとしており、映画愛に満ちた作品だ。

 いま映画はフィルムからデジタルへ、製作から配給、興行まで急速に移行している。そんな過渡期に、最新のテクノロジーとイマジネーションを駆使して、映画創世記の歴史、人物、作品の制作風景をスコセッシ監督が再現してみせてくれたことに、一映画ファンとして胸が熱くなった。

 残念ながら我が家には3D鑑賞環境はないが、授賞式で久しぶりに『ヒューゴ〜』の本編映像を観て、ブルーレイの高画質・高音質で何度でも見直したい衝動に駆られた。

 ビデオパッケージ市場は、引き続き減少傾向で苦しい状況にあるが、劇場とはまた違う映画体験、感動を伝えるひとつとして、この「〜ブルーレイ大賞」のような活動は、映画鑑賞人口を増やすためにも重要だと思う。

 まだまだ一般の人、多くの映画ファンには浸透していないかもしれないが、今年はアンバサダーに無類の映画好きで知られる俳優であり、映画監督でもある竹中直人さんを起用。ブルーレイの魅力を伝える伝道師として頑張ってもらいたい。

bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!和田 隆 

2013年02月14日

2013年春休み公開の主な映画

 ちょっと前に年が明けたと思っていたら、いつの間にかもうすぐ3月ですね。というわけで今日のブログでは、今年3月に公開の主な春休み映画をご紹介したいと思います。

 まずはファミリー向け映画から。今年は例年にも増してアニメが激戦です。

 春休み映画の王者『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』は3月9日公開。今回はドラえもんの大事な首の鈴が盗まれたことから冒険が始まります。一般応募から選ばれた18作品のアイテムも登場するとか。ひみつアイテムに焦点を当てた物語はなかなか興味深いです。

 こちらも定番『映画 プリキュアオールスターズ NewStage2 こころのともだち』は3月16日公開。全プリキュアが登場する「オールスターズ」シリーズの最新作。今回は総勢32名のプリキュアとなりました。もう学校の1クラスが作れますね。今回は「イジメ」がテーマだそうです。

 もしかしてとんでないヒットになるんじゃないかと密かに期待しているのが、洋アニメ『シュガー・ラッシュ』。人気ゲームの悪役が主人公というユニークな設定で、予告編を観ただけでウキウキ。「スーパーマリオ」のクッパも登場するそうです。3月23日公開。

 同じく、すごいヒットになりそうな予感が『DRAGONBALL Z 神と神』。ご存じドラゴンボールの17年ぶりの劇場版アニメ。少年たちはもちろん、ドラゴンボールにはまった20〜40代も必見でしょう。主要キャラはもちろん、ピラフ一味など懐かしいも顔を勢揃いする、お祭りムービーになるそうです。3月30日公開。

 某ホラー映画と一瞬見まがうタイトルの『パラノーマン ブライス・ホローの謎』は3月29日公開。『コララインとボタンの魔女』のチームによる3Dストップモーションアニメです。アカデミー賞の長編アニメ部門にもノミネートされている作品。

 続いて実写の洋画にいきます。

 我らがクエンティン・タランティーノ監督の最新作『ジャンゴ 繋がれざる者』は3月1日公開。アメリカではタランティーノ監督作品史上最高のヒットを飛ばした作品。ディカプリオの悪役をはじめ、『イングロリアス・バスターズ』以来大作への出演が相次いでいクリストフ・ヴァルツ、そして『Ray レイ』のジェイミー・フォックスによる共演が見物の西部劇。

 この人が主演ならまず心配なし、安心マークのデンゼル・ワシントン主演『フライト』も同じく3月1日公開。奇跡的な着陸で大勢の命を救った機長から、アルコールが検出された。偉いのかアカンのか。どっちなの!? ひっくり返って飛んでいる飛行機の予告編はすごいインパクトです。

 『死霊のはらわた』『スペル』・・・というより『スパイダーマン』のサム・ライミ監督によるファンタジー映画『オズ はじまりの戦い』は3月8日公開。あの「オズ」をディズニーが映画化。爪で机を「キキキ〜」とひっかく予告編はゾゾゾッとしました。

 予告編観てもよくわからん!と言いたくなるのが『クラウド アトラス』。6つの時代と場所、6つの人生を生きる男が主人公。19世紀から24世紀を股にかけて、魂の成長を描くそうです。「考えるな、感じろ」ってな感じでしょうか。名優トム・ハンクス主演、『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉弟が監督を務めた作品。

 「ジャックと豆の木」を3D映画化した『ジャックと天空の巨人』は3月22日公開。原作は巨人から間一髪で逃げ切りましたが、この作品では次々とその巨人が落ちてくるそうです。えらいこっちゃ!高低差1万メートルの攻防は3Dの威力を存分に発揮することでしょう。ブライアン・シンガー監督作品。

 ロシア文学の最高峰、文豪トルストイの傑作を映画化した『アンナ・カレーニナ』は3月29日公開。キーラ・ナイトレイの深紅のドレス姿が印象的なビジュアルですよね。共演はジュード・ロウ。『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督作品です。

 最後は邦画にいきます。

 東野圭吾の原作を、嵐の二宮和也主演、『るろうに剣心』の大友啓史監督で映画化した『プラチナデータ』は3月16日公開。最先端のDNA捜査により、検挙率100%、冤罪率0%の社会が訪れようとしていた時、警察庁の天才科学者で数々の難事件を解決してきた主人公が、担当した事件でまさかの「自分」が犯人として追われるハメに。えらいこっちゃ!

 山田洋次監督とタッグを組んできた平松恵美子監督による『ひまわりと子犬の7日間』は3月16日公開。子犬を守ろうとする母犬、その母子犬を守ろうとする父親、その父親を応援する家族、彼らの姿に心を動かされる周囲の人々…絆が次々と結ばれていく様子を描き出すヒューマンドラマ。実話です。

 特殊ガスを吸わされて、子供になってしまった刑事が主人公の『コドモ警察』は3月20日公開。主人公は鈴木福君。もう予告編から笑ってしまいますが、数々の刑事ものにオマージュを捧げるシーンもあるとか。今から楽しみです。

 人気ドラマ「相棒」の新作『相棒シリーズ X DAY』は3月23日公開。そりが合わないサイバー犯罪捜査官と捜査一課刑事のコンビが、国家を揺るがす陰謀に挑む。この作品は試写で観ましたが面白かったです。2人が終始いがみ合いながらも、少しずつ認め合って協力していく姿が、定石ながらもしびれます。

 ウッチャンが監督を務めた『ボクたちの交換日記』は3月23日公開。ピュアで残酷なお笑いの舞台裏を描く青春の物語。伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみなど豪華俳優が共演。主題歌はファンモンが務めます。

 「五体不満足」の著者である乙武洋匡の、3年間に渡る小学校教師としての実体験を映画化した『だいじょうぶ3組』は3月23日公開。国分太一、乙武洋匡が先生役で共演。監督は『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一。撮影本番まで先生と生徒の顔合わせはなかったそうで、劇中の子どもたちの驚きや戸惑いの表情は本物のようです。

 以上、ざっとでしたが3月公開の主な映画をご紹介しました。ほかにも、2月から『ダイ・ハード/ラスト・デイ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『草原の椅子』あたりが公開されているので、春休みにも楽しめるでしょう。

 ミニシアター系からは、個人的には『ザ・マスター』が気になっています。


bunkatsushin at 08:30|Permalinkclip!平池 由典 

2013年02月12日

ブランキー・ジェット・シティの求心力

 1月30日に映連が発表した2012年全国映画概況によれば、昨年のODS全体の興収は47億8900万円を記録した。内訳は、収録ものが27億3900万円、中継ものが20億5000万円。さらに、収録ものの内訳は邦画が25億2000万円、洋画が2億1900万円となった。

 映連では、収録ものの27億3900万円を統計に算入し、2012年の年間興収を1951億9000万円と発表したが、これに中継ものも加算すると1972億4000万円。ODSの興収47億8900万円が全体に占める割合は、2.4%となる。

 この2.4%というシェアを、高いとみるか、低いとみるか、人それぞれだろう。ただ、取材をしていて感じるのは、ODSの本数は確実に増えているが、“成功”と呼べる作品が決して多くはないということ。

 一方で、この“成功”という表現も、曖昧な側面が大きい。単純に動員や興収だけでは計れない。稼働率、物販収入、コンテンツホルダーと配給や興行との関係性、映画人口拡大への寄与、そして、製作費や配給経費が相当額かかる中では、やはり収益性がもっとも肝腎だ。

 そんなことを思いながら、1月のODSの興行状況を調べ、文化通信.proにレポートを掲載した。

 当月に“成功”を強く感じたのは、ブランキー・ジェット・シティのドキュメンタリー『VANISHING POINT』。2000年7月の解散から、はや12年半。どこまで求心力があるのか、正直なところわからなかった。

 フタを開けてみれば、30代後半〜40代後半が中心となる往年のファンは勿論のこと、若年層、特に大学生と思しき男性が、友人同士で来場するケースが非常に多いとのこと。予想を超える好成績となったのは、この若年層の圧倒的支持が大きいといえる。

 解散当時、幼稚園児や保育園児、小学生だったはずの現役大学生たちが、なぜ足を運んだのか。配給サイドは、これから分析をしていく方針だ。周辺情報の一つとして興味深いのは、バンドスコア(楽譜)で最もよく売れるのが、ブランキー・ジェット・シティだということ。

 さて、内容はというと、とても面白い。メンバー間の葛藤が、痛いくらいにリアルに描かれる。長年にわたって苦楽をともにしてきた仲なのに、お互いの気持ちがわからなくなってしまう。大きな溝が生まれ、すれ違って、不安と焦燥がメンバーを襲う。バンドが解散に向かう過程で、ライブの熱狂の陰にあったドラマが、観る者を惹きつける。翁長裕監督、渾身の一作である。


bunkatsushin at 09:00|Permalinkclip!松本 貴則