2010年01月30日

シネカノン民事再生手続申立が意味するもの

 シネカノンが28日、民事再生手続きを申し立てました。負債総額は47億0330万円とのこと。

 日本映画製作者連盟から、3年ぶりに年間興収が2000億円を超えたという09年全国映画概況が発表され、「やはり、映画は不況強い!?」なんていう明るい兆しを示した一方で、同日夜に飛び込んできたニュース。この状況を我々はどう受け止めるべきなのでしょう。

 映画業界紙記者としての視点で言えば、ここ数年のシネカノンの業績不振、取引先(債権者)への支払い期間の延長、信用不安による新たな映画制作や買付資金の調達などが困難になり、事業の継続が疑問視、危ぶまれていることは知っていました。

 いったいシネカノンの業績不振は何が原因だったのか。そもそもの問題点はなんだったのでしょう。経営者の問題なのか、不況の影響か、洋画不振による配給ビジネスの崩壊か、シネコン乱立というミニシアターへの影響か、はたまたインディペンデント会社の性なのか…。

 シネカノン代表の李さんが出した声明文の中には、平成17年に韓国ソウルで開業した映画館が詐欺事件に巻き込まれ、多額の損失を計上したともありますが、様々な要因が重なったとも言えるでしょう。

 一方で、いち映画ファンの視点で言えば、特に韓国映画の「シュリ」「JSA」「殺人の追憶」などのヒット作・良質な作品を日本に配給し、“韓流ブーム”の火付け役を担うと共に、邦画でも「月はどっちに出ている」「パッチギ!」「フラガール」など、メジャーでは作れない意欲的な作品を制作、日本の映画界において独自のポジションを築きあげ、一目おく、魅力ある映画会社だっただけに複雑な思いです。

 平成3年の設立から、李さん独自の視点で海外の貴重な作品たちを紹介すると共に、それまでなかなか映画を監督することが出来なかった中堅監督や、新しい才能を持った若手監督に演出の機会を与えなど人材育成の面でも、そのインディペンデント・スピリッツは業界に刺激を与え、揺り動かしてきたように思います。

 業界のある方が、「李さんは才能あるプロデューサーだが、経営者ではなかったのでは…」と言われていたのを思い出します。

 しかし、私が4年ほど前に李さんにインタビューした時に、既に単館系での洋画配給ビジネス、独立系での制作の厳しい行く末を予見されていたようなことも思い出します。

 2月8日に債権者を集めて説明会を開くということですが、負債が47億円という額だけにどのような説明がなされるのか。

 そして、果たして民事再生の申し立てが承認され、会社・事業を継続させ立ち直ることが出来るのか注目されます。

bunkatsushin at 10:00│clip!(土)和田 隆