2011年04月05日

岐阜県本巣市の新装シネコン、突然の休業

 岐阜県本巣市で、大変な事態が発生しました。3月10日に新装オープンしたばかりの「真正リバーサイドシネマ」と、入居先である「海龍リバーサイドモール」が、3月24日に突然の休業に入りました。報道によれば、シネコン運営会社(海龍)及びモール運営会社(海龍リバーサイドモール)のトップである海野正見氏(占い師の海龍)が、地権者団体の代表者に対し「経営を断念する」と伝え、謝罪したとのこと。業績不振だったモールを海野氏が買い取り、昨秋より運営していたわけですが、同じ報道は、賃料を3ヶ月分滞納し、電気代が支払えず、市への水道料金、温浴施設の入湯税の滞納もあると伝えています。

 シネコンの新装オープンについても、当初から不安視する声がありました。まず、ユナイテッド・シネマが撤退した物件ですから、収益的に難しいのは当たり前のことです。また、占い師の方を悪く言うつもりはありませんが、“日本一のパワースポット”と銘打ったモールのコンセプトに、映画館という商売がどのように結び付くのか、その青写真が見えませんでした。

 それに、運営する側は映画業界においては素人であり、元東急レクリエーションの福井輝彦氏がシネコン運営会社の専務執行役員に就任したとはいえ、聞くところによれば、その福井氏自身は東レク時代に映画畑を歩いた経験はないそうです。映画館運営の根幹である番組編成については、シネマ・アライアンスに業務委託したわけですが、オープニング番組に苦労の痕が見てとれました。旧作が非常に多く、配給会社が作品供給に前向きでなかったのが想像できます。“さすが”と言っていいのか、東宝配給作品は1本もありませんでした。

 休業の情報が入ると、すぐにシネマ・アライアンスや配給会社の代理人が上映プリントを回収するため劇場へ飛び、全てのプリントが配給会社の元に戻ったと聞きました。営業したのは3月10〜23日のわずか2週間ですが、これから映画料の清算もしなければなりません。シネコン運営会社の海龍は他にも事業を行っており、倒産したわけではありませんので、配給会社が海龍に映画料を請求することは可能です。一方で、番組編成業務を行っていたシネマ・アライアンスに、代理請求する向きもあるようです。その場合、シネマ・アライアンスが立て替えることになります。シネマ・アライアンスは、地方の映画館の番組編成を受託していますが、今回の件により、シネマ・アライアンスの信用度は無傷では済まないでしょう。

 また、真正リバーサイドシネマは、ユナイテッド・シネマの設備(映写機、椅子など)をそのまま使用しているそうで、当然ながら譲受金額をユナイテッド・シネマに支払わなければなりませんが、これもきちんと果たせるかは不透明です。2週間分の従業員への給与も、未払いのまま終わってしまうのでしょうか。今回のシネコン及びモールの突然の休業について、責任の大部分は勿論運営会社にありますが、それだけではないような気もします。

 それにしても、なんともお粗末な幕切れ。この結末に驚きつつ、一方で、ここまで差し迫った事情があることを知らずに、弊社の日刊紙で新装オープンの記事をそのまま書いてしまい、自分自身を恥じ入るばかりです。


bunkatsushin at 09:30│clip!松本 貴則