2013年02月12日

ブランキー・ジェット・シティの求心力

 1月30日に映連が発表した2012年全国映画概況によれば、昨年のODS全体の興収は47億8900万円を記録した。内訳は、収録ものが27億3900万円、中継ものが20億5000万円。さらに、収録ものの内訳は邦画が25億2000万円、洋画が2億1900万円となった。

 映連では、収録ものの27億3900万円を統計に算入し、2012年の年間興収を1951億9000万円と発表したが、これに中継ものも加算すると1972億4000万円。ODSの興収47億8900万円が全体に占める割合は、2.4%となる。

 この2.4%というシェアを、高いとみるか、低いとみるか、人それぞれだろう。ただ、取材をしていて感じるのは、ODSの本数は確実に増えているが、“成功”と呼べる作品が決して多くはないということ。

 一方で、この“成功”という表現も、曖昧な側面が大きい。単純に動員や興収だけでは計れない。稼働率、物販収入、コンテンツホルダーと配給や興行との関係性、映画人口拡大への寄与、そして、製作費や配給経費が相当額かかる中では、やはり収益性がもっとも肝腎だ。

 そんなことを思いながら、1月のODSの興行状況を調べ、文化通信.proにレポートを掲載した。

 当月に“成功”を強く感じたのは、ブランキー・ジェット・シティのドキュメンタリー『VANISHING POINT』。2000年7月の解散から、はや12年半。どこまで求心力があるのか、正直なところわからなかった。

 フタを開けてみれば、30代後半〜40代後半が中心となる往年のファンは勿論のこと、若年層、特に大学生と思しき男性が、友人同士で来場するケースが非常に多いとのこと。予想を超える好成績となったのは、この若年層の圧倒的支持が大きいといえる。

 解散当時、幼稚園児や保育園児、小学生だったはずの現役大学生たちが、なぜ足を運んだのか。配給サイドは、これから分析をしていく方針だ。周辺情報の一つとして興味深いのは、バンドスコア(楽譜)で最もよく売れるのが、ブランキー・ジェット・シティだということ。

 さて、内容はというと、とても面白い。メンバー間の葛藤が、痛いくらいにリアルに描かれる。長年にわたって苦楽をともにしてきた仲なのに、お互いの気持ちがわからなくなってしまう。大きな溝が生まれ、すれ違って、不安と焦燥がメンバーを襲う。バンドが解散に向かう過程で、ライブの熱狂の陰にあったドラマが、観る者を惹きつける。翁長裕監督、渾身の一作である。


bunkatsushin at 09:00│clip!松本 貴則