2013年02月25日

第85回アカデミー賞の受賞結果は!?

 有名な映画賞を受賞したからといって、その作品が傑作・名作だとは限らないことはよくわかっている。しかし、やはりアメリカの映画の祭典、アカデミー賞の発表には一映画ファンとして毎年胸が高鳴ってしまう。

 今日、第85回アカデミー賞が発表される。果たして、作品賞はどの作品が獲得するのか!? 

 下馬評では、スティーヴン・スピルバーグ監督の『リンカーン』が最有力との声が高まっているように感じるが、すでに観た『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『レ・ミゼラブル』、『世界にひとつのプレイブック』、『愛、アムール』、いずれの作品も映画的感動を与えてくれるものばかりだ。

 未見だが、3D映画の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の評価もまわりでは高いし、残る一本、『ハッシュパピー〜バスタブ島の少女〜』も負けてはいないのだろう。

 今回のアカデミー賞作品賞のノミネート作品を改めて眺めてみると、『リンカーン』、『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』と政治色の強いものが揃った印象を受ける。『レ・ミゼラブル』だってフランス革命を扱った作品なので入れてもいいかもしれない。

 映画は時代や社会を映す鏡だとよく言われるが、2012年という年にこれらの作品が製作された意味をよく考えた上で受賞結果を見るとさらに面白いと思う。

 ハリウッドは主にユダヤ系の社会であり、さらに投票するアカデミー会員の高齢化などが結果を左右するとは、昔から指摘されている。

 いわゆるアメリカ的な視点、賞的な盛り上がりなどからすれば、『リンカーン』の受賞が順当なのかもしれない。
 だが、『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』のような政治的タブーを扱った作品をエンタテインメントとして作ってしまうところに、ハリウッド映画の底力を感じずにはいられない。

 とはいえ、個人的な好みで言えば、『世界にひとつのプレイブック』が素晴らしかった。最愛の人を失った人間同士(どこかちょっと人とは異なる感性の持ち主同士)が、お互いに足りないものを埋め合うかのように、次第に惹かれ合い、ダンスによって力を合わせ、心が再生していく、生きる意味を再発見していく様は、笑いと涙なくしては観られない。主演男・女優賞、助演男・女優賞、いずれかの賞で獲得することは間違いないと予想する。

 そして、『ジャンゴ』。タランティーノ世代としては、ただ映画的な幸せを感じながら楽しめばいい痛快作であり、余韻に浸れるストーリーテリングは、他の作品とはやはり異なるタランティーノ独自の真骨頂。脚本賞受賞は固いのではないだろうか。

 最後に、一点指摘しておきたいのは、『ザ・マスター』が作品賞、監督賞にノミネートされていないこと。前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の衝撃は今でも忘れないが、ポール・トーマス・アンダーソン監督が外されたのには、何か“政治的”な意図が働いているのだろうか。

 ひとりの人間という存在はいったい何なのか―、アンダーソン監督が追求し提示するその映画的世界に、観終わった後、しばらく席を立てなくなるので注意して欲しい。

 では、受賞結果をお楽しみに!

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bunkatsushin at 09:00│clip!和田 隆