和田 隆

2013年04月02日

【お知らせ】新コーナーがスタートします!

 (株)文化通信社が運営するWebサイト「文化通信.com」に、この4月から新たなコンテンツを順次投入していきます。

 今年2月まで、この外部サイトlivedoorブログで書き綴って来た編集局ブログ「BunLOG」を進化・発展させる形で、文化通信社の各記者がそれぞれ新たなコーナーをスタートさせます。

 創業61年目を迎えた文化通信社に日々集まってくる情報、独自に取材して集めてくる情報が集積する「文化通信.com」において、各記者が独自の視点からその情報を整理・分析し、ディープな業界ネタからライトな速報まで、サイトオリジナルコンテンツを硬軟織り交ぜて発信していきます。

「文化通信.com」バラエティ内で順次スタートする各記者の新コーナー名は以下の通り。

■「サイト編集長のリテラシー」(和田隆)

■映画部デスクの「映画興行あれこれ」(松本貴則)

■中原記者の“特典”満点(中原卓彦)

■平池記者の「競馬ときどき映画」(平池由典)

■高崎記者の「芸能界のミカタ」(高崎正樹)

各コーナーの内容は、乞うご期待ください!
※会長、社長・芸能音楽デスク、放送デスク、特別編集委員の各コラムはコラムコーナーをご閲覧ください。

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2013年03月02日

【お知らせ】

 編集局ブログ“BunLOG”は、2013年2月末を以て一旦休止となりました。
 Webサイト「文化通信.com」で、“BunLOG”を進化・発展させた新たなコンテンツ配信をスタート(春予定)させる予定ですので、そちらを引き続き閲覧くださいますと幸いです。
 ディープな業界ネタからライトな速報まで、エンタメ情報を発信していきたいと考えております。
 長い間、ご愛読頂きまして誠にありがとうございました。(編集部)


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2013年02月25日

第85回アカデミー賞の受賞結果は!?

 有名な映画賞を受賞したからといって、その作品が傑作・名作だとは限らないことはよくわかっている。しかし、やはりアメリカの映画の祭典、アカデミー賞の発表には一映画ファンとして毎年胸が高鳴ってしまう。

 今日、第85回アカデミー賞が発表される。果たして、作品賞はどの作品が獲得するのか!? 

 下馬評では、スティーヴン・スピルバーグ監督の『リンカーン』が最有力との声が高まっているように感じるが、すでに観た『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『レ・ミゼラブル』、『世界にひとつのプレイブック』、『愛、アムール』、いずれの作品も映画的感動を与えてくれるものばかりだ。

 未見だが、3D映画の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の評価もまわりでは高いし、残る一本、『ハッシュパピー〜バスタブ島の少女〜』も負けてはいないのだろう。

 今回のアカデミー賞作品賞のノミネート作品を改めて眺めてみると、『リンカーン』、『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』と政治色の強いものが揃った印象を受ける。『レ・ミゼラブル』だってフランス革命を扱った作品なので入れてもいいかもしれない。

 映画は時代や社会を映す鏡だとよく言われるが、2012年という年にこれらの作品が製作された意味をよく考えた上で受賞結果を見るとさらに面白いと思う。

 ハリウッドは主にユダヤ系の社会であり、さらに投票するアカデミー会員の高齢化などが結果を左右するとは、昔から指摘されている。

 いわゆるアメリカ的な視点、賞的な盛り上がりなどからすれば、『リンカーン』の受賞が順当なのかもしれない。
 だが、『アルゴ』、『ゼロ・ダーク・サーティ』のような政治的タブーを扱った作品をエンタテインメントとして作ってしまうところに、ハリウッド映画の底力を感じずにはいられない。

 とはいえ、個人的な好みで言えば、『世界にひとつのプレイブック』が素晴らしかった。最愛の人を失った人間同士(どこかちょっと人とは異なる感性の持ち主同士)が、お互いに足りないものを埋め合うかのように、次第に惹かれ合い、ダンスによって力を合わせ、心が再生していく、生きる意味を再発見していく様は、笑いと涙なくしては観られない。主演男・女優賞、助演男・女優賞、いずれかの賞で獲得することは間違いないと予想する。

 そして、『ジャンゴ』。タランティーノ世代としては、ただ映画的な幸せを感じながら楽しめばいい痛快作であり、余韻に浸れるストーリーテリングは、他の作品とはやはり異なるタランティーノ独自の真骨頂。脚本賞受賞は固いのではないだろうか。

 最後に、一点指摘しておきたいのは、『ザ・マスター』が作品賞、監督賞にノミネートされていないこと。前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の衝撃は今でも忘れないが、ポール・トーマス・アンダーソン監督が外されたのには、何か“政治的”な意図が働いているのだろうか。

 ひとりの人間という存在はいったい何なのか―、アンダーソン監督が追求し提示するその映画的世界に、観終わった後、しばらく席を立てなくなるので注意して欲しい。

 では、受賞結果をお楽しみに!

【お知らせ】
※編集局ブログ“BunLOG”は、2月末を以て一旦休止となります。
 Webサイト「文化通信.com」で新たなコンテンツ配信をスタート(春予定)させる予定ですので、そちらを引き続き閲覧ください。
 長い間、ご愛読頂きまして誠にありがとうございました。(編集部)

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2013年02月18日

『ヒューゴ〜』がブルーレイ大賞グランプリ受賞!

 「第5回DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」の授賞式が15日、東京・秋葉原のUDXシアターで行われた。

 同賞は、デジタル・エンターテインメント・グループ・ジャパン(DEG ジャパン)が主催し、昨年1年間に国内で発売されたブルーレイソフトを対象として、ブルーレイの特長を最も生かした映像作品を、ユーザー投票・審査員投票によって審査・表彰するもの。

 グランプリは、マーティン・スコセッシ監督『ヒューゴの不思議な発明』の3Dスーパーセットが受賞。同作は、ベストBlu-ray3D賞も受賞した。

 『タクシードライバー』(1976年)、『レイジング・ブル』(1980年)などの巨匠、マーティン・スコセッシ監督が3D映画を手がけたというだけでも一見の価値ある作品であるが、『月世界旅行』(1902年)などの作品で“SFX映画の父”とも言われるフランスの映画製作者、ジョルジュ・メリエスを描いていることもこの作品を意味深いものとしており、映画愛に満ちた作品だ。

 いま映画はフィルムからデジタルへ、製作から配給、興行まで急速に移行している。そんな過渡期に、最新のテクノロジーとイマジネーションを駆使して、映画創世記の歴史、人物、作品の制作風景をスコセッシ監督が再現してみせてくれたことに、一映画ファンとして胸が熱くなった。

 残念ながら我が家には3D鑑賞環境はないが、授賞式で久しぶりに『ヒューゴ〜』の本編映像を観て、ブルーレイの高画質・高音質で何度でも見直したい衝動に駆られた。

 ビデオパッケージ市場は、引き続き減少傾向で苦しい状況にあるが、劇場とはまた違う映画体験、感動を伝えるひとつとして、この「〜ブルーレイ大賞」のような活動は、映画鑑賞人口を増やすためにも重要だと思う。

 まだまだ一般の人、多くの映画ファンには浸透していないかもしれないが、今年はアンバサダーに無類の映画好きで知られる俳優であり、映画監督でもある竹中直人さんを起用。ブルーレイの魅力を伝える伝道師として頑張ってもらいたい。

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2013年02月04日

キネ旬「TKPシアター柏」がオープン!

 2月2日にオープンしたキネマ旬報社運営の新劇場「TKPシアター柏 supported by KINEJUN」の内覧会に1月31日出席した。

 千葉県の柏駅に行くのは初めてであったが、改札口を出て駅周辺を散策してみると、予想していた以上に活気の感じられる、非常に栄えた駅、街の印象を受けた。聞けば柏市は人口40万人以上の都市で、千葉県でも2番目か3番目に所得が高いところらしい。

 いざ、駅改札口を出て新劇場を目指したが、人通りが多く、大きな駅だけにすぐにはわからない。案内書では、柏高島屋ステーションモールS館隣りとあるのだが、S館入り口付近には目立った看板やポスターが見当たらない。

 しばらくウロウロしていると、S館入り口のちょっと横に新劇場ポスターと案内役の女性を見つけた。訊ねてみると、すぐ横の階段を降りて行って下さいとのこと。案内された通り進んで行くと新劇場が見えてきた。

 駅改札口からすぐ横のS館の下へ降りて、(バスロータリーなどからは)裏手の1階に位置する。初めて新劇場に行く人は、案内役の人やポスターがなければちょっと分かりにくいかもしれない。

 さっそく館内を取材してみると、予想していたよりも広く、ゆったりとした印象を受けた。3スクリーンで、それぞれ160席、148席、136席。1階に2スクリーン、2階に1スクリーン。1階にはコンセッションに加え、キネ旬の映画関連書籍が買える「KINEJUN BOOK STORE」、1940年代からの貴重な「キネマ旬報」バックナンバーが閲覧できる「アーカイブ」が併設され、映画ライフログサービス「KINENOTE」用PCも設置されている。

 新劇場関係者に話を聞いてみると、映写機機、椅子を新設し、壁紙などを新しくした以外は、劇場の構造自体は前の劇場(柏ステーションシアター)から変えていないという。非常に開放感があり、映画ファンは鑑賞前後や合間に落ち着いた空間を楽しめるのではないだろうか。

 この新劇場は、キネ旬にとっては非常に重要な意味を持つ(実際の運営はキネマ旬報DD)。清水勝之社長は、「我々は94年目になる出版社だが、保守的になっていた当社にとって、新規事業となる映画館運営は非常に重要なこと」としている。

 とはいえ、周辺にはシネコン、TOHOシネマズの流山おおたかの森、SMTのMOVIX柏の葉があり、あえてその商圏に3スクリーンで挑むことに社内外から危惧する声が寄せられたという。

 しかし、「2000億円のマーケットをまわりの映画館と奪い合おうというつもりは全くなく、新しいマーケットセグメントを創出できないかと思っている」と清水社長。

 「毎日一本、毎週必ず一本観る映画ファンのための映画館、価格を安くしてでもより頻度高く来て頂き、地元の方々に愛されるような映画館、座席の稼働率を上げられる映画館を目指したい」と、キネマ旬報読者を中心に、映画ファンの新たな客層の集客を目指す。

 オープニング上映作品は、「キネマ旬報セレクション」=『あなたへ』、『北のカナリアたち』、第85回アカデミー賞直前!12年の受賞作品から「映画愛」にあふれたこの2本=『アーティスト』、『ヒューゴの不思議な発明』、第86回キネマ旬報ベスト・テン特集からスタート。

 劇場運営は初めてで、オープンまでに並々ならぬ苦労があったようだが、94年目という老舗映画雑誌のキネ旬ブランドを生かし、これまでの業界の既成概念を打破して、読者、映画ファンから柏周辺の一般客をどこまで取り込めるか注目される。

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2013年01月07日

2013年もアニメ映画が牽引か!?

新年明けましておめでとうございます。
本年も文化通信社の編集局ブログ「BunLOG」を宜しくお願い申し上げます。

 さて2013年、巳年、エンタメ業界はどのような年となるか―。映画界では早くも、昨年12月15日より公開中のアニメ映画『ONE PIECE FILM Z』が、1月6日に興収52億円を突破するという頼もしいニュースが飛び込んできた。

 これは東映の2000年以降の配給作品で最高となる興収記録とのこと。グループ会社のティ・ジョイが配給(カラー共同配給)する『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の大ヒットと合わせ、東映は新年のめでたい笑いが止まらないのではないか。今月末に発表される全国映画概況(2012年度)の会見の場での岡田裕介社長の挨拶が今から楽しみである。

 それはそうと、これは昨年から続くアニメ映画の好調を今年も引き継ぐいい興行展開となっているわけだが、今年もまた強力なアニメ映画が控えている。

 筆頭は何と言ってもスタジオジブリの最新作、宮崎駿監督の『風立ちぬ』と高畑勲監督の『かぐや姫の物語』。しかもこれを『となりのトトロ』『火垂るの墓』の88年公開以来25年ぶりに両監督の作品を2本同時公開(但し2本立てではない)するということで、否が応でも期待が高まる。

 この他にも、昨年も絶好調だった東宝配給作品で、人気シリーズの『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ポケモン』『コナン』あたりが、昨年の成績を上回ってくるのか注目される。

 また、他社配給、単館&拡大のアニメ映画の公開が増え、昨年の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』2部作のように予想以上の大ヒットを飛ばす作品も出てくる可能性を秘めている。因に、昨年の日本映画興収上位10本のうち5本(30億円以上)がアニメだった。

 今年はアニメ以外にも、昨年同様実写映画でメジャー、インディともに注目作品の公開が控えている。そんな中で、昨年は興収50億円以上の作品が1本のみと不振が続いている洋画が、どこまで巻き返しを図れるのか、それとも今年もアニメ映画が映画興行を牽引していくことになるのか注目されるところ。

 いずれにしても昨年を上回る興行の盛り上がり、映画鑑賞人口の増加を期待すると共に、そのために我々メディアもどのような役割を担っていけるのか、しっかりと考えて今年も取り組んでいきたい。

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2012年12月17日

役者・山田孝之の“狂気”

 前回に続き、「2012年鑑賞映画回顧」(第2部)を綴ろうと思っていたが、先週観たある映画のある俳優について書かずにはいられなくなった。

 その映画とは、赤堀雅秋監督の『その夜の侍』。そして、主演のひとり山田孝之である。

 作品は、2007年に初演された劇団「THE SHAMPOO HAT」の同名戯曲を映画化したもの。同劇団で作・演出・出演を手がける赤堀が、岸田國士戯曲賞にノミネートされた同戯曲を映画用に自ら脚色し、メガホンもとった。赤堀監督は、先日発表された2012年度「新藤兼人賞」で見事金賞を受賞している。

 しかし、ここでは山田孝之という俳優について語りたい。

 この作品における山田には驚かされ、圧倒的な迫力に衝撃を受けた。近年、メキメキと個性派俳優として実力を示し、その成長ぶりに目を見張ってはいたのだが、この作品で、彼のあるひとつの到達点を見せつけられた思いである。

 ひき逃げ事故を起こし、5年後に刑期を終えて出所した男。その男に「脅迫状」が届く。生きることへの止めようのない「苛立ち」と「孤独」を抱えながら、次第に男は追いつめられていく。

 その「恐怖」を打ち消そうとするかのように、周囲に当たり散らし、手当り次第に刃をむく男。抑えようのない暴力がエスカレートし、周囲はその「恐怖」に巻き込まれていく。

 生きることを諦め切ったような眼、人を怯えさせる威圧感、今にも人をまた殺めそうな殺気、そして時折みせる寂しげな表情。それらを山田はいとも軽々と、楽しそうに演じてみせる。

 この山田が演じたような人間を、私は実際に知っている。小学校時代の「友人」だが、転校生の彼の存在に「恐怖」し喧嘩もした。常に心に「刃」を抱えているような男で、中学校に入る頃から歩む道が分かれていった。

 卒業し、数年経った大学時代だっただろうか、偶然、地元のコンビニで彼を見かけた。レジから怒号が聞こえてくる。バイトらしき店員に何やら因縁をつけているではないか。

 彼の「殺気」は変わっておらず、むしろ数年会わない間に増幅しているようだった。私は立ち尽くし、悲しいかな声をかけられなかった。「恐怖」からなのか、言葉にできない悲しみからか、いや、すでに彼は私の平凡な世界とは違う次元に行ってしまっているように感じたからかもしれない。

 もちろん、彼は人を殺めたりはしていない(と思う)。しかし、そんな同じ「苛立ち」や「孤独」をこの映画の山田から感じた。

 私は以前この欄で、山田孝之の記者会見における「態度」を指摘したことがある。取材する側からすれば、そのやる気のないようなコメントに苦心したからである。いい若手の役者なのだから、もっとリップサービスしてもいいではないかと。

 しかし、それはあくまでも私の見方であって、そんなものは演技者「山田孝之」にとってはどうでもいいことだったのだろう。

 赤堀監督の脚本(脚色)と演出、そして山田と対峙するもう一人の主演俳優、堺雅人の対極的な存在感。さらに綾野剛、新井浩文、高橋努、安藤サクラ、田口トモロヲ、坂井真紀、谷村美月、山田キヌヲら脇を固める俳優陣の見事なアンサンブルが、作品世界を近年にない日本映画に至らしめている。

 最愛の人を奪った人間に復讐を果たすべきか、自ら犯した罪を真に償うことができるのか、自問自答しながら互いに追いつめられていく二人の男の狂気と日常が描き出されるが、その答えは観る者に委ねられる。

 最後の最後まで息の詰まるような作品。2012年、観るべき日本映画の一本である。

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