2005年06月12日

活語雑話(新潮日本文学大辞典)

b31ac0a8.png活語雜話 くゎつござつわ 語學書三編〔著者〕東條義門
【刊行】初編は天保九年刊。天保四年三月十二日の自序あリ。第二編は同十年刊。同十年正月二十三日の自序あり。第三
編は同十一年十一月稿成り、同十三年刊。第三編の後摺本には伊藤馨の序文がある。初摺本にはない。
【内容】活用に關する研究を集めたものである。初編の冐頭に署者自ら記する所では、郷里若狹の小濱の友人及び著者が京都や江戸へ出た時に、その地や諸國の人々と、言葉の活用に就いて話したが、それを折々に書き止めて置いたものを集め、且つ自分一人の活用についての研究をも加へたものである。初編には「自他の詞の事」「をれる斗ぞ女郎花」「給はせる・給はせたる」「いたる・いたれる」「八衢序なる詞の活きの事」「ゐる・をる」「古と今と活きさま異なる詞ども」等三十箇條を集め、第二編には、「又をれる斗ぞをみなへし」「活用五轉のすべてのさだ」「友かゞみ答問」「もみだん・まくらく」「ゆけはゆく・ゆけはゆきの是非」「見ゆ也・見ゆる也の類」「詞を釋くに妄りに延約をもてすベからざる事.附あさまし」等二十五箇條を擧げ、第三編は「植しうゑば」「かなし・悲む・かなしげ・うつくしげ」「みだす・みだる」など活用に關するもの、及び「は文字して受たるに、截るゝ言にていふと、連く言にていふと、又は文字ならでも此別あるさだ」など、係結に關する研究等二十五箇條を集めて居る。なほ第三編の卷末に、この書稿本には「用ひ」と書いてゐたのを、板にする時、すべて「用ゐ」と改めたが、その理由は第四編に記すと云つてゐるが、第四編は出來ないで著者は寂した。
【價値】本書は、主として活用に就いての斷片的研究を集めたが、何れも深い研究と穩當な見解とによって成り、學術的に勝れた價値を有つてゐる。一面また當時の國語學界の情勢を傳へてゐるので、著者義門の傳記賓料として、また國語學史研究の資料として甚だ貴重なものである。
【參考】東條義門の三語學書の初刊について 龜田次郎(藝文一七ノ一二)       〔龜田〕


bunkengaku at 17:15│Comments(0)TrackBack(0)clip!辞典項目 

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