2005年06月13日

亀田次郎・姉ヶ小路式(新潮日本文学大辞典)

aa11eaf1.png姉ケ小路式 語學書 十三卷一册
【著者】未詳
【諸本】祕傳天爾波抄、手爾尾葉祕傳、姉ケ小路てには抄、姉ケ小路てにはの傳、和歌十三ケ條等の名で傳はつて居る諸本は、内容に少しづつの相異はあるが、大體同一の書と認められる(相異は傳寫の間に生じたもの)。何れも寫本(春樹顯祕抄參照)。
【内容】第一卷は初に「やまと歌は、言の葉を以つて色見えぬ心の程をのべ侍る事なれば、てにをはをかんようとす」と云ひ、「十三ケ條口傳」と標してゐる。
(一)はねてにをはの事(らんの係辭)、
(二)治定してはぬる事(思はん、見ん等)、
(三)おさへつめてはぬる事、
(四)のべてはぬる事、
(五)かたうたがひの事、
(六)もろうたがひの事、
(七)爰をみてかしこをうたがひ、かしこをみて是をうたがふはね字、
(八)らし、
(九)あらぬ、
(十)ぬらし、
(十一)まし、
(十二)べき、
(十三)かゝへのかんなを略したるらんのとまり。
次に
第二卷「ぞ」といふ事、
第三卷「こそ」といふ事、
第四卷「や」の字の事、
第五卷「か」の字の事、
第六卷「かは」といふてにはの事、
第七卷志をいふ出葉の事、
第八卷かんなを略する事、
第九卷かなをやすむる事、
第十卷同じでにをは一首の内にあまたおく事、
第十一卷「かな」といふてにをは、
第十二卷ころとまりの事、
第十三卷にてと云ふてには、
と項目を
分け、各章古歌を引いで手爾乎波の用法を説明してゐる。
【價値】本書は各卷の終りに、「右千金をあたふるとも一子ならではゆづるべからず」と記されてゐる歌道の祕傳書である。この點に於て「手爾波大概抄」(別項)等と類を同じくするが「手爾波大概抄」に比するとを類が細かく.一々例證を擧げてゐて、遙に學術的である。
本書を増補訂正したものに「歌道祕藏録」(十三卷一冊。寛文十三年刊)、「和歌てには祕傳抄」(一卷。寶永三年刊)「春樹顯祕抄」(別項)がある。これらは本居宣長の「てにをは紐鏡」(別項)、「言葉の玉緒」(別項)、富士谷成章の「脚結抄」(別項)等の源となつたものと認められる。郎ち「姉ケ小路式」は、てにをは研究の初期に於ける最もすぐれたものであり、而して徳川の中期に於ける宣長・成章等のてにをはの研究の直接的源泉となつたものである。
【參考】手爾波研究に於ける富士谷本居兩家の關係に就きて 上田萬年(言語學雜誌一ノ七)
○脚結抄と詞の王緒とに就きて 保科孝一(國學院雜誌八ノ一)
○姉小路式の類書及その刊本について 龜田次郎(書物の趣味五) 〔龜田〕


bunkengaku at 17:13│Comments(0)TrackBack(0)clip!辞典項目 

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