September 09, 2008

『100回泣くこと』 中村航 【by HANA】3

100回泣くこと (小学館文庫 な 6-1)


 久々の恋愛小説。恋愛小説にしてはすんなり入ってくるかんじだった。本当に誰しも1回産まれて、1回死ぬんだな、と思った。
 人は、小さな小さな個人的幸せの中にどっぷりつかって日常を生きていて、そんなリアルな毎日はずっと続くように見える。でも、突然、パートナーが死病にかかってしまったり、事故にあってしまうことなんて、実は誰にでも起こりうる。
 失ってしまったパートナーとの時間が平凡で当たり前であるほど、限りなく日常に近くて、相手のいなくなった普段の生活の均衡が失われてしまうものかもしれない。
 いったい彼女に会うまでどうやって一人で生きていたんだろう・・・そんな主人公の呆然としたとまどいが、ストレートに伝わってくる。
 結婚の練習期間、さて、これから本番だという一番期待の膨らむ時期のあまりにも突然の永遠の別れ。愛犬ブックの病状の回復→ブックの再起を願って彼女とバイクの修理→プロポーズ・・・いつまでも続くと思われたありふれた幸せの軌跡は、急な暗転、その先は彼女の急死、ブックの死へとむかう。
 そして残されたのは、彼女と共に再生したバイクと、1枚1枚に彼女とのほのぼのした時間が宿るスケッチブックだった。
 僕にとってこれらを封印するまでに、100回泣くということが必要で、モグラの馬力計算や蚊の飛ぶ速さをマッハであらわすことのように(零コンマ何桁の小さくても確実に存在する数字があるように)決して開かない箱のなかには、彼女との短い時間も確実に存在する。
 その箱を携えて、僕の人生はまだ続く。

 ちなみに、表紙の写真は福山雅治氏によるもので、果てしなく繰り返し続くその先へと向かう「僕」の気持ちを象徴したような印象を受ける。

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この記事へのコメント

1. Posted by ぶんこや   September 09, 2008 09:40
うーん・・・ヘビーだな。
ぶんこやは感情移入が激しいから、こういうの読むには勇気が要るんだよね。
2. Posted by HANA   September 10, 2008 22:00
>ぶんこや

これは、入ると思うよ〜^^

泣きたいときはどうぞ。
3. Posted by ぶんこや   September 12, 2008 02:49
最近、泣きたいことってないんだよねー。いい傾向だ!

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