大正751

◇紅梅亭出番順

7年 005

當ル五月一日ヨリ出番順/落語米丸、落語枝女太、落語玉団治、落語春輔、落語小文三、新内吾妻・団朝、落語文団治、清元小若、落語円枝、落語染丸、常磐津文字花、東京人情噺遊三、落語春団治、東京落語円鏡、落語二調妻奴・円子/南地法善寺内紅梅亭/電話南五七一・六三二一番

〈編者註〉『藝能懇話』四号(平成3年)より転載。

大正751日 大阪時事新報

◇浪花三友派 五月は常磐津文字花の外に円鏡、三語楼、小若等東京より来る。

大正751日 大阪時事新報

<桂文治の引退と三代目円馬襲名の事>

◇此頃の落語界 文治の引退と円馬の名 

落語界はいづれとも東京の真打株を呼ぶことに努めている。三友派、反対派と互ひに興行戦をつゞくること茲に久しい。

此頃の落語界消息の二三を挙げて見る、三友派の老将たる文治の引退の噂は大分前からあつたが、愈々五月下旬、南地演舞場で花々敷く引退披露を催す筈。それには来阪中の片岡仁左衛門も出で、得意の義太夫を演るとのこと。引退後はその文治の名は暫くその侭にして置くとの話。何んでも先達東京の小さんが来た時、あの名は自分が預つていた一代切りの約束で名乗らせた名だとかいつていたやうだ。

川柳はいよ〳〵円馬の名をつぎ、五月上旬東京有楽座で披露落語会を催す。さうして当地の円馬はやがて円翁といふ名に改めるさうだ。

大正751 山陽新報(岡山)

<三輔・円坊合同一座・岡山大福座>

◇大福座 一日より東京大阪合同桂三助、橘家圓坊一座の落語にて開演。入場料十九銭。

<編者註>三輔、圓坊一座の番組、下記の通り。

52:雪隠穴(雀之助)小倉船(圓吉)牛ほめ(歌助)桜ノ宮(梅喬)おせつ(歌門)三人片輪(圓松)井戸盗人(三路)せんき虫(圓坊)お染風(三助)

54:太田道灌(可昇)寄合酒(梅喬)四字嫌い(雀之助)こんにゃく問答(圓松)音曲(三路)五人廻し(圓坊)天王寺参り(三輔)

55:道具屋(歌昇)近江八景(梅喬)延陽伯(雀之助)素人車(圓松)音曲(三路)小言幸兵衛(圓坊)新町ぞめき(三輔)大切喜劇

57:釜盗人(歌昇)虱茶屋(梅喬)高尾(雀之助)お文様(圓松)音曲はなし(三路)改良芸妓(圓坊)三十石(三輔)

大正755日 大阪時事新報

<談洲楼燕枝独演会・南地花月亭>

◇談洲楼燕枝独演会 南地花月亭に於ける五日の読物は「搗屋無限」「将棋の殿様」「村中仲造立身談」「おさん茂兵衛実録」。

大正755日 神戸新聞

◇戎座 本日より出番左の如し。

南喬、米昇、圓天坊、蔵人、圓三郎、染五郎、蔵之助、正光、正楽、日本チャップリン、歌路、義太夫、扇蔵

大正756日 大阪朝日新聞

<二代目立花家花橘、電車から落ちる>

◇落語家電車より落つ 大阪市西区北堀江通三丁目落語家菱川市太郎(三十五)が、五日午後八時頃、阪堺線竜神停留場より大浜発恵美須町行第四十号電車『車掌細川徳松(二十三年)運転手井上小一(二十二年)』に運転台より乗車したるに、運転手は発車後之を拒絶したるため、同停留場北側三間半の高所より墜落し前歯三本を折りし外重傷を負ひたり。

〈編者註〉二代目花橘(本名菱川一太郎)は明治17年生れ。初代春団治に次いで大量のレコード吹き込みを残した人。

大正758日 京都日出新聞

<笑福亭の三升家紋右衛門を見る>

◇紋右衛門 紋右衛門と云ふ名を久し振りに見てつい笑福亭を覗いて見ると、丁度枝雀の出番で軽い口調で二度の仕返しを面白可笑しく喋べり続けて満堂の腹の皮を撚らして居る。例の化物長屋、按摩が来る迄に時間で交替。次が一寸唆られ気分に待ち設けた紋右衛門である。盲人紋十郎を相手に出放題の弾き放題を軽う受けては踊り消化(こな)す、兎角高座芸人と云ふ者は嫌やに気取つて又はヲドケたりするもので、シックリ真面目に踊らないものであるが、紋には夫れがない。唯神妙に熱心に勤める。爾(そ)して江戸振りの一寸景気の好い処を見せる。舞台が狭いので頗る踊りにく相(そう)なのは気の毒であるが、割合悠(ゆ)つたりと行くので普通の高座芸人の夫れの如(よう)に下卑ないのが結構である。

大正751112日 大阪朝日新聞

<桂文治引退披露会>

◇桂文治の隠退 久しく落語三友派の主席なりし桂文治は高座の引退を披露して、今後同派の顧問を託され、その披露会を十一、十二の両日南地紅梅亭にて昼夜開く事となり、出演者は現在の三友派一座の上へ、東京より橘家円蔵、同円三及び丸一社中来阪し目下東京巡業中の桂米丸も帰阪する由。(511

◇円蔵と文字花 南地紅梅亭の桂文治引退披露会における(両人の)演題は十一日夜首提灯(円蔵)、伊勢音頭(文字花)、十二日夜妾馬(円蔵)、お光狂乱(文字花)。(512

〈編者註〉『藝能懇話』四号(平成三年)に文治引退披露会の刷物(文治得意の三十石に因んだ図)が(下図)が載る。

7年 007

「花鳥のなかを引きゆく綱手かな 家元桂文治/文治翁舞台引退を祝して 長閑さを歌て引くなり昇り船 桂文団治」

大正7512日 大阪時事新報

<談洲楼燕枝独演会・北陽(北新地)花月亭>

◇花月亭 十二日正午より北新地花月亭にて開演の燕枝夜演会の読物は「巌柳島」「女丈夫」「子殺し地蔵因縁」「梅若礼三郎」。

大正7515日 大阪朝日新聞

<今輔・燕枝二人会・南地花月亭>

◇二人高座 十五日正午より反対派南地花月亭にて東京連の二人高座を開演す。落語の演題は鞠子三人旅とはやし長屋(今輔)、毛氈芝居と髪結新三、弥太五郎源七(燕枝)。

大正7521

◇浪華落語反対派出演順 南地花月亭

大正7年 003

浪華落語反対派出演順 當る五月二十一日より連夜/法善寺内南地花月亭・電噺南四三八番・四一一九番・吉本興行部

出演順:落語紋太郎、落語六三郎、落語小雀、奇術正一、東京落語寿楽、落語手踊菊団治、音曲踊千橘、合奏琴月・古堂、東京人情噺馬生、落語枝雀、清元浮世ぶし喬之助、東京落語舞踊助六、落語枝太郎、落語声色若柳流振事紋十郎・紋右衛門、落語小文枝、東京落語円遊、曲芸張家中・張貴田

〈編者註〉『藝能懇話』十八号(平成19年)より転載。 

大正7526 大阪毎日新聞京都滋賀付録

<今輔・燕枝二人会・新京極笑福亭>

◇[広告]今廿六日 正午開演 今輔・燕枝二人会/三人かたわ・噺長屋 古今亭今輔、搗屋無限・梅若礼三郎 談州楼燕枝/愈々本月限りお名残り/反対派太夫元直営 新京極笑福亭

大正7528日 京都日出新聞

◇京電慰労会 京都電気鉄道…廿七日から四日間北野倶楽部で慰安会を開催。

〈編者註〉第一日目の二十七日に反対派の円次郎、扇遊、若呂光、喬之助、海老一直造その他が出演する。

大正7529日 大阪時事新報

◇高座で卑猥 千日前楽天地の朝陽殿に出演する落語家鯉玉は廿七日夜高座にて猥褻極まる行為を演ぜるを、折柄出張中の南署警官に発見され厳罰に処せられたり。

大正7530日 大阪朝日新聞

<三遊亭円右が来阪、三友派の席に出る>

◇三友派落語出演者 同派の紅梅亭、永楽館、瓢亭其他三箇所の組合席には六月一日より従前一座の外東京より三遊亭円右、同右女助、講談旭堂南陵、丸一小仙一行が出演する。

大正7531日 大阪朝日新聞

<三遊亭円右独演会・紅梅亭>

◇三友派の催し 三十一日の夜は各席にて趣向の興行をなす事とし、南地紅梅亭にては三遊亭円右の独演会を開く。新町瓢亭にては同派一座の美曾加会を催し、出演者は円子、遊三、染丸、文団次、米団治が出演す。

大正761

浪華落語反対派特別大興行出番順 南地花月亭

大正7年 002

浪華落語反対派特別大興行/當る六月一日より連夜開演/(六月東京交代連)新ばし幇間桜川長寿おなじみ、講談界の覇王神田伯山長講壱時間、好評につき雷門助六引続き出演/南地法善寺花月亭 電話南四三八番・四一一九番

出番順:落語紋太郎、落語六三郎、落語小雀、曲芸直造、落語即席噺三朝、身体運動張家中・張貴田、落語舞踊五郎、音曲円若、落語枝太郎、東京人情噺馬生、落語枝雀、落語声色若柳流の振事紋十郎・紋右衛門、講談伯山、声色歌舞操りダンス長寿、東京噺舞踊助六、江戸生粋滑稽茶番歌六・六松・寿楽

〈編者註〉『藝能懇話』十八号(平成19年)より転載。

大正763日 大阪毎日新聞

◇法善寺花月亭及び其他の反対派各席にては六月興行として従来の一座に東京より神田伯山が加はる事となれり。

大正763日 大阪朝日新聞

<紅梅亭の円右を聴く>

◇円右独演会 三十一日の夜南地紅梅亭で円右の独演会を聴く。唐なす屋は冒頭で散々つ腹皮肉をならべてお客様を手前へ〳〵へと引きつけてかゝる手際がうまかつた。三枚起請は軽い出来、余興に右め助の仕込の大砲を挟んで切に芝居噺の宗悦殺し、お得意の小話しを二つ三つ置いて、お別れに団蔵と歌右衛門と松助の声色で大に発揮していた。

〈編者註〉円右独演会は以下の日程でこのあと三回行われた。

二日正午より永楽館。演目は「五人廻し」「文七元結」「双蝶々雪の別れ」

九日正午より紅梅亭。演目は「粟田口」「三人片輪」「伊勢屋」「火事息子」

十二日正午より新町瓢亭:演目は「浜野立志伝」「万歳の遊び」「雪の瀬川」「妾馬」

大正766日 大阪朝日新聞

◇南地紅梅亭に出勤の旭堂南陵は義士伝の内中山安兵衛出立の講演好評にて引続き連夜討入迄演続ける。

大正769日 大阪朝日新聞

◇珍芸会 九日正午より南地花月亭にて桜川長寿、雷門助六の珍芸会。

大正769日 香川新報(高松)

<橘ノ圓一座・高松常盤館>

◇[広告]東京落語 橘乃圓一座/當ル六月十二日ヨリ/兵庫町常盤館

〈編者註〉圓一座の番組は、下記の通り。

618日:兵庫舟(枝右衛門)桜の花見踊(圓之助)磯の鮑舞(右近)莨の出所(正一)袈裟御前(圓好)尺八と丼廻し手踊(白魚)魂津ふじ(圓冶)転宅音曲踊(花團冶)水呑と玉呑曲芸(清国人)子は鎹(圓)大切所作事。

619日:地獄八景(枝右衛門)子供の心(圓之助)大と小(右近)危険術(清国人)芝居穴探し(圓好)丼廻し手踊(白魚)売薬紙(圓冶)百年目(花團冶)奇術空中金魚釣(正一)大仏餅(圓)大切所作事。

621

日:合酒(枝右衛門)小倉舟踊(圓之助)天しき踊(右近)奇術金魚釣り(正一)浮世根問(圓冶)丼廻し手踊(白魚)愛宕山(圓好)紙屑屋(花團冶)曲芸(清国人)天災(圓)大切余興。

大正769日 京城日報

[広告]明治町 電話二六〇番 浪花館/六月九日より開演/京阪落語語楽會一行/落語(小遊)落語踊り(遊玉)落語滑稽浪花節(笑三)落語手踊(遊生)落語音曲(花輔)落語手踊(右圓遊)大切喜劇(総出)/今回も亦々入場料大勉強

大正7611日 大阪朝日新聞

<伊藤痴遊再び来阪、反対派の席へ出る>

◇北陽花月亭は十一日より長寿、助六の外伊藤痴遊、橘円太郎其他従前の一座。

〈編者註〉伊藤痴遊の演目は以下の通り(判明した分のみ)

二十日:陸奥宗光(南地花月亭)、大隈条約(北陽花月亭)、陸奥と下関条約(松竹座)

 二十二日:日清戦争前の浪人の活動(南地花月亭)、乃木将軍と聯隊旗問題(北陽花月亭)

二十三日:陸奥宗光と下関条約、天下の糸平、維新遷都の真相(南地花月亭)

 二十四日:陸奥宗光と大鳥圭介(南地花月亭)、乃木大将と桂小五郎(北陽花月亭)、陸奥宗光の外相就任(松島花月亭)

二十六日:陸奥宗光と日清開戦(南地花月亭)、乃木将軍と旅順の開戦(北陽花月亭)、林有造と岡本枡之助(松島花月亭)

二十七日:陸奥の下関条約(南地花月亭)、乃木将軍殉死(北陽花月亭)、宗光と大鳥圭介(松島花月亭)

 二十八日:伊藤巳代治下関条約(南地花月亭)、伊藤巳代治当世物語(北陽花月亭)、陸奥宗光と小村寿太郎(松島花月亭)

 三十日:憲政擁護、品川談判、三度目の流罪(南地花月亭)

〈編者註〉七月一日付「大阪朝日新聞」に「愈々退阪告別的掉尾の伊藤痴遊独演会題:憲政擁護運動裏面西郷隆盛勝海舟品川談判、西郷隆盛三度目の流罪/来る三十日正午十時開演 南地法善寺境内花月亭」の広告が出る。

大正7611日 大阪朝日新聞京都付録

◇[広告]拾壱日ヨリ交代出演連 三升家紋右衛門枝雀、都若、福松、初春、団勝、門三郎、三朝、星花、桃太郎、小円太、福来、福篤、琴月、古堂、直造/反対派太夫元直営 新京極笑福亭

大正7614日 大阪朝日新聞

<三代目柳家小さんが来阪、三友派の席に出る>

◇三友派の落語 同派の組合各席に出勤せし三遊亭円右は十五日限りにて東京に帰り、引違うて東京より小さんが乗り込出勤す。

大正7614日 京城日報

◇浪花館 京阪落語語楽会一行にて開演したるが、一座はいづれも当地には再び来ることあるもののみなれば、喝采を博すべし。

大正7615日 京都日出新聞

◇京都倶楽部例会 十五日午後七時より例会を開き余興として落語小万光、枝雁、三八、善馬、円丸、子遊、福来、金坊、銀坊等あるべし。

◇無期囚懺悔談 大兇悪を働きたる石井谷蔵と云ふが無期懲役に処せられて三井集治監に苦役中、改悛の情顕著なるものありて特赦の恩命に浴し出獄したるが、自から過去の運命の空恐ろしく、セメテ此懺悔談を社会に伝へて、一は自らの罪を滅ぼし、一は社会風教上の訓戒ともならんかと、十五日より十日間芦辺館にて実□談を試むると云ふ。

大正7618日 九州日報(博多)

◇川丈座(博多) 本日より一週間東京落語三遊亭圓遊一行のお名残興行。今初日の番組左の如し。

高砂屋(清遊)音曲(花遊)ズンゴケ(圓菊)因果塚(小むらく)掛万(圓雀)先代萩(巴丈、長之助)吾妻男(遊朝)流星(圓輔)島田傳八(楽天)追分(美代吉)花見小僧(圓遊)

大正7620日 九州日報

◇川丈座(博多) 東京落語三遊亭圓遊一座は本日より三遊派若手圓平加わりたり。今晩の番組左の如し。

馬鹿しか(遊朝)音曲噺(圓輔)新講談(楽天)桃太郎(圓平)追分(美代吉)地獄巡り(圓遊)

大正7621日 大阪朝日新聞京都付録

◇[広告]二十一日より交代連 金原亭馬生雷門助六桝三、千橘、張少春、夏雲昇、菊団治小南光、三人少女、扇遊、福円、円笑、歌六、橘太郎、六松/反対派太夫元直営 新京極笑福亭

大正7621日 山陽新報

<橘ノ円一座・岡山大福座>

◇山陽座 二十一日より笑福亭福團冶、浪花節戸川浪六、講談砂川鉄丸等にえ開演

◇大福座 落語圓一行二十一日初日の番組左の如し 野崎参り(枝右衛門)虫眼鏡(左近)片袖(圓之助)三十石(正一)池上戻り(圓好)字芸無(白魚)ちしゃ医者(花團冶)曲芸(張家中・張貴月)東京落語忠孝並に仕舞(圓)

大正7622日 大阪朝日新聞

<柳家小さん独演会・三友派各席>

◇柳家小さん独演会 二十三日正午より北陽花月亭席にて小さんの独演会を開く。演題は高砂屋、そこつ、笠碁、富久。

〈編者註〉小さん独演会のこの後の日程と演題は以下の通り。

二十五日南地紅梅亭:演題は廐火事、小言幸兵衛、こしよう、らくだ。余興は同人の常磐津。

二十七日北陽永楽館:演題はうどんや、天災、二階ぞめき、にらみかへし。余興鏡味小金、小仙と三遊亭右女助。

二十八日新町瓢亭:演題は子別れの上の巻、二階ぞめき、〆込、御神酒徳利。余興常磐津式三番叟を小さんが勤める。

二十九日南地紅梅亭:演題は妾の馬、熊の皮、碁泥棒、猫久。