大正1012月 大阪の寄席案内

◇三友派

一日より各席へ三木助、江戸茶番喜楽、菊治、金馬、枝鶴、花橘、円枝が出演。

 十一より各席へ三桂三木助、江戸茶番立花家菊治、宝来家喜楽等出演。

 二十一日より紅梅亭にて連夜忘年演芸会開催。

◇吉本花月派

 二十一日より南地花月亭にて忘年演芸会。当派幹部連一座で「千本桜道行」「宮本武蔵」巌流島等を開演。

二十一日より松島花月亭にて忘年興行安来節一行で開演。

大正101212 大阪朝日新聞京都付録

◇落語花月連 新京極富貴席及び西陣富貴席其他各特約館へ十一日より連夜交代連。

 桂小南光、桂桃太郎、立花家千橘、桂ざこば、桂文団治、海老一直造の曲芸、佃家白魚の珍芸、天小賞(天賞・小賞)の身体運動、虎口竹定の浪花節、新加入柳家長楽の声色等。

◇笑福亭 本場正調安来節女流一座家元二代目の称ある岸本お花一行の新顔連と交代、昼夜二回興行。

大正101213 京都日日新聞

◇顔見せん 興行にひつ例と肩書したものが芦辺館の高座に顕はれた。舞台の上手に出語席を設けて落語の出語り! 登場俳優は一切無言、落語によつて身振りをして芝居をする。顔に面を被つて顔見せぬ歌舞伎否かぶり劇。

大正101216日 香川新報

金丸座(琴平) 十五日から民衆娯楽演芸會の圓次郎と英国人ジョンベール一行は落語手踊音曲奇芸を演じ居る

大正101216日 九州日報

◇川丈座(博多) 忘年興行として東京落語三遊亭門左衛門の若手連十六日より賑々しく開演。入場料は大勉強で各等五十銭均一。初日の番組主なる物左の如くである。

落語手踊(門雀)落語音曲(門之助)落語曲芸(蝶ト一)滑稽二人道中(歌輔、照子)長唄勧進帳並に手踊り(小ゑん、燕朝)浮れの掛取並に舞(門左衛門)切落語喜劇(一座総出)

大正101220 京都日出新聞滋賀付録

◇伊藤痴遊来る 二十一日一日間限り大黒座に出演。

大正101221日 大阪毎日新聞

○民衆読物改善  第四回研究会  
 大阪市教育部社会教育課では予て講談、落語、浪花節等の読物の指導改善に関する研究会を設け、福士教育部長、兼田社会教育課長、堀居博物館長、浅野市視学等を委員として本年七月市庁舎に第一回を開き、浪花親友派幹部役員等を招致して意見を聴取し、更に第二回に京山呑風、第三回には京山福造を聘して得意の一席を語らせたが、今度第四回を二十二日午後二時から天王寺公園市民博物館に催し、講談師旭堂南陵を聘して「浪花名物男」「木下藤吉」の二席を弁じさせる筈。

大正101225日 大阪毎日新聞

◇名人上手と蓄音器 (前略)手近のものでは落語なども好い。が然し蓄音器に入つて面白く人気を博するものと然らざるものとある。而して其れが普通の技術の巧拙に拘らぬ処が一寸興味を引く。即ち落語で例をとると、今の落語界の霸者と許されてる柳家小さん──あの巧を以てして一度レコードに入ると話がしんで了ふので、案外人気がなくて、立花家花橘などが喜ばれるのは全く口跡の明瞭、音の冴えた処が蓄音喜にピタリと嵌まるのであるらしい。(後略)

大正101230日 京城日報

[広告]明治町 電話二六〇番 浪花館/一月一日より東京落語大一座/笑福亭笑三 橘ノ楽天坊 橘ノ圓昇 三遊亭圓之助 桂昇治 橘ノ左近 女道楽 橘ノ圓雀 三遊亭圓次郎 五明楼春輔 橘ノ圓天坊 槌家萬治 橘ノ圓

 

【参考資料】

<大阪紅梅亭(三友派)の日曜会・独演会>

一月九日 

出演者:花橘、円、染丸、松鶴(厄払)円馬(千両富)その他。

一月二十三日 

出演者:円枝、蔵之助、染丸、円馬(茶の湯)松鶴(宿屋の仇討)その他余興。

二月十三日 

出演者:円馬、松鶴、円、遊三、小文三、蔵之助、枝鶴、玉輔、染雀の外に正光の奇術。

三月十三日 

 演目:瘤弁慶、画根問、唖の魚釣、慾の熊鷹、崇徳院、大山詣、中入曲芸、先の仏、実説明からす、腕喰。

六月十九日

番組:小倉船(染雀)、江戸荒物(米之助)、愛宕山(里鶴)、子猫(枝鶴)、抜け雀(花橘)、おはち(蔵之助)、鬼薊(染丸)、ひぐらもち(松鶴)、浪花芝居(円馬)、余興紙細工(巴家おもちや)

九月十八日 

 番組:旅の道づれ(染雀)、絵根問(米之助)、四季の茶屋(塩鯛)、たらちね(花橘)、虱茶屋(円枝)、
 百年目(三木助)、因果塚(遊三)、彼岸会(松鶴 )

十月二十三日

番組:小倉船(染雀)、浮世根問(玉輔)、手誉め(塩鯛)、倹約極意(円枝)、穴どろ(蔵之助)、猿廻し(染丸)、義士伝(一竜斎貞山)、堀越村(松鶴)、文七元結(遊三)等。

十一月十三日 

出演者:米花、玉輔、枝鶴、花橘、円枝、遊三、松鶴、蔵之助、染丸その他余興。

<京都芦辺館(三友派)の日曜会・独演会>

一月十六日(円馬親子会)

番組:四の字嫌ひ(とん馬)、茶の湯(円馬)、大名遊び(ぜん馬)、花見の仇討(円馬)、子別れ上(川
 柳)、子別れ中、下(円馬)。会費五十銭。

一月二十三日(三人会)

番組:新春の旅(一蔵)、無学者(蔵造)、蛸芝居(枝女太)、厄払い(三八)、明烏(川柳)、捨子(一馬)、しんこや新兵衛(三八)、肉付の面(川柳)、城山(一馬)

二月六日(文字花・染丸二人会)

番組:鬼薊(染丸)、沼津印籠取から腹切まで(文字花)、鍬潟(染丸)、おその六三長庵殺し(文字花)、
 補助声色(円三)。

二月十三日

番組:前席(座員)、三で塞(川柳)、先の仏(染丸)、六部機屋(川柳)、百年目(染丸)、声色(円
 三)、艶姿女舞衣三勝半七酒屋段(染丸外一座)

三月六日(第二百六十七回)

番組:瘤弁慶(一蔵)、お七(双馬)、みかん売(蔵造)、作生(白鶴)、廓の酒(ぜん馬)、馬子茶屋(三八)、余興劔舞(一馬)、吉野花山(枝鶴)、散斬お竜(川柳)

四月十日

十日午後一時より美代松のつんぼの機械購入に要する費用調達の為め日曜会を催すよし。

五月八日(第二百六十八回)

番組:三人旅(枝女太)、動物園(玉輔)、無学者(ぜん馬)、不思儀の薬(三八)、植木屋養子(塩鯛)、軍人の妻余興十題即席噺(秋月)、愛宕山(文三)、情死の失敗(川柳)、片袖(染丸)

五月十五日(江戸ツ子会)

出演者:円蔵、萬橘、蔵之助、円坊、とん馬、小はん、英昌、松之助、小奴、愛之助外。

五月二十日(円蔵長演会)

番組:落語(双馬、蔵造)、一つ穴(円坊)、衛生料理(蔵之助)、赤穂新城論(英昌)、剣舞(一馬)、み
 いら取(円蔵)、音曲噺(万橘)、派手彦(円蔵)

六月五日(第二百六十九回)

番組:名所古跡(鯛次)、十とく(蔵造)、音羽山清水寺(白鶴)、新らしい女(枝め太)、三国志(ぜん馬)、八百屋お七(円坊)、天災(三八)、中入剣舞(一馬)、祖師利益(川柳)、昆布巻芝居(花橘)、錦木(遊三)

六月十九日(円枝・遊三二人会)

番組:前席(鯛次)、落語(蔵造、三代松)、薩摩土産(円枝)、おせつ徳三郎(遊三)、余興鈴ヶ森(鶴蔵・一円)、宗悦殺し(遊三)、夢見の八兵衛(円枝)、三人片輪(遊三)

九月十八日(三八・川柳・染丸三人会)

番組:御祝儀(小染)、落葉籠(三八)、はで彦(川柳)、名画応挙(染丸)、真子屋新兵衛(三八)、塩原(川柳)、猿廻し(染丸)

九月二十五日(橘家親子会)

番組:遊さん船(蔵造)、りんきこま(小金馬)、紙屑屋(小円次)、付き馬(円好)、子別れ(円坊)、家庭の逸話(蔵之助)、劔舞(一馬)、江戸式音曲(萬橘)、玉の輿(円蔵)

十一月十三日

番組:竜の都(福の助)、地獄の遊び(小染)、池田の猟師(枝女太)、時計(しん蔵)、即座の智恵(円天坊)、味噌蔵(福円)、中入小鳥の演芸(松島社中)、夢見の八兵衛(福松)、名優淀五郎(川柳)、八足(円笑)

〈編者註〉独演会が日曜会(臨時日曜会)として開催されているのかどうか、新聞記事も各紙曖昧で区別がつかない。とりあえず日曜日の昼に紅梅亭及び芦辺館で開催されたものはすべてここに掲げた。