大学一年生以来の合コンに参加した。昼夜逆転のアル中生活から脱却したいからだった。人生に希望が持てないことがその元凶と考え、嫁さん候補を見付けようと思った。出会い系ビジネス業社のサイトから応募する。
居酒屋の半個室に集まったのは、私を含めた男性三人と女性二人。七十人対四人の先回の合コンよりましだった。しかし、中学生のときに三角関係からクラス全員に無視され、殴る蹴るされて独りで卒業したトラウマを持つ私は、ここでも対立の恐怖からにこにこへらへら皆を持ち上げ、へりくだり、ばかにされるよう仕向け、そのようになった。
女性は二人とも茶髪で、四十近い事務員と三十一歳の飲食接客業アルバイトだった。男性は私以外サラリーマン。一人は体格のいい陽気な営業マンで、もう一人は小さくて暗い技術屋だった。私は「今日は全員が来てよかったと思える会にしたいと思います。心を開いて対話しましょう」と偽善的なことを言った。男同士が蹴落とし合うのを恐れた。
営業マンは「趣味はフットサル。学生時代サッカーをやっていた」と胸を張る。技術屋は「仕事で休みはめったにないけど、ポケモンGOを楽しんでる」とあいさつする。女性軍が喜ぶ。私は「ライターですが、仕事はろくにありません。趣味は街頭演説。酔って出来た子です」と自己紹介した。
営業マンはここぞとばかり私に向き、「お金は重要だと思わないか」と同情のそぶりを見せる。小男の方は、私が何か言う度、もごもごとつぶやいて笑う。私は全くモテない。ボクシングをしていたと明かせばよかったのか。居酒屋を出ると、最後まで残った女性事務員は営業マンにしなだれかかった。
三人は二次会に向かったが、私は「お金を下ろす」と言って帰って来た。モテない現実を直視すると、張り裂けそうな気持ちになる。酔えない酒を飲みにまたバーに足を運び、アル中が一層深まった。
