季節調整値は現状判断DIが前月比3.9ポイント低下の44.6、先行き判断DIが前月比3.7ポイント低下の
45.7といずれも大幅に悪化しました。
部門別の季節調整値をみると、現状判断DIは家計部門が4.5ポイント低下、企業部門が2.3ポイント低下、先行き判断DIは家計部門が3.8ポイント低下、企業部門が2.7ポイント低下となっており、現状、先行きとも企業部門よりも家計部門の悪化幅が大きくなっています。
他の景気指標をみると、鉱工業生産は1月が前月比3.7%上昇しましたが、予測指数は2月が同5.2%低下、3月が同3.1%上昇となっており、1月の実現率がマイナス2.9%、2月の予測修正率がマイナス4.0%といずれも生産計画を大幅に下回っていることからみて、生産は1月にピークアウトした可能性が高そうです。
景気一致指数を構成する有効求人倍率は1月に1.28倍と24年ぶりの水準をつけていますが、1月の新規求人数は昨年12月から減少しており、前年比がすでに3ヵ月連続で低下してきていることや、生産との関係などから判断して、有効求人倍率も1月にピークをつけた可能性が高いのではないかとみています。
景気一致指数の動きの趨勢を握っている鉱工業生産に加えて、有効求人倍率も1月にピークアウトすることになると、景気はこの1月に景気基準日付の山をつけて後退局面に入ることになりそうです。
景気の山に対する株価のピークの先行期間は戦後平均8ヵ月ですが、TOPIXの直近ピークが昨年6月(月中平均)だったので、株価との関係から言っても1月はちょうど景気が山をつけるタイミングに重なります。
先日、立教大学経済学部の山口義行教授のセミナーに参加しました。
もともと中小企業の経営に詳しい方ですが、経済見通しにも明るい方で、もなかなか的を射た話をされていました。
たとえば、景気一致指数とTOPIX(説明では日経平均)を重ねた下のグラフを使い、景気は消費税引き上げ後の2014年以降、ほぼ横ばいであったにも拘わらず、株価は2015年前半まで上昇したが、これは2014年10月にGPIFが国内株式の組み入れ比率を12%から25%に引き上げたためで、15年前半に上限まで組み入れたために買い支えられなくなったので、昨年8月の時点でもうこれ以上株価は上がらないと考えていたそうです。
従って、昨年後半からの株価の急落は売られ過ぎなのではなく、実体経済以上に上がりすぎた株価の調整が起きていると考えるべきであるとの説明に、なるほどと思いました。
また、世界経済はこれまでどこかの国がけん引してきたが、リーマン・ショックで米国がけん引役から降り、次にけん引役となった中国がもはやけん引力を失った。生産過剰を解消するには、設備の廃棄、人員の整理、企業の倒産の3つが不可避だが、これらは一気にはできず最低5年はかかる。このため、経済は昨年8月から停滞期に入ったと考えるべきである、とのことでした。
リーマン・ショックの時に、米国の景気悪化が日本の景気に予想以上に大きな影響を与えたように、今回は中国の景気が日本の景気に予想以上に大きな影響を与えることに警鐘を鳴らしていました。
確かに、新規求人数のグラフのトレンドラインを見ると、勾配が前回(2002年〜2007年)の景気回復期間の時よりも緩やかで、これは、マイナス圏での滞留時間が長くなり、景気後退が長期化することを暗示しているようにも見えます。
調整がどの程度になるのか、いずれにしても中国景気が大きなカギを握っているのかもしれません。