私の相場観

足元の景気指標やマーケットの動きから、株式相場を私がどう読んでいるのかを綴ったものです。

2016年03月

1月が景気の山?

きょう内閣府から2月の景気ウォッチャー調査が発表されました。
季節調整値は現状判断DIが前月比3.9ポイント低下の44.6、先行き判断DIが前月比3.7ポイント低下の
45.7といずれも大幅に悪化しました。
部門別の季節調整値をみると、現状判断DIは家計部門が4.5ポイント低下、企業部門が2.3ポイント低下、先行き判断DIは家計部門が3.8ポイント低下、企業部門が2.7ポイント低下となっており、現状、先行きとも企業部門よりも家計部門の悪化幅が大きくなっています。

他の景気指標をみると、鉱工業生産は1月が前月比3.7%上昇しましたが、予測指数は2月が同5.2%低下、3月が同3.1%上昇となっており、1月の実現率がマイナス2.9%、2月の予測修正率がマイナス4.0%といずれも生産計画を大幅に下回っていることからみて、生産は1月にピークアウトした可能性が高そうです。
景気一致指数を構成する有効求人倍率は1月に1.28倍と24年ぶりの水準をつけていますが、1月の新規求人数は昨年12月から減少しており、前年比がすでに3ヵ月連続で低下してきていることや、生産との関係などから判断して、有効求人倍率も1月にピークをつけた可能性が高いのではないかとみています。
景気一致指数の動きの趨勢を握っている鉱工業生産に加えて、有効求人倍率も1月にピークアウトすることになると、景気はこの1月に景気基準日付の山をつけて後退局面に入ることになりそうです。
景気の山に対する株価のピークの先行期間は戦後平均8ヵ月ですが、TOPIXの直近ピークが昨年6月(月中平均)だったので、株価との関係から言っても1月はちょうど景気が山をつけるタイミングに重なります。
新規求人数2016年2月
先日、立教大学経済学部の山口義行教授のセミナーに参加しました。
もともと中小企業の経営に詳しい方ですが、経済見通しにも明るい方で、もなかなか的を射た話をされていました。

たとえば、景気一致指数とTOPIX(説明では日経平均)を重ねた下のグラフを使い、景気は消費税引き上げ後の2014年以降、ほぼ横ばいであったにも拘わらず、株価は2015年前半まで上昇したが、これは2014年10月にGPIFが国内株式の組み入れ比率を12%から25%に引き上げたためで、15年前半に上限まで組み入れたために買い支えられなくなったので、昨年8月の時点でもうこれ以上株価は上がらないと考えていたそうです。
従って、昨年後半からの株価の急落は売られ過ぎなのではなく、実体経済以上に上がりすぎた株価の調整が起きていると考えるべきであるとの説明に、なるほどと思いました。
実体経済と乖離する株価
また、世界経済はこれまでどこかの国がけん引してきたが、リーマン・ショックで米国がけん引役から降り、次にけん引役となった中国がもはやけん引力を失った。生産過剰を解消するには、設備の廃棄、人員の整理、企業の倒産の3つが不可避だが、これらは一気にはできず最低5年はかかる。このため、経済は昨年8月から停滞期に入ったと考えるべきである、とのことでした。
リーマン・ショックの時に、米国の景気悪化が日本の景気に予想以上に大きな影響を与えたように、今回は中国の景気が日本の景気に予想以上に大きな影響を与えることに警鐘を鳴らしていました。
確かに、新規求人数のグラフのトレンドラインを見ると、勾配が前回(2002年〜2007年)の景気回復期間の時よりも緩やかで、これは、マイナス圏での滞留時間が長くなり、景気後退が長期化することを暗示しているようにも見えます。
調整がどの程度になるのか、いずれにしても中国景気が大きなカギを握っているのかもしれません。

卓球世界選手権を観て思ったこと

私は、中学時代から大学まで卓球をやっていました。
今ちょうど、マレーシアで卓球の世界選手権が行われています。
昨夜は、男子団体戦の準決勝で日本とイングランドの試合があり、テレビで観戦しました。
7年前のブログに、卓球について書いた記事がありました(2009/5/3「世界卓球からのメッセージ」)。
どんなことを書いたのか、読み返してなつかしく思い出しながら、昨日の試合で印象に残ったことを書いてみたいと思います。

今年の男子団体戦は、世界ランキング2位のドイツが予選リーグで敗退する番狂わせがあり、ランキング3位の日本にとっては、勝てば39年ぶりに決勝進出のかかった試合でした。
対するイングランドは、ランキング16位の格下の相手で、大舞台での経験からいっても、日本は比較的楽に勝てるのではないかと思って観ていました。
トップで出た日本のエース、水谷隼は難なく相手を退け、ニ番手の吉村は苦戦したものの、イングランドのエース、ピッチフォードにかろうじて勝ちました。三番手の大島は試合を落としましたが、次の試合で水谷がピッチフォードを破れば、3-1で日本の決勝進出が決まります。ピッチフォードにはすでに前の試合で吉村が勝っているし、個人の世界ランキングは水谷が日本人で最高の7位なのに対して、ピッチフォードは64位と格下の相手なので、安心して試合を観ていられると思っていました。
しかし、いざ試合が始まると、いきなり水谷が点を連取されて離され、雲行きが次第に怪しくなってきました。
そして、ゲームカウント1-2で迎えた4ゲーム目、6-10とリードされて相手がマッチポイントを握り、あと1本取られれば水谷の負けが決まる絶体絶命の場面を迎えました。
これまでの試合の流れから考えれば、奇跡が起こらない限り水谷の逆転は難しいと誰もが思ったに違いありません。
しかし、その奇跡が起こるのを目の当たりにしました。
その後、水谷が6点連取して12-10で逆転し、4ゲーム目を取ると、最終5ゲーム目は後半、ピッチフォードが気落ちしたのか自滅した感じとなり、水谷がこの試合を取って、日本が39年ぶりの決勝進出を決めました。

6-10から逆転できた理由はどこにあったのか。
試合後の水谷選手のインタビューに注目していましたが、「最後まであきらめなかった」こと、マッチポイントを握られたときに、「一本をとることに集中した」という意味のことを言っていました。
ユーチューブで6-10とリードされてから6点連取した時の試合の様子を何度も再生して観直しましたが、どうもこれといった戦術をとったから逆転できたわけではなさそうで、やはり水谷選手本人のインタビューの言葉のとおり、絶体絶命の状況に置かれた時の水谷選手の心の持ち方、心境が奇跡の逆転を呼び寄せたと考えるしかありません。

「最後まであきらめない」、「今現在に最善を尽くす」 
言葉にすれば実に簡単なことです。
しかし、人は誰も、絶体絶命のピンチに立たされた時に、心が動揺し、平常心を失います。過ぎた事への後悔や将来への不安・恐怖に支配されてしまいます。様々な雑念や妄想が湧いてきて、今現在やるべきことに集中できず、「ダメなんじゃないか」という思いが実際に「ダメ」な現実をつくりあげてしまいます。
私たちは、大きな試練に直面した時に、それを打開するための秘策が何かあるのではないかと考えます。策を弄して逆転を狙うわけです。
しかし、大抵の場合、それではうまくいきません。
大きな試練に道を開くために大事なことは、今やるべきことに最善を尽くすこと。その心構えこそが大切であることを、昨日の水谷選手の逆転劇は教えてくれているように思います。
このことは人生すべてに共通していると思います。もちろん、会社の経営にとっても重要な示唆を含んでいるように感じます。

これから、決勝の中国戦が始まります。
実力では中国が上ですが、連夜のドラマに期待したいと思います。

日本を変えようプロジェクト

朝、フトンの中で目が覚めた瞬間に、頭の中に言葉やアイデアがひらめくことがよくあります。
その‘天啓’(?)を私は大切にしています。

今朝、目が覚めた瞬間ひらめいたのは、「会社は第二の家族である」という言葉でした。
色々な企業を見ていて、伸びる会社というのは、経営者と社員、あるいは社員同士の間に家族的な結束がある、ということがどうも共通項であるような気がします。それはまた、かつての日本的経営の強みでもあったと思います。
この会社が成長していくかどうかは、仕事以外の会社の行事がどれだけあるか、仕事が終わって飲みに行ったりとか、仕事以外のつき合いがどれだけあるかが一つのバロメーターになるのではないかと思います。仕事以外にどれだけつき合いがあるかをデータ化して、企業業績との関係を調べてみると、きっとはっきりとした相関関係があるのではないでしょうか。
最近は、仕事以外のつき合いはできるだけ避ける傾向が強いように思います。私自身も、「仕事は仕事」、プライベートな時間はできるだけ会社以外の人と…という気持ちがありました。
でも、そのように社員が思ってしまう原因は、本人以上に、そのような雰囲気の会社にしてしまった経営者にあるように思います。
経営者が社員ひとり一人を家族のように思い、お互いに夢を語り合い、同じ目標に向かって結束して会社の難題に立ち向かうことが、会社の成長にとって不可欠であり、そのことに気付いた会社がこれから伸びていく会社になるのではないでしょうか。

キーワードは‘つながり’です。
それは、新たな時代のパラダイムを象徴する言葉です。

昨日は娘が通っている高校の卒業式に参加しました。
クラスの先生が、壇上で生徒の名前を読み上げ、生徒が順番に立っていくのですが、あるクラスの先生は、名簿も手にせず、真っ直ぐに生徒の方を見ながら40人ほどのクラスの全生徒の氏名を発していたのがちょっとした驚きでした。
順番も間違えずに、全ての生徒の氏名を覚えるのはきっと大変だったと思います。最初は、ちょっとパフォーマンス的な印象を受け、「わざわざそんなこと(氏名を覚えること)に時間を割かなくても…」と思いました。
でも、今朝目が覚めて、昨日のその先生の姿が決してパフォーマンスなんかではなく、「俺はお前たちを皆家族だと思っているぞ。だから名簿なんか見る必要はないんだ」という、その先生の思いが伝わってきたのです。
それとともに、「名簿を見ずに自分の名前を呼ばれた生徒はどう感じただろうか」と、生徒にも思いを馳せてみました。
経営だけではなく教育の現場でも、自分なりに生徒との絆を深めようと努力している先生の姿を、昨日は見せてもらいました。

「日本を変えようプロジェクト」…これも今朝浮かんだ言葉です。
日本はアベノミクスなんかでは変わらない。
経営の、教育の、様々な現場にいる私たちひとり一人が変えていくものであり、それは決して何か大きな事業を始めるということではない。私たちが今いる現場の小さなことから始めることができる。
昨日の卒業式のちょっとした出来事も、そのことを教えてくれた一つであったと思います。
そんな、「日本を変えようプロジェクト」を皆さんで始めてみませんか?

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