企業法務マンサバイバル

ビジネス法務に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きる皆様に貢献するブログ

【本】新・シネマで法学 ― 映画の焦点・法の焦点

 
法曹の活躍や訴訟をテーマにした映画を次々に紹介しながら法律の面白さを説く本・・・なのかと思いきや、趣はそんな予想とは全く異なるアカデミックなもの。

映画が描写する主人公および彼・彼女を取り囲む社会をかいつまんで紹介し、そこから連想される日本の課題を取り上げて、法が現代の日本人の生活・行き方にどのように影響しまたは無力であるのかを語り・問いかける本でした。





憲法の松井茂記先生・刑法の井田良先生・労働法の野田進先生らがこの本でメインの題材として取り上げられてい映画は以下17本。そのテーマとともに転記させていただきます。

 FILM1 『イル・ポスティーノ』
      法,すなわち力を備えた言語の世界
 FILM2 『依頼人』
      法の世界の登場人物
 FILM3 『エリン・ブロコビッチ』
      決着は法廷で?
 FILM4 『リンカーン』
      民主主義は幻想か?
 FILM5 『戦場のメリークリスマス』
      国家による殺人─戦争と平和
 FILM6 『E.T.』
      心のうちにひそむ差別
 FILM7 『アメイジング・グレイス』
      所有するということ
 FILM8 『レオン』
      約束は守るもの?
 FILM9 『ハゲタカ』
      お金に翻弄される人々
 FILM10 『愛,アムール』
      愛する人との約束
 FILM11 『この自由な世界で』
      労働者派遣の法的規制
 FILM12 『最強のふたり』
      社会的排除とのたたかい
 FILM13 『それでもボクはやってない』
      刑事裁判における真実
 FILM14 『デッドマン・ウォーキング』
      刑罰という名の殺人
 FILM15 『ソーシャル・ネットワーク』
      サイバースペースに法はあるか
 FILM16 『チャイナ・シンドローム』
      人は科学技術をコントロールできるか
 FILM17 『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』
      生と死

これ以外にも、それぞれのテーマに関連したサブシネマとして、70超もの映画がちょっとした囲み記事で紹介されています。


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紹介されている映画の多くは私も見たことがあるはずなのに、読めば読むほど悲しいかな「え、そんな映画だったっけ?」と思わされることがしばしば。著者の先生方はしっかりと「人」に焦点を合わせて映画を咀嚼されていらっしゃるのに対し、私はまったくそれができていなかったからだ、ということに読んでいて気付かされます。自分の映画鑑賞力の低さに恥じ入るばかり。

そしてそのことは、自分がビジネスにおいて法律の当てはめをしている中でも「物」「カネ」「情報」に焦点を合わせてばかりで、「人」に焦点をおくのを忘れがちになっていることを示しているんじゃないかという気もしてきました。そう考えると、色々と思い当たるフシがあります。
 

第3回 法務系ライトニングトーク やります(追記あり)

企業法務パーソンたるもの、持つべきものは法務系書籍と法務系友だち!

ということで、 @katax さんと共催する法務系ライトニングトーク(LT)イベントを、今月10月29日(水)に恵比寿で開催することになりました。実に2年ぶりです。

 22:50追記:
 早くも40人の定員をオーバーしてしまいました。。。
 引き続き補欠でのお申し込みされる方がいらっしゃいますが、イベントの特性上キャンセルが少なく、
 繰り上がりは5人程度に留まると思われます。
 せっかくご参加を検討くださったにもかかわらず、申し訳ございません。
 なお「補欠者」状態で当日お見えになられても、受付でご入場をお断りすることとなってしまいます。
 何卒ご注意・ご了承ください。


第3回 法務系ライトニングトーク(ATND)

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お酒を飲みながらのリラックスした場で、5分という限られた時間で参加者が入れ替わり立ち代り、法務に関する「自分が専門にしている・専門にしたいこと」「自分が力を入れて取り組んでいること」をプレゼンしあう、それが法務系ライトニングトーク。

今回は、素敵な恵比寿ガーデンプレイスタワーの新オフィスに引っ越して間もないクックパッドさまのカッコいい偉い方に掛けあいまして、上の写真のような素敵な場所の提供と、飲み物等々のスポンサードを賜ることができ、参加費も無料となりましたー。( ゚Д゚ノノ☆パチパチパチパチ
といいましても、非営利の手作りイベントであることには変わりませんので、当日は私も微力ながら運営まわりや受付等のバックアップでお手伝いをさせていただく所存です (ง •̀_•́)ง。

また今回は、ふだんネット上にはあまり登場されないリアル知り合いの法務の方々にも事前にお声がけをしてみたところ、ありがたくもすでにご参加・ご登壇のご意向を複数いただき、運営サイドの一員でありながら、とても楽しみなイベントとなっています。みなさまにおかれましても、雑誌のインタビューや伝聞では伝わってこない法務パーソンのナマの姿を見て刺激をうけるもよし、LTのネタをきっかけにした法務トークに花を咲かせてお付き合いを広げていただくもよし、人前で自らしゃべるという機会を捉えて自分の成長につなげていただくもよし。とにかく、法務な方々同士の有益な時間にしていただければと思います。

座席数は40席。クローズド感・アットホーム感が保てるぎりぎりの規模を維持しつつ、前回よりも少しばかり定員をふやしてみましたが、もしかすると2〜3日で座席が埋まってしまうかもしれません。お忙しい中とは存じますが、是非ご都合を付けていただき、お早めにATNDの方から参加申し込みをお願い致します。

Google法務の“カウボーイ・ルール”

Google会長を務めるエリック・シュミットが共著者として自ら筆を取ったこの本に、Google法務の仕事に対するアプローチが披露されていました。




これはジョナサンが完成したばかりのグーグルの運動場を見に行ったときに撮影したものだ。標識には運動場の地図が示されているが、スペースの四分の一は免責条項に充てられている。(略)

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弁護士のなかにはスマート・クリエイティブもたくさんいるので、こんな標識を社内で見たときには本当に驚いた。アメリカ産業界ではおなじみの、法律問題に対して過去を振り返りながらリスク回避を再優先に取り組むという姿勢は、インターネットの世紀には通用しない。企業の進化が法律の変化をはるかに上回るスピードで進むからだ。
西部劇には必ずカウボーイが馬を止め、周囲の状況を確かめ、次にどうするか決める場面がある。ケント(注:Google法務責任者のケント・ウォーカー)は部下の弁護士に、カウボーイと同じようにすればいい、とアドバイスする。ときには馬に乗り(もちろん比喩的に)、周囲の様子を素早く確かめたらさっさと先に進んでいいこともある、と。じっくり分析しなければならない決定(大型買収、法令順守の問題など)も多いが、常に馬を降り、起こり得る失敗とその結末を列挙した50ページものブリーフィング(どこがブリーフだ!)を作成する必要はないのだと頭に入れておこう。新しいプロジェクトの初期段階では、いずれにせよ分析が100%正しいことはあり得ない。そういう状況で弁護士に求められるのは、すべての可能性を詳細に分析することではない。不確かな未来を探り、意思決定をする経営者に賢明かつ簡潔なアドバイスを提供することだ。そしてまた馬にまたがればいいんだ、相棒。
法務に関して“カウボーイ・ルール”がうまくいくのは、弁護士が必要に応じて呼ばれるのではなく、初めから経営チーム、プロダクトチームにメンバーとして参加しているときだ。しかも弁護士も適切な顔ぶれを選ぶ必要がある。だからグーグルの創業初期にはなるべくスペシャリストではなくゼネラリストを採用し、また法律事務所や企業、場合によっては非営利団体など幅広く人材を求めた(とはいえ新卒の弁護士はめったに採らなかった)。

商品を仕様書どおりに作り続ければ売上がコンスタントに上がっていた高度経済成長期の企業法務ならいざしらず、消費者から当たり前のように変化と進化を求め続けられる今の時代には、職務分掌規程に法務の仕事の範囲を定義すること自体が難しくなっていて当然だと思います。

こういう時代に求められる企業法務パーソン=“カウボーイ”たりえる人は、引用部の最後にも述べられているように、
・最初からメンバーの一人として呼ばれるだけの信頼と、
・法律の仕事という枠にとらわれずにバックアップする姿勢、さらに
・実際にそれが遂行できるゼネラリストとしての能力
を兼ね備えた人。経営から「彼・彼女なら法律の勘所を抑えた上で、他のメンバーに足りない部分の穴埋めも含め、うまく立ち回ってくれるはず」という期待が寄せられる人には、自ずと情報が集まり、その情報をもとに正しいアドバイス=法務としての価値の高いアウトプットが提供できるという好循環が生まれ、次のプロジェクトにも欠かせない法務パーソンに自然となっていきます。

「そろそろ最終稟議のフェーズなので、法務部門からも毎週月曜やっている定例会議にどなたか一人顔を出していただけますか。どなたでもいいんで。」と、最後のほうでようやく声を掛けられるような“お供え物”法務になってしまっては、気は楽かもしれませんが、仕事は楽しくはなさそうです。
 
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