企業法務マンサバイバル

ビジネス法務に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きる皆様に貢献するブログ。

Pokémon Goの利用規約を分析してみた

 
Pokémon Goが日本でもサービス開始となりました。リリース1日目の都内の私の活動域では、スマホを片手に歩いている人の控えめに言っても1/2がPokémon Goしながら歩いていて、早速トラブルも発生し始めているようです。

前回のエントリでは、米国ですでに発生しているトラブルを参考に、<位置情報×AR>サービスを提供する事業者として検討しておくべき法的リスクについてまとめました。今回はそれに続けて、Pokémon Goのサービス利用規約プライバシーポリシーの中から特徴的な条文を取り上げ、事業者として利用規約という「盾」を使ってどのようにリスクに対処しようとしているのかを学んでみたいと思います。

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利用規約の全体構造


まず、本利用規約の全体構造を見てみましょう。原文には条文番号がつけられていませんが、大見出し・小見出しの階層が分かりやすいように、また説明の便宜のためにも私の方でナンバリングしてみました。

1.本規約への同意
2.本規約又はサービスの変更
3.仲裁に関する注記
4.プライバシー
5.参加資格及びアカウント登録
 5.1お子様による登録
6.安全なプレイ
7.本アプリにおける権利
 7.1アプリストアのアプリに関する追加規約
8.コンテンツ及びコンテンツに関する権利
 8.1 コンテンツの所有権
 8.2 お客様から付与される権利
9.交換
10.バーチャルマネー及びバーチャルグッズ
 10.1 バーチャルマネー及びバーチャルグッズの購入
 10.2 米国外のエンドユーザーによる購入
11.終了時の交換アイテム、バーチャルマネー及びバーチャルグッズの取扱い
12.行動規範、一般禁止事項、及び当社の執行権
13.フィードバック
14.デジタルミレニアム著作権法(DMCA)と著作権に関するポリシー
15.第三者のサイト又はリソースへのリンク
16.終了
17.保証に関する免責事項
18.補償
19.責任の限定
20.紛争解決
 20.1 準拠法
 20.2 仲裁合意
 20.3 仲裁規則
 20.4 仲裁の手続
 20.5 仲裁場所及び手続き
 20.6 仲裁人の決定
 20.7 費用
 20.8 変更
21.一般条項
22.連絡先

項目立てを見るとIngressの利用規約(英語版のみ)と似ており、これをベースに作成されたことが伺えますが、詳細に見ていくとかなり手を加えて進化しています。

その中でも一見して違いが際立つのが、紛争解決条項(3条および20条)の分厚さです。全体で約16,000文字の本利用規約において、その約1/5の約3,300文字がここだけに割かれています。ついで、プライバシー(4条)・子どもによる利用(5.1条)・安全性に関する配慮(6条)などが先頭に並べられているのは、このサービスの特徴である<位置情報×AR>の要素によって発生するリスクに優先度を合わせた配列になっていることを伺わせます。

それでは、全体像を掴んだところで、プライバシー対策・子ども対策・安全対策・紛争対策・免責および責任限定の順に、特徴的な条項を取り上げてみたいと思います。

プライバシー対策


プライバシーについては、利用規約とは別にプライバシーポリシーが存在します。日本で取り入れられはじめた2階建て構造のアプリプラポリとはなっていませんが、位置情報等取得する情報が限定的に列挙され、第三者提供の明示も比較的透明度高くなされており、丁寧なプラポリだと思います。

e.位置情報
本アプリは、位置情報を基にしたゲームです。当社は、お客様(又はそのお子様)が本アプリを利用して、お客様(又はそのお子様)の機器のモバイルオペレーティングシステムを通じて利用できる位置情報サービス(携帯電話基地局による三角測量、Wi-Fiによる三角測量又はGPSを利用するもの)を使用するゲーム上のアクションを行った際に、お客様(又はそのお子様)の位置情報を収集及び保存します。お客様(又はそのお子様)が本アプリを利用した場合にお客様(又はそのお子様)の機器の位置情報が当社に送信されること、また、かかる位置情報の一部及びお客様(又はそのお子様)のユーザー名が本アプリを通じて共有される可能性があることをご理解のうえご了承ください。例えば、ゲームプレイ中に一定のアクションを行った場合、本アプリを通じて、お客様(又はそのお子様)のユーザー名及び位置情報がゲームプレイ中の他のユーザーと共有されることがあります。また、当社は、お客様(又はそのお子様)のために本サービスの改善及びカスタマイズを行うことを目的として、位置情報を使用できるものとします。
c.第三者と共有する情報
当社は、調査及び分析、人口動態(デモグラフィック)のプロファイリング、並びにその他の類似の目的のために、集約された情報及び個人を特定できない形式の情報を第三者と共有できるものとします。かかる情報にはお客様(又はそのお子様)の個人情報は含まれません。

同プラポリは、グローバル(特にEU)対応も徹底されています。このあたりは日本の事業者はまだ追いつけていないところです。

b.オプト・アウト
欧州連合(EU)の加盟国の居住者及びお子様の親権者等については、お客様が当社のメーリングリストに登録すること(又は当社のメーリングリストにお客様のお子様を登録すること)を選択した場合、当社は、本サービスを直接宣伝する無料のニュースレター及び電子メールを定期的にお客様(又はそのお子様)に送信します。その他のユーザーについては、お客様が本アカウントの登録中に当社のメーリングリストに登録すること(又は当社のメーリングリストにお客様のお子様を登録すること)を拒否(オプト・アウト)しなかった場合、当社は、本サービスを直接宣伝する無料のニュースレター及び電子メールを定期的にお客様(又はそのお子様)に送信します。お客様(又はそのお子様)が当社からかかる宣伝メッセージを受領した場合、お客様(又はそのお子様)は、(お客様(若しくはそのお子様)の本アカウントを通じて、又はお客様(若しくはそのお子様)が受領した電子メールに記載される配信停止の操作を行うことにより)かかるメッセージの配信を拒否(オプト・アウト)することができます。本サービスに関する一定のメッセージ(本プライバシーポリシーの更新に関するメッセージ等)はお客様(又はそのお子様)に送信する必要があるため、かかるメッセージについては、配信を拒否(オプト・アウト)することができません。
9.国外への送信
お客様(又はそのお子様)の個人情報は、お客様の居住する州、省、国又はその他の管轄の外に所在するコンピューターに送信及び保存されることがあります。その場合、当該地域のプライバシーに関する法律は、お客様の居住国のものと同等の保護を与えるものであるとは限りません。米国外に居住するお客様が当社にお客様(又はそのお子様)の個人情報を提供することを選択した場合、当社は、お客様(又はそのお子様)の個人情報を米国へ転送し、米国において処理することがあります。当社がお客様(又はそのお子様)の個人情報をお客様(又はそのお子様)の居住国以外の管轄へ転送する場合は、その安全性に関して適切な保護措置を講じることを保証します。お客様は、お客様(又はそのお子様)の個人情報を米国に転送しないよう請求することができます。ただし、その場合、当社がお客様(又はそのお子様)に対して本サービスの一部又は全部を提供できないことがあります。


子ども対策


ポケモンというIPを使っているだけに、子どもによる利用に対する対処が不可欠です。その点で特徴的な条文をいくつか見つけることができます。

日本の一般的な利用規約では、「未成年者の場合は親権者の同意が必要」「同意したものとみなす」という建付けになっているものがほとんどですが、本利用規約では、米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)対策とあわせて、「親権者が未成年者の契約に同意」するのではなく「親権者が代理して契約」をするという建付けになっています。

お客様が13歳未満のお子様の親権者又は法的な保護者(以下「親権者等」といいます。)である場合、お客様自身のために、かつ、本規約及び当社のプライバシーポリシーにおいて本サービスの利用を認められているお客様のお子様を代理して、本規約に同意することになります。(1.本規約への同意)
当社は、PTCが管理する検証及び同意取得プロセスを通じて、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act(COPPA))を遵守します。13歳以上のお客様がPTCを通じて本アカウントを作成登録する場合、PTCは、お客様が本サービスにアクセスして本サービスを利用できるようにします。13歳未満のお子様の親権者等は、お子様による本サービスの利用の前に、PTCを通じてThe Pokemon Company International, Inc.(以下「TPCI」といいます。)に登録する必要があります。TPCIは、親権者等が当該お子様の親権者等であることを確認し、当該お子様について当社での本アカウントの作成を承諾することを求めます。TPCIは、親権者等の確認及び同意の両方が得られ次第、当該親権者等がお子様のために当社での本アカウントを作成することができるようにします。(5.1 お子様による登録)

しかし、日本ではしばしば問題として取り上げられてきた子どもによる課金についての利用規約上の対策は、特に日本向けにカスタマイズされている様子がありません。加えて、日本のアプリ事業者が頭を痛めている資金決済法対応についても、アプリ内含めそれに対応した表示が確認できません。バーチャルマネーとして販売されているポケコイン等を、資金決済法に基づく前払式支払手段として届出をするつもりがあるかどうかも不明です。

バーチャルマネー及びバーチャルグッズの購入は、本アカウントの保有者が(a)18歳以上である場合、又は(b)18歳未満である場合は、購入にあたって親権者等の同意が得られている場合に限られます。18歳未満のお子様の親権者等は、iOSやGoogle Playの設定によってアプリ内での購入を制限することができますが、同時にお子様が保有する本アカウントにおいて予期せぬ行動(バーチャルマネー又はバーチャルグッズの購入等)がないかどうかを監視しておく必要があります。(10.1 バーチャルマネー及びバーチャルグッズの購入)
お客様のバーチャルマネーのライセンス期間中、お客様は自身のバーチャルマネーを指定されたバーチャルグッズと引き換える権利を有します。親権者等は、本規約を自身のお子様を代理して承諾し、お子様が単独でこの権利を行使することについて自身の同意を得ていることに同意し、確認するものとします。(10.1 バーチャルマネー及びバーチャルグッズの購入)

一方、(子ども対策ではありませんが)オンライン購入の撤回権について、プラポリ同様グローバル(EU)対応が施されているのは、さすがといったところ。

バーチャルマネー及びバーチャルグッズは、本サービスへのアクセス及び使用が許可された国の合法的居住者のみが購入し、保有することができます。お客様が欧州連合(EU)の加盟国に居住する場合は、オンラインによる購入を撤回する一定の権利を有します。しかしながら、お客様が当社からバーチャルマネーをダウンロードした時点で、お客様の撤回の権利は失われます。お客様は、(a)バーチャルマネーの購入には、かかるコンテンツの即時のダウンロードが伴うこと、及び(b)一度購入が完了したものについては撤回の権利を失うことについて同意するものとします。お客様が欧州連合(EU)の加盟国に居住する場合、当社は、法律で義務付けられる場合には、お客様に付加価値税(VAT)の請求書を発行します。お客様は、かかる請求書が電子形式で発行されることについて同意するものとします。当社は、お客様に対して何ら責任を負うことなく、バーチャルマネー又はバーチャルグッズを管理、規制、変更又は削除する権利を留保します。(10.2 米国外のエンドユーザーによる購入)


安全対策


Pokémon Goが社会的に不安視されているのは、ユーザーの安全に対する事業者としての配慮・対策の部分です。この点、本利用規約では、あくまで自己責任であることがかなりのボリュームで語られています。

ユーザー目線ではやや冷たく感じられる文面ですが、ここは致し方無いところでしょう。「自分で保険に入っとけ」とまで書いてあるのは、さすが米国企業らしいなあと思いました(笑)。

ゲームプレイ中は、お客様の周囲の状況に注意し、安全にプレイしてください。お客様は、お客様による本アプリの利用及びゲームプレイはお客様自身の責任で行うこと、並びに、本サービスの利用中にお客様が被る可能性のある損害に関してお客様が合理的に必要であると考える健康保険、損害賠償保険、災害保険、人身傷害保険、医療保険、生命保険及びその他の保険契約をお客様の責任において維持することに同意するものとします。また、お客様は、本アプリを利用することでいかなる適用法令若しくは規則(不法侵入に関する法律を含みますが、これに限りません。)又はトレイナーガイドラインにも違反しないこと、及び、他者がいずれかの適用法令若しくは規則又はトレイナーガイドラインに違反することを助長しない又は可能にしないことに同意するものとします。上記を制限することなく、お客様は、お客様による本アプリの利用に関連して、他者に精神的苦痛を与えないこと、他者に屈辱を与えないこと(人前であるか否かを問いません。)、他者を攻撃又は脅迫しないこと、許可なく私有地に侵入しないこと、他者になりすますか、又は、お客様の所属、肩書若しくは権限を偽らないこと、並びに、傷害、死亡、物的損害又はあらゆる種類の責任を引き起こす可能性のあるその他の活動に関与しないことに同意するものとします。(6.安全なプレイ)
お客様は、本サービス利用中のお客様自身の行為及びユーザーコンテンツ並びにこれらにより引き起こされるあらゆる結果について責任を負うことに同意します。本サービスの利用に際して禁止される行為及びユーザーコンテンツの内容については、トレイナーガイドラインをご参照ください。お客様は、本サービス及びコンテンツの利用にあたって、以下の行為(一例であり、これらに限定されません。)を行わないことに同意します。
  • 名誉毀損、権利濫用、嫌がらせ、誹謗中傷、ストーカー行為、脅迫又はその他の方法により他人の法的権利(プライバシー権及び肖像権を含みます。)を侵害すること。
  • 違法、不適切、中傷的、わいせつ、性的、低俗、攻撃的、詐欺的、虚偽的、誤解を招くような又は欺瞞的なコンテンツ又はメッセージをアップロード、投稿、メール、通信又はその他の方法で利用可能にすること。
  • 個人又は団体に対する差別、偏見、人種差別、憎悪又は嫌がらせを助長し、又はこれに加担すること。
  • 不法侵入又はその他の方法で、権利又は許可のない土地又は場所への侵入を企図し、又は実際に侵入すること。
  • 適用法令に違反し若しくは適用法令に違反しうる行為、又は民事責任を生じさせうる行為を助長すること。(以下略)
(12.行動規範、一般禁止事項、及び当社の執行権)
お客様は、本サービスの他のユーザー及びお客様が本サービスの利用に伴いコミュニケーション又は交流するその他の者とのすべてのコミュニケーション及び交流には、(特に、お客様がオフラインで又は直接会うことを選択した場合には)合理的な注意を払うことに同意するものとします。(17.保証に関する免責事項)


紛争対策


現実問題として、これだけグローバルにヒットしたアプリとなると、紛争の発生は避けられません。一般的な利用規約では、法的に有効かはさておき、「事業者(の本社)が所在する国・地域の裁判所を専属的管轄裁判所として合意する」旨の条項を入れておき、あとは紛争が起きないようにお祈りする…というものがほとんどでした。

これに対し、本利用規約では、集団訴訟は制限しつつも、個別仲裁手続きにのみによること(ただし仲裁地は各国に対応)としています。集団訴訟を放棄させる条項の有効性についてはUberなどが現在も法廷で争っており、論点かとは思いますが、少なくとも、一般的な利用規約の紛争解決条項よりは考え抜かれた合理的なものになっていると評価してよいのではないでしょうか。

仲裁に関する注記:お客様が拒否(オプト・アウト)した場合、及び下記「仲裁合意」のセクションに記載される特定の種類の紛争である場合を除いて、お客様は、お客様と当社の間の紛争が拘束力のある個別仲裁により解決されること、及びお客様が陪審裁判を受ける権利又は原告若しくは集団訴訟の原告として集団訴訟若しくは代表訴訟と称されるものに参加する権利を放棄することに同意するものとします。(3.仲裁に関する注記)
お客様と当社との間で別段の合意がなされない限り、仲裁は、お客様の居住する国において行われます。お客様による請求額が10,000ドルを超えない場合、お客様が聴聞を請求しない限り又は仲裁人が聴聞が必要であると判断しない限り、仲裁は、お客様及び当社が仲裁人に提出する書類のみに基づいて行われます。お客様による請求額が10,000ドルを超える場合、お客様の聴聞に対する権利はAAA規則に従って判断されます。AAA規則に従うことを条件として、仲裁人は、仲裁の迅速性に沿うように、当事者による合理的な情報交換を指示する権限を有するものとします。(20.5 仲裁場所及び手続き)

なお、この仲裁合意は、最初に利用規約に同意した日から30日以内に限り、オプトアウトの手続きにより適用されないようにすることもできます。米国では早速オプトアウトを推奨する記事もでていました。

お客様がその他の紛争について訴訟を起こすことを望む場合、お客様が本規約を最初に承諾した日から30日以内に、その旨を当社に対して書面にて通知した場合(電子メールの場合は termsofservice@nianticlabs.com 宛に、又は通常の郵便の場合は2 Bryant St., Ste. 220, San Francisco, CA 94105宛に)(かかる通知を、以下「仲裁オプトアウト通知」といいます。)、お客様はかかる紛争を提訴する権利を有することとなります。お客様がかかる30日の期間中に当社に対して仲裁オプトアウト通知を行わない場合、上記(a)及び(b)に明示的に規定されたものを除き、お客様は、お客様による紛争提訴の権利を、故意にかつ意図的に放棄したものとみなされます。知的財産保護措置、又はお客様が期限までに当社に仲裁オプトアウト通知を行った場合の専属裁判管轄権及び裁判場所は、カリフォルニア州北区に所在する州及び連邦裁判所とし、本規約の当事者はそれぞれ、かかる裁判所の裁判管轄権及び裁判場所についての異議申立てを放棄します。(20.2 仲裁合意)


免責および責任限定


利用規約においてもっとも重要な免責・責任限定条項です。こちらは日本の消費者契約法にも対応した、隙のないものになっています。責任の上限額として1,000ドルと天井を付けているのも、常識的なところかなと思います。

適用法令により許容される限度において、当社、TPC若しくはTPCI又は本サービス若しくはコンテンツの作成、製作若しくは提供に関与したその他の当事者のいずれも、(a)本規約に起因若しくは関連して、又は(b)本サービスの利用(若しくは利用できないこと)により、又は(c)本サービスの他のユーザー若しくはお客様が本サービスの利用に伴いコミュニケーション若しくは交流するその他の者とのコミュニケーション、交流若しくは会合により生じた、いかなる間接的損害、偶発的損害、特別損害、懲罰的損害賠償又は派生的損害(利益損失、データ若しくは業務上の信頼の喪失、サービスの中断、コンピューターへのダメージ若しくはシステム障害又は代替サービスのための費用を含みます。)についても、当該責任が保証、契約、不法行為(過失を含みます。)、製造物責任又はその他の法的根拠に基づくものであるかを問わず、また、当社、TPC若しくはTPCIが当該損害の可能性を知っていたか否かを問わず、たとえ本規約に定められた限定的な救済が、その本質的な目的を達成できなかったと判明したとしても、お客様に対して責任を負いません。一部の法域では、派生的損害又は偶発的損害に対する責任の除外及び制限を認めていないため、上記の責任の制限が適用されるのは、該当する法域の法令によって許容される最大限までとします。

本規約に起因若しくは関連して、又は本サービス若しくはコンテンツの利用若しくは利用できないことにより生じる当社、TPC又はTPCIの責任の合計額は、いかなる場合においても1,000ドルを超えないものとします。上記の損害の除外及び限定は、お客様と当社の間の取引の基礎となる不可欠の要素です。(19.責任の限定)


おまけ


現在は実装されていませんが、利用規約をみていると、Facebookアカウントとの連携や、

お客様は、(a)既存のグーグルアカウント、(b)既存のPokemonトレーナークラブ(以下「PTC」といいます。)アカウント、(c)既存のフェイスブックアカウント又は(d)将来において当社がサポートすることを決定するその他の既存の第三者のアカウント(アカウント作成画面において当該既存アカウントの選択を可能にすることによって通知されます。)をお持ちであれば、本アカウントを作成することができます。(5.参加資格及びアカウント登録)

ポケモンの交換機能も予定されていることが伺えて、興味深いです。

本アプリでは、本アカウントの保有者が、ゲームプレイ中に仮想上のアイテム(ポケモンのキャラクターや生物を含みますがこれらに限りません。)(以下「交換アイテム」といいます。)を捕まえたり交換したりできます。バーチャルマネーやバーチャルグッズ(下記参照)と異なり、交換アイテムの取得にあたっては、ゲームプレイ中の追加の課金は必要ありません。交換アイテムは、コンテンツの一つであり、当社は、お客様の個人的かつ非営利目的の本サービスの利用に関して、かかる交換アイテムの使用のための限定的、譲渡不可能、サブライセンス不可能かつ取消可能なライセンスをお客様に付与します。(9.交換)

最後にマニアックな所で、Appleとのデベロッパー規約においてアプリ提供者がアプリの利用規約に設置するよう義務付けられている条項群がある(しかし、ほとんどのアプリ提供者が無視している)のですが、これに対応しているのは大変すばらしいものの、“App Store”とすべきところが“Apple Store”になってしまっているところがあって、ちょっと微笑ましかったです。

お客様は、Apple Store から本アプリにアクセスし、これをダウンロードする場合、(a)Appleブランドの製品又はiOS(Appleの独自オペレーティングシステムソフトウェア)が動作する機器においてのみ、かつ(b)Apple Storeのサービス利用規約に規定される「利用規則」により許容された範囲でのみ、本アプリを利用することに同意するものとします。 お客様は、アプリストア又は配信プラットフォーム(例えば、Apple Store、Google Play又はAmazonアプリストア)(以下それぞれを「アプリプロバイダー」といいます。)から本アプリにアクセスし、これをダウンロードする場合、以下の事項を確認し、これに同意するものとします。(以下略)(7.1アプリストアのアプリに関する追加規約)


以上、分析してみて、さすがIngressで実績を積み、Googleからスピンオフしてできた会社だけあって、しっかり考え作りこまれた利用規約だな、という評価と感想です。
 

Pokémon Goのような<位置情報×AR>サービスを運営する事業者の法的責任

 
Pokémon Goがアメリカを中心に大ブームとなりつつあります。

Pokémon Goとは、スマートフォンに表示される現実世界をベースとした地図をゲームフィールドとして、ユーザーが実際に現実世界を歩きまわる=位置情報が更新されることで見つかるPoké-stopと呼ばれる拠点でアイテムを入手しながら、どこかに隠れているポケモンを探して捕獲し、さらに移動しながら捕獲したポケモンを育て、敵チームのポケモンとバトルしたり、ユーザー同士で協力してボスを倒すといったことを楽しむゲームサービスです。




「任天堂のスマホアプリが大ヒット」というような報道がされていますが、実際のところは、位置情報×ARサービスとして著名な“Ingress”を作ったNiantic,Incが発売元・販売元(任天堂・ポケモンカンパニーはNianticの株主でありライセンサーという立ち位置)となっています。日本でも2008年ぐらいに位置情報ゲームが一定の認知を得ていたと思いますが、個人的には、その性質上ハイテク好きのコアなユーザー向けゲームにどうしてもなってしまうのかなと思い込んでいました。位置情報に有力IPを使った親しみやすさとARの要素を掛け合わせることで、ここまでサービスを爆発的に流行らせることができるとは、さすがポケモン、さすがNianticです。

このゲームが市民権を得たことによって、今後<位置情報×AR>ゲームが続々とリリースされていくことでしょう。そして、そのようなゲームに共通するであろう特徴として
  • ゲーム世界でのアイテム取得・アイテムの育成・バトルのためにユーザーを現実に移動させる
  • ゲーム世界の拠点・アイテムをARオブジェクトとして現実世界の土地・建物内に設置する
  • ユーザーの位置情報を連続的に取得し、サーバーを介し多数ユーザーに共有する
といった要素が導入されることは、間違いなさそうです。そこで、ゲームに限らずこのような要素を盛り込んだ<位置情報×AR>サービスを提供するにあたり、事業者がその責任を問われることになるであろう法的リスクについて、実際にPokémon Goのヒットによって発生しはじめているトラブルを参考に、ざっくりと整理をしてみました。以下のとおり、大きく4つに分類できるのではないかと思います。


1)迷惑行為の誘引

サービスがユーザーの現実世界における注意力・判断力を減退させることで、歩きスマホ・ながら運転・危険エリアへの立入り等による迷惑行為や事故が発生する。

論点1−
サービスを運営する事業者が、ユーザーによる共同社会の利益を害する迷惑行為(いわゆるパブリック・ニューサンス)を誘引したことについての責任を負うか?
負うとすれば、それを減免するための注意義務はどこまでか?

2)所有権の侵害

他者が所有する土地・建物内にARオブジェクトを設置することで、その場所にユーザーが集まる。

論点2−
ARオブジェクトを設置した事業者が、土地・建物所有者が持つ権利(所有権・施設管理権)を侵害したことになるか?

論点2−
ARオブジェクトを設置した事業者が、ARオブジェクトの取得等を目指すユーザーの違法行為(不法侵入・不退去罪)を助長した責任を負うか?

3)知的財産権の侵害

他者が所有する知的財産にARオブジェクトを付着させたり重ねて投影することで、1つのオブジェクトのように表示しサービス内のプロパティとして一体利用する。

論点3−
ARオブジェクトの投影が、知的財産権の侵害(無許諾の改変としての著作権侵害、商標権侵害、著名表示冒用等不正競争防止法違反)となるか?

4)プライバシー権の侵害

位置情報をベースとしたユーザーのサービス内活動が、現実世界の氏名・肖像・住所・職業といった個人情報・プライバシー情報の意図せぬ流出・漏洩を引き起こす

論点4−
事業者として、情報保護法制の観点から求められるユーザー同意取得の水準は、通常のネットサービスより高くなるか?

論点4−
EUユーザーが、他国に越境しサービスを利用する場合において、4月に欧州議会で承認されたEU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)に抵触しないようにするには、どうすべきか?


論点2や3については、ARサービスがカネになるビジネスとして育てば育つほど、原権利者(地主や著作権者ら)の権利とAR事業者との対立を調整する立法も必要になるかもしれません。その一方で、論点1や4については、ARが多くの人にとって普通のものとなれば(つまり人間の側がARに順応すれば)、落ち着くところに落ち着くような気もします。今はPokémon Goの突然のブームで初めてARサービスを実体験している人たちによって騒ぎが起きているものの、かつてIngressでも同じような事件・事故は起きていたからです。4−△離如璽燭留朸問題については、通常のネットサービスよりもユーザーの移動モチベーションが高まるため頭の痛い問題になるでしょうが、法的に特殊な対応を考えなければならないものは、全体としては心配されているほど多くはないのではないかと考えています。

なお、Pokémon Goはまだサービスインから間もなく、ユーザーからの課金方法またはAR広告の態様などについて明らかでない部分もあり、その方法によってはリスク評価が大きく変わる可能性もあります。また、(Pokémon Goはそんなことはしないと思いますが)ARがポルノや出会い系と言った性風俗分野のサービスと融合することで、別途特有のリスクが生じるケースはあるかもしれません。
 

一般的なARビジネスの法的論点について述べた書籍としては、いま販売されているものではこちらが一番まとまっていると思います。上記Pokémon Goの事例では論点としては挙げていない「ARによる広告の不当表示や書き換え」といった問題についても言及があります。




Pokémon Goの法的論点について述べているサイトのリンクも貼っておきます。

▼POKEMON GO AND THE LAW OF AUGMENTED REALITY
http://www.technollama.co.uk/pokemon-go-and-the-law-of-augmented-reality

▼Is PokemonGo Illegal?
http://associatesmind.com/2016/07/11/is-pokemongo-illegal/

▼Pokemon Go Ushers in a New, Augmented World of Legal Liability Concerns
http://www.jdsupra.com/legalnews/pok-emon-go-ushers-in-a-new-augmented-36311/

▼How Pokemon GO Players Could Run Into Real-Life Legal Problems
http://www.hollywoodreporter.com/thr-esq/how-pok-mon-go-players-909869

▼Signs of the Times: How Pokemon Poses Municipal Regulation Questions
http://ht.ly/VKc8302i3iF

▼Your Pokemon Go Legal Rights … Don’t Get in Trouble!
http://lawnewz.com/high-profile/your-pokemon-golegal-rights-dont-get-in-trouble/

▼Pokemon Go Strips Users Of Their Legal Rights; Here’s How To Opt Out
https://consumerist.com/2016/07/14/pokemon-go-strips-users-of-their-legal-rights-heres-how-to-opt-out/
 

サンフランシスコは寒かった

 
1週間ほど、サンフランシスコに行ってきました。

昨年とある用事で訪れたのですが、その時はまったく観光ができなかったので、今回は所用をすませつつ、市内をゆっくりと見て回りました。まーびっくりしたのは7月だというのに寒いこと寒いこと…。滞在中、気温が15度を上回らない日もありました。現地の人は18度ぐらいで「今日は暖かくて良かったね」なんて言ってましたけど。

でもその微妙な天気が奏功しての、霧のゴールデンゲートブリッジはさすが絵になる景色でした。ベタですが、死ぬまでに一度はこの目で見たかった場所のひとつ。

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法務パーソンとしては絶対外せない、アメリカにおける表現の自由の象徴、CITY LIGHTS BOOK STOREも訪問。日本でもシティライツ法律事務所さんが今ノリにノっていらっしゃるところですし、私もその本殿にお参りできてご利益を頂戴できたかなと思います。

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なかなか日本に進出せずアメリカでもちょっと郊外に出ないとお店がないIN-N-OUTバーガーと、twitter本社社員や日本から進出する某IT企業社員も大好きと聞くSFローカルのSUPER DUPERバーガーも食べることができました。ITと言えば、Uberの相乗りサービスUberプールがすでにサービスインしてたのには未来を感じました。

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しかし、なんといっても今回の一番の思い出は、5月にリニューアルオープンしたSF MOMAの1Fレストランで食べた、レタスサンドウィッチかもしれません。12ドルというなかなかのお値段だったので、どんなに豪華なベジタブルサンドが出てくるのかと思って期待していたところ、「ロメインレタスをロメインレタスで挟んだ(あいだにチーズが薄く塗ってある)ロメインレタスだけのサンドウィッチ」が出てきて、目がテンになりました。

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MOMAだけに、料理も近代美術として楽しめということなんですかね・・・。


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