企業法務マンサバイバル

ビジネス法務に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きる皆様に貢献するブログ。

【本】『ベンチャー企業の法務AtoZ』― 投資契約のセミナーなんて受講する暇があるわけもない経営者と、彼らを支える投資家たちへ

 
AZX総合法律事務所の雨宮美季先生よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。

起業家が会社を興し、人材とお金を集め、成長軌道に乗せるまでに、最低限どのような法律上の手続き・契約書等の文書・社内制度を構築しなければならないか?繰り返されてきたこの問いについて、近年のベンチャー経営の傾向を的確にとらえた上で、経営者サイドにもそれを支援する投資家サイドにも役立つ書籍が初めて誕生したように思います。





“初めて”というのはちょっと言い過ぎのように思われるかもしれませんが、私が本書にそれを感じたのは、類書では見られなかった、第V章の「資金調達、ファイナンスにあたっての注意点」の充実ぶりにあります。投資契約(株式引受契約および株主間契約)について、優先株や新株予約権付社債などの制度設計に関する注意点にも触れながら、経営者と投資家の両視点を踏まえて具体的な交渉のポイントを明示してくれている点です。

IMG_7962

私の理解するところでは、AZX法律事務所さんは基本的にベンチャーの経営者サイドの支援をされていることの方が多いと思います。しかしながら、起業家として成功するためには、リスクを一緒に背負う投資家の存在が不可欠。どちらか一方だけを有利にするということではなく、両者のリスクに関する理解を深めさせそれに基づいた会話(交渉)をきちんと成立させることがまずは必要だという信念のようなものを、本書の端々に感じました。たとえば、投資契約では必ず存在する表明保証条項についての一節より。

表明保証条項の確認は、会社の現状と合致しているかを確認するということになりますが、確認の結果は以下の3つに分かれるのが通常です。
\気靴
異なる事実がある(例:実は商標権を他社に保有されている)
自分ではわからない(例:「訴訟を提起されるおそれがない」か否かは、相手次第なので自分ではわからない)
,呂修里泙泙任茲い任垢、◆↓は手当てが必要です。
「異なる事実がある」ケースは、投資家にこのような事実がある旨を告げて、投資契約の表明保証条項に例外として明記してもらう必要があります。
なお、この場合、起業家側が「商標の問題があるので、この条項は削除してください」と修正を要請する場合がありますが、条項全体を削除してしまうと、当該商標以外の表明保証までなくなってしまうため、通常、投資家は、条項全体の削除には応じてくれません。あくまでもただし書きで例外事項を明記するのが正しい対応方法と言えます。
次に「自分ではわからない」ケースは、「〇〇のおそれがない」という形の規定や、自分以外の取引先、関連会社、株主、役職員の状況に関する規定などでよく生じることがあります。
このような場合は、「発行会社の知る限り」などの文言を追加して、自ら把握している範囲では正しいことを保証するという形に修正するのが一般的です。
これに関して、投資家側から「知り得る限り」に修正するよう求められるケースもあります。これは、会社側として「知りえた=合理的に調査すれば分かった」事項については保証してくださいというものです。
「知る限り」では、知らなければ免責されるのに対して、「知り得る限り」では、知らなかったとしても、知らなったことについて調査不足などの落ち度があった場合には免責されないということになります。
この点、どの程度の調査をするべきかは、対象事項の重要性や調査に要する一般的な費用や時間などを考慮して、発行会社の当時の具体的な状況に即してケースバイケースで判断されるので、多少曖昧な概念といわざるを得ない面があります。
しかし、妥協点としては、「知り得る限り」で妥結しなければならないケースも多いのが実情です。投資家と起業家の双方が上記の意味の違いを理解して、合理的に交渉を進めることが望まれます。

上記引用部の太字部分などは、書籍化にあたってなかなか書きっぷりが悩ましいところだったのではないかと推察します。事業会社がベンチャーに投資することも増えてきた中、こんなスタンスでの投資契約の解説書を待っていたという方は少なくないのではないでしょうか。

また、Q&A形式の書籍というと網羅性に疑問を感じる方もいらっしゃるかと思います。本書のQ&Aのスタイルは、ある法領域に関する解説をはじめるきっかけ・フリとしてのQuestionがあり、Answerではその領域に関する概念を紙面の許す限り体系的に説明するところからスタートする形となっています。上手な講師によるわかりやすいセミナーを紙面で読ませてもらっているような感覚、といったら伝わるでしょうか。本書の主な読者層にはとっつきやすいスタイルだと思いますし、そもそもそういったセミナーを受講する暇などないであろう若手経営者・投資家には、必要なところだけをつまみ食いできるので効率的です。欲をいえば、セミナー的なノリをもっと前面に出したスタイル、たとえばパワポのスライドを各節ごとに出して、それを先生方がセミナー形式でしゃべっている「実況中継シリーズ」的なスタイルにしていただいたら、より本書の親しみやすさが伝わりやすい形になったかもとは思いました。


ベンチャーにおける起業家と投資家の関係や契約交渉のポイントについては、磯崎哲也先生の『起業のエクイティ・ファイナンス』や、最近邦訳がでたばかりのガイ・カワサキ『起業への挑戦』にも一部触れられていましたし、また先般「日々、リーガルプラクティス。」さんが紹介されていた『Venture Deals』も第3版が出るなど、その悩みやノウハウをタイムリーに見聞きできることが増えてきたように思われます。外部関係者も交えて新しいビジネスの立ち上げを支援するという立場である法務として、キャッチアップが欠かせない領域になりつつあることを感じます。
 

BTOで自宅用PC購入

 
自宅用のMacBookPro mid 2012の買い替えをどうしようかしばらく考えた結果、BTO(Built To Order)でWindowsPCを購入するに至りました。
主な構成は以下で、しめて¥191,780 也。

・PC GALLERIA XF 24th Edition ¥151,980
 Windows 10 Home 64bit
 インテル H170 チップセット
 インテル Core i7-6700
 NVIDIA GeForce GTX1070
 16GB DDR4 SDRAM
 525GB SSD SATA3
 2TB HDD SATA6Gb/s
 DVDスーパーマルチドライブ
 miniSDドライブ
 USB type-c x1/3.0 x4/2.0 x2
 DVI x1/HDMI x1/DisplayPort x3
 
・モニタ BenQ XL2430 ¥39,800
 24インチ TN型液晶 フルHD 1920x1080
 リフレッシュノート 144Hz
 フリッカーフリーバックライト
 DVI x 1/D-Sub x 1/HDMI x 2/DisplayPort x 1


今回こだわったのは、
・とにかく高速起動(軽い)
・やりたいゲームがきれいな画面でできる
・VR readyである
の3点です。

1点目のとにかく高速起動(軽い)については、これまで使っていたMBPでは常時電源ON、使い終わったらフタを閉じてスリープモードにしておくこと対処していましたが、今回の構成だと電源入れてから5〜7秒で立ち上がり切るので、シャットダウンも躊躇なくできるようになりました。一時はOSとして混乱を極めていたWindowsも、シンプルになってよくなってきたなと思います。SSDがまだ値が張るので525GBですが、こちらは安くなったころに換装したいですね。

2点目・3点目については、グラフィックボード(GPU)に何を選ぶかが最大のポイントになってきます。e-sports対応という意味でディスプレイを144Hzで駆動しDisplayport端子で接続できること、かつViveなどのハイエンドなVR HMDも動かせるものにしました。なお私がやりたかったゲームはこちら「BATTLEFIELD1」と「DEAD BY DAYLIGHT」の2作。PCでゲームするのはMMOにはまっていた大学時代以来ですが、久しぶりに楽しませてもらってます。




まさか自宅のPCがWindows、しかもデスクトップPCに戻るとは思いもよりませんでした。

【本】『英文契約書作成のための和英頻出用例辞典』― 分冊化でさらに捗る英借文

 
2012年刊『英文契約書作成のための和英用語用例辞典』が、パワーアップして帰ってきました。

 



旧版では1冊350ページだった『用語用例辞典』が、新版ではそれぞれ400ページ超の『用語辞典』と『用例辞典』の2分冊となりました。単純計算で旧版から2倍超の情報量となります。本日オススメするのはそのうちの後者。


s-IMG_7919
s-IMG_7920


旧版を利用しはじめたころは、用語・熟語・連語もあわせて和英から引けるということにありがたみを感じていたのですが、そのうち、その単語が使われる英文契約書上の用例を調べて「英借文」するという利用方法だけに特化されていったので、今回の分冊化で“用語”部分が分かれたおかげで私にとっては余計だった情報が減り、使いやすくなりました。

中上級者にとっては、和→英から探すというワンクッションが入ってしまう(旧版に引き続き英語の逆引きインデックスもない)点がまどろっこしいかもしれません。そういう意味では、『新編 英和活用大辞典』の英文契約書版をどなたかが書いてくださるとありがたいのですが。
 
記事検索
月別アーカイブ
プロフィール
Google