企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

日本経済新聞「データの世紀」のプライバシーポリシー分析をお手伝いしました

 
本日の日経新聞5面の特集「データの世紀」のプライバシー規約のわかりやすさに関する記事に、「規約作りの専門家、橋詰卓司氏」として取り上げていただきました。





ユーザーにとって良い利用規約・良いプライバシーポリシーとはどんなものか?という問いに答えるのは難しいことです。そんな中、この日経新聞の連載「データの世紀」を担当されている平本信敬記者から、評価基準をいかに構成すべきかの検討に関し協力依頼をいただき、微力ながらお手伝いした形になります。


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見出しにある「外国企業すごい」という結論ありきの記事なのではと受け取られるかもしれませんが、あくまで、自然言語としてのわかりやすさ・読みやすさを判定するプログラムに調整を入れていただき、文字通り機械的に出力された結果に基づいたものとなります。


記事に現れていない部分で私の考えを補足するとすれば、規約の言語としてのわかりやすさもさることながら、

・同意の強制スタンス
・自己情報の把握・持ち出しへの対応

などの点で、多数のユーザーを対等な契約の相手方と捉えているか否かが、近年の各社の規約・プラポリの変更内容に現れはじめているように思いました。


仕事でさまざまなメディアの記者の方々とやりとりをさせていただくと、記事としてたどりつきたい結論をサポートする専門家の言質を取りたいだけの方も多い中、最近の日経新聞の真摯な取材姿勢には目を見張るものがあります。
 

「法の余白」の広げ方

2017年10月より、クラウドサインという電子契約サービスをお客様に広めていくことに集中してきましたが、本日4月1日付人事異動をもって、BUSINESS LAWYERS LIBRARY等の新事業も担当していくことになりました。

2020年4月、この記事を書いている最中、世界中が新型コロナウイルスと戦っています。この敵への打ち勝ち方はまだわかっていません。しかし、一つ確実にわかっているのは、デジタルの世界には人の命を奪うウイルスは立ち入れない、という事実です。

そうであるならば、「リアル・アナログが一番安全で確実」といったこれまでの常識を捨て、完全なデジタルシフトをかけていく必要があります。この1年、まずはそうしたお客様のデジタルシフトの支援に注力することになります。

その先に私がイメージするのは、「法の余白」を見つけ、広げるためのサービスづくりです。
ご紹介するのは二度目になりますが、シティライツ法律事務所 水野祐先生の本から引用させていただきます。





弁護士資格を取得し、実務で実際に法律や契約に対峙してみると、法に存在する「余白」に不思議と自由さを感じるようになった。同時代を生きるイノベーターたちとの刺激的な対話と実践のなかで、プロジェクトを法的に支援し、場合によっては加速することができるのではないかという手応えを得るようになった。(P7)
社会のルールたる法は、私たちの生活において欠かせないものである。ルールを意識するということは、メタな視点から物事を俯瞰することでもある。私はこれが「リーガルマインド」の真髄だと考えているが、それはあらゆる物事がネットワークでつながるアフターインターネット時代においてとりわけ重要な視点となってきている感覚がある。
大切なことは、ルールは時代とともに変わっていく/変わっていくべきという認識と、ルールを「超えて」いくというマインドである。ルールを超えていくことは、ルールを破ることを意味にしない。ルールがどうあるべきかということを主体的に考えて、ルールに関わり続けていくことを意味する。ルールを最大限自分寄りに活かすことは知性の証明に他ならない。(P7)
高度情報化社会は、「法の遅れ」を前提として、有史以来もっとも現実と法律の乖離が大きい時代であり、また、私たちが日々交わす利用規約を含む契約が大量化・複雑化している。そのようななかで、創造性やイノベーションの源泉である「余白」=コモンズをいかに法やアーキテクチャの設計や協働を通じて確保することが重要なのかについて述べてきた。(P46)
このような情報化社会において、法律や契約を私たち私人の側から主体的にデザイン(設計)するという視点が重要になる。「リーガルデザイン(法のデザイン)」とは、法の機能を単に規制として捉えるのではなく、物事や社会を促進・ドライブしていくための「潤滑油」のようなものとして捉える考え方である。(P47)


世の中には、
・法律の条文や判例を調べるサービス
・法律の改正情報をお知らせするサービス
・法律文献をオンラインで閲覧できるサービス
・法律・契約上のリスクを分析するサービス
は数多存在します。

しかし、「法の余白」を広げてくれるサービスはありません。


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それにもかかわらず、世の若者たちは、柔軟な発想で「法の余白」を探し・見つけ・自らリスクをとって起業をし、広げるチャレンジをしてくれています。たまに残念な事故を起こし、法律の制約によってサービスが停止・終了してしまうこともあります。

翻ってみると、先ほど挙げたような既存の法律サービスには、そうした法的ブレーキを強めるだけのものが腐るほどあります。一方で、自由で柔軟な発想を誘発するような、アクセル型のサービスは皆無です。

この閉塞感しかない世の中に、これ以上、ブレーキを踏むためだけのサービスを作る必要があるのでしょうか?


正しい法律理解を起点として、起業家的アイデアを生んでいくようなポジティブなサービスを、完全デジタルシフトの支援業務に携わりながら、作っていけたらと考えています。

ご賛同いただける方がいらっしゃれば、ご連絡いただけるとうれしいです。

法務互助会勉強会「仕事の受け方・捌き方」

 
155名(2020年3月現在)の企業法務パーソンが実名で情報交換を行う「法務互助会」というギルドを、@kataxさんと運営しています。

先日、この互助会で有志を募り、「法務の仕事の受け方・捌き方」と題する勉強会を開催しました。普段どんなITツールを使い、具体的にどういう流れで仕事を受けて捌いているのかを披露しあい、その中で今抱えている課題を率直に共有するというものです。

新型コロナウイルス対策として、サイボウズさんのzoomとマルチアングルカメラが完備された素敵な会議室をお借りし(@むつみめも さんありがとうございます!)、オフライン・オンラインのハイブリッドで開催。関西からの参加者含む約30名が集まり、8社にご発表をいただきました。

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Pros/Consはkataxさんがまとめてくださったのでそちらを見ていただくとして、私からは、ご参加者が具体的に利用されていたツール名をジャンルごとにメモしておきます。

シーンツール名
報連相Gmail, Slack, Teams, ChatWork, LINE WORKS, zoom, Hangout, Polycom
依頼案件管理Gmail(+タグ検索), GoogleForm, Slack, GitHub, Asana, Trello
社内決済ジョブカン, freee, x-point, ServiceNow, Slackワークフロー
契約締結&管理クラウドサイン, Docusign
ノウハウ蓄積GoogleSpreadSheet, Confluence, GitHub, hubble
統合ツールキントーン, Holmes


月1000件を超えるような処理数をこなす大手企業ともなると、案件管理やワークフローシステムを自社開発されている例もありました。また先進的な法務パーソンがいらっしゃる会社では、各ツール・サービス同士を繋ぐためにGASやzappierなどを駆使されていたりもしました。

質疑応答では、これまでメールベースだった法務業務がどう変わっていくのか、具体的には
  • チャットツールの二大勢力であるSlack・Teamsのどちらを採用すべきか
  • チャットから始まる案件をワークフローやノウハウ蓄積にどうつなぎこむか
で盛り上がりました。

私自身は、今所属している2社ともにSlack派ということもあり、今後Slackがワークフローを取り込んで勢力を拡大していくであろうと確信しています。とはいうものの、みなさんの話を聞いているうちに、エンタープライズ層はやはり安心感優先でTeamsを採用していくのかなあ、とも感じました。特に法務視点では、裁判所がTeamsを採用したことも安心材料となるのは間違い無いでしょう。

注目の企業法務系noteアカウント8+α選

テキストコンテンツプラットフォームのリーダーが変わった


年末の企業法務の風物詩となった法務系Advent Calendar。2019年は参加者のあまりの多さに表と裏の2本立て、25日×2=50本もの記事が投稿されました。





それぞれの記事もためになったのはもちろんのこと、特徴的だったのは、コンテンツを投稿するプラットフォームとして最も多くの企業法務パーソンに選ばれたのが「note」だったことです。

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2018年までは、Livedoor・はてな・ココログあたりの、2003年ごろからメジャーを張っていたブログサービスが選ぶ方がほとんどでしたが、今回、ふだん慎重な企業法務パーソンたちがこれほどnoteを選んだのを見て時代の変化を感じるとともに、noteがキャズムを超えた瞬間を目の当たりにした気がします。

そこで今回、そんなnoteで企業法務系コンテンツを書き始めている、これから伸びること間違いなしのアカウントをいくつかご紹介してみたいと思います。


100フォロワー越えの企業法務系noteアカウント8傑


アーリーアダプターとして、すでに100フォロワーを超える法務系アカウントをリストアップします。


1位 橘大地 31319 フォロワー


クラウドサイン取締役事業部長で弁護士の橘さん。フォロワー数で他を寄せ付けず圧倒的トップ。実はnote全体のランキングでも125位(2020年1月13日時点)という、国内有数のnoteアカウントでありnote公式のオススメアカウントでもあります。法務パーソンから起業家・経営者に転身し奮闘する姿が熱く語られていることに加えて、経営者目線からのスポーツビジネス分析(有料記事含む)が大人気です。


2位 徐東輝 6884 フォロワー


とんふぃさんとお呼びしたほうがお分かりになる方もいらっしゃるでしょう。スマートニュース株式会社と法律事務所ZeLoの二足のわらじを履く弁護士。アメリカ留学時代から弁護士目線で時事・政治ネタを分析されています。


3位 シリコンバレー弁護士のノート 501 フォロワー


noteに移ってからは身分を明かしていらっしゃらないようですが、2016年のまだnote黎明期に、大手法律事務所の海外駐在中の弁護士の方がはじめられたと記憶しています。アメリカの法律事務所・弁護士のカルチャーを軽いタッチで伝えてくれます。今回のリストの中で唯一、更新が止まってしまっているのが残念。復活を祈ってリストアップしました。


4位 芦原一郎 457 フォロワー


アフラックやチューリッヒ保険などのジェネラルカウンシルを歴任された芦原先生。「法務の技法」・「経営の技法」と題する記事をひたすらアップ。この中ではもっともnote投稿頻度が高い投稿者ではないでしょうか。


5位 増島雅和 326 フォロワー


森・濱田松本法律事務所パートナー。COMECOはnoteのプラットフォームなのでこちらに掲載させていただきました。いつもは舌鋒鋭い増島先生が、ビジネスパーソン向けの読者層にあわせて法律の未来を柔らかめに噛み砕いてお話してくださいます。


6位 草原敦夫 299 フォロワー


クラウドファンディングプラットフォームのREADYFORでCLOを務める草原先生。一般ビジネスパーソンにもわかりやすい文体で、スタートアップの対VC法務知識や弁護士のキャリア論を語ります。


7位 水野祐 113 フォロワー


シティライツ法律事務所の水野先生が、今年から「noteをたくさん書いていくぞー」宣言をされていました。twitterではすでに1万フォロワーを超える人気者でいらっしゃるだけに、非常に楽しみです。


8位 酒井貴徳 101 フォロワー


西村あさひからリーガルテックのホームズへ転身されるというnoteでの宣言が業界に驚きをもって迎えられた酒井先生。新しい法律事務所のあり方を模索するシリーズ投稿も楽しみです。


これから注目のアカウント3選



フォロワー数だけで見ればこれからですが、クオリティ高い投稿が今後も見込めそうな、とっておきのアカウントを3つ選ばせていただきました。


Hiroshi Watanabe 64フォロワー


Stanford LLCからさらにStanford MBAへと現在留学中のWatanabe先生。まさに海外のローヤーがブログで書いているような高いクオリティの、VCのファイナンスに関する専門的コンテンツを連載してくださっています。


菱田昌義 27フォロワー


STORIA法律事務所に所属される菱田先生は、【契約書の沼】と題する超実務的なマニアックネタからデジタルライフハックまで、幅広いコンテンツを書かれているのが特徴。


hibi 13フォロワー


毎年Advent Calendarでは超弩級の哲学的な長文コンテンツを投下する、謎に包まれたアカウント。ふだんは「アイディア農場プロジェクト」と題する、思考の断片・アイディアの種を投稿されています。たまたま中の方を存じ上げておりまして、お会いするといつもニコやか・朗らかな方なので、その文体とのギャップも魅力です。


ブログのようでブログでないnoteの使い方


2019年にYahoo!ブログが閉鎖され、ブログサービスの統廃合が今後ますます進んでいくことは間違いない中、ひとり地味な改善・改修を続けるnote。新しくコンテンツを書こうと思う方に選ばれるのも、当然といえば当然かもしれません。

ところでnoteはこれまでのブログとは違い、Twitter的な「タイムライン」の概念を持ち合わせたプラットフォームでもあります。これをうまく生かせる書き手が現れるかどうかも、また楽しみなところです。

私自身、2017年ごろにnoteに本拠をうつそうと思っていた時期があったのですが、当時はモバイルからうまく書き込めないことが最大のネックで、移せずじまいに終わっていました。そうこうしているうちにリーガルテックや契約法務については「サインのリ・デザイン」に書くことになり、マーケティングネタについてのみnoteに書くようになりました。



noteの本質は「アカウント」と「タイムライン」にこそあり、記事をなんらかカテゴリ区分・整理するような使い方は本来のnoteが意図するあり方ではないことを考えると、ちょっとこの「マーケ専門ブログ」的な使い方はあまりよくないなと自覚しながら、よきタイミングを見計らっているところです。
 

2019年に訪れた心境の変化

今年も1年お疲れ様でした。

年末は残務の整理をし、積読の本も読み込みつつ、特売で2万円になっていたPS4を買いました。権利の関係でPC版がリリースされず我慢していた「UFC3」で対戦を楽しんでいます。





今年を振り返ってみますと、まず、本業で携わるリーガルテックが2年半前とは比べ物にならないほど認知が広がりました。

国・行政・市場から一定の評価と期待をいただき、老舗からスタートアップまでプレイヤーも続々参加。世界に目を向けると、Google・Amazon級の大企業がそろそろ市場に参入してきそうな雰囲気もあります。これらに対抗すべく、ベンチャー同士の合従連衡もはじまるはずです。重いテーマとしては、弁護士法への抵触問題が具体的に問われるサービスが、これからいくつか現れてくると予想します。


そんな中、私自身は兼業という形で企業法務にもまた携わることになりました。

マーケターの立場から法務業界を客観的に眺め、5-10年先のテーマについて仮説を2つほど立てていたいたところ、知人からヘルプを求められた仕事がその一つに関して現場感覚を研ぎ澄ますのにぴったりで、現職にも許可を得て働くことになったというのが経緯です。

戻るつもりもなかったことに加え、兼業に一度失敗しているので少し躊躇もあったものの、私を誘ってくださる方がいて、それなりのお金を受け取りながら修行できるのはありがたいお話しだなと、いともかんたんに翻意しました(笑)。ただし、以前はお声掛けいただくものはすべて引き受けてお応えしようとしていたのに対し、今後はひとつひとつを確実にこなし、もし次のお誘いがあればそのとき興味と余力で考える、というスタンスでいきたいなと思います。


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Photo by Janus Clemmensen on Unsplash


プライベートでは、2014年から延々と続いていた「下り坂」「底」の時期もようやく終わったなという実感があります。

この間、まさに前厄!本厄!後厄!という出来事にも遭遇し、大波に揉まれて精神的にキツかった気がします。どんなに高級・高性能に見える船に乗ろうとも、波風や潮の流れといった自然の力には逆らえないのだと悟り、気持ちの持ちようが大きく変化しました。「あきらめ」と「覚悟」のバランスを取りながら、人生の残り時間と向き合えるようになった手応えがあります。


最近は、柳井正『経営者になるためのノート』とにらめっこする時間も増えています。会社とは・仕事とは・その中で担うべき役割とはを自問自答しています。






来る2020年。景気も荒波に突入するのは確実な中、抗えないものには身をまかせつつ、世の中に少しでもお役に立てるよう生きていきます。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
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