企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

企業内でのSlackをはじめとするチャットツール利用のベストポリシー


Slackの普及でいよいよ問われはじめたチャットツールリテラシー


Skype、Chatter、ChatWork、Slack、Workplace…と、ビジネスチャットツールがたくさん生まれては消えながら、少なくとも社内コミュニケーションにおいては、メールや内線電話のスピード感・使い勝手ではもう勝負にならない時代になりました。

ITを商売にする複数の企業で年齢を重ねてきたということもあり、こうしたビジネスチャットツールを企業の中で活用しようとする中で発生する問題を、ユーザーとして数々垣間みてきました。どんなツールも、多くの人が使うようになり、社内の公式ツールとされると、使い方そのもののリテラシが問われるタイミングがやってきます。最近では、Slackの普及に伴い、その使い方の巧拙が顕著に現れてはじめているように思います。


WHAT IS SLACK Slack overview


そういうタイミングが来るたび、以下のような問題提起を同僚にしてみているのですが、またいつか来るであろうその日のために、私が思う企業におけるチャットツール利用のベストポリシーをまとめておきたいと思います。

  • 一つの組織に一つのチャットルーム/チャンネル。原則としてそれ以上は増やさない。組織の中に(勝手に)組織を作ることを許すことになるため。
  • 読むことを当然の義務としない・思わない。メンション(@)が強制的に読ませるための機能であるため。したがってメンション以外はスルーしても罪としない。
  • 発信は称賛する。発信しなければクリエイティブなことは生まれないため。逆に、発信しないことについてのペナルティはあってもよい。


組織長でもないのに情報の「フロー」を自分都合で変えようとする人たち


組織の数以上にチャンネルを増やす・分けることの問題はどのような点にあるのでしょうか。

まず特徴として観察できるのは、Slackでチャンネルを増やしたがる・分けたがる人は、社内会議を設定して人の時間を奪い、かつ自分は仕事した気になっている人の特徴とほとんど一致するということです。チャットとは会話であり、フローなものです。会話をする場所を絞ることではじめて、チャットのフローからその組織で起きていることを空気で感じ取ることができるようになります。

チャンネルを組織外に増やしたり分けたりすることは、定例会議を勝手に生み出して情報を分断したり、オフィスに仕切りを勝手に建てたりして、所属する組織の情報のフローを破壊し、その組織の空気を感じ取りにくくすることにほかなりません。

会話が空気を作る身近な他のオンラインツールと言えば、twitterのタイムラインにも似ています。twitterのタイムラインは、あなたがあなたの管理権限に基づいて作り上げた、あなたが感じたい空気=フローです。そうしてせっかく作り上げたあなたのtwitterのタイムラインがもし勝手に他人に仕分けられたら、迷惑ではないでしょうか?

チャットツールは「あなたのための情報収集・ストックツール」ではない


また、そのようなことを平気でする人は、自分のポリシーや都合で自身の頭の中のディレクトリ構造や思考の癖までも他人に押しつけます。ところが、せっかく招待いただいても、こちらはその方の頭のディレクトリ構造通りに仕事をしているわけではありませんので見ないのです。

ディレクトリ構造で似たような古い話として、windowsの共有フォルダ問題があります。あなたが個人で整理したフォルダを勝手に他人に再分類されて、気分がいい人・上手に使える人がいるでしょうか?

最大のポイントは、チャットツールを「自分が情報を収集・ストックする場所」として使う発想に無理があるという点を理解できるかどうかにあるような気がします。総務部長や人事部長でもないあなたが、組織やオフィスの設計を勝手に変えられないように、ここを諦めないと、周りも迷惑なだけでなく、おそらく使っている本人がストレスで死にます。

仮に「直近起こったことのストックヤード」として限定的に使いたいにしても、いまどきは検索があるので、本当に探したいストック的な情報は、検索すれば見つかります。ところが、チャンネルを分けると、この直近の情報すらも、「分けた本人」以外には検索できなく・しづらくなります。

企業にとってチャットツールとはオンライン上の「オフィス」


Slackに代表される企業向けチャットツールは、それを公式に業務インフラとして使う以上、オフィスという物理的な空間で行われていた会社組織の情報伝達を、オンライン上に実現したツールであると捉えるべきだと考えます。

そうであるならば、会社が企図した情報のフローである組織構造を乱さないことが、利用の大前提です。あくまで組織構造に沿ったオープンな場所でコミュニケーションする。組織長でもないのに勝手にチャンネルを分けない・増やさない。これを原則とすべきと考えています。

なお、オフィスのフリースペースやタバコ部屋で行われるような、組織をまたがる話、秘密の話、他愛もないちょっとしたおしゃべりや交遊を、プライベートチャンネルやDMですることを全否定するものではありません。しかし、オフィス内で行うおしゃべりやレクリエーションにも限界があるのと同様、職務専念義務を念頭に、従業員同士がお互い超えるべきではない一線は意識しながら使うべきだと思います。


もし、この「組織構造に沿ったオンラインコミュニケーション」に何らかの息苦しさを感じるようであれば、それはあなたが所属する組織そのものが息苦しいのかもしれません。。。
 

景品表示法対策?街中観察で見つけたおもしろ打消し表示


企業広告の表現の中で、「うちの製品・サービスはこんなにすごいんです!」といった強調表示の下に必ずと言ってよいほど注記されているのが、「※ただし…に限ります」といった打消し表示です。

ヘタな企業の言動はすぐにSNSで炎上してしまう世の中になったことに加え、景品表示法の不当表示規制が強化され、2018年6月には消費者庁から以下のようなまとめ資料も公開されたとあって、企業もこの打消し表示のあり方に、相当敏感になってきている気がします。

打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)[PDF:381KB]

一般消費者に対して、商品・サービスの内容や取引条件について訴求するいわゆる強調表示は、それが事実に反するものでない限り何ら問題となるものではない。ただし、強調表示は、対象商品・サービスの全てについて、 無条件、無制約に当てはまるものと一般消費者に受け止められるため、仮に例外などがあるときは、その旨の表示(いわゆる打消し表示)を分かりやすく適切に行わなければ、その強調表示は、一般消費者に誤認され、不当表示として不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)上問題となるおそれがある。(P1「はじめに」より)


そんな中、ちょっと前なら企業もそんなところまで気をつかわなかっただろうに…というおもしろ事例を2つ、街中で見つけてきました。街中観察メモがてらの事例紹介です。

「←この方はいませんが、素敵な会員がたくさんいます」@ゼクシィ縁結び広告


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婚活サービスの地下鉄ドア貼広告で、タイアップ映画に出演する女優の写真を矢印で指しての一言。ちょっと画質が粗くてすみません。

さすがにこの広告の構成であれば、本来は打消し表示がなくても不当表示にはならないと思われます。しかし、ただでさえ女性サクラ登録者の存在を疑われがちなのが、こうした婚活・結婚相談所の業界です。それを逆手に取り、あえての打消し表示を兼ねた広告メッセージとすることで、左ドアに貼られた映画の広告にも目線を送り、同時に出演女優の美しさも褒めつつ、それでいてクスっと笑えるクリエイティブにしています。

さすがリクルートさん。うまいというか、ウィットに富んでますね。

「※写真はイメージです」@大相撲九月場所広告


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とあるコンビニで見かけた、大相撲九月場所のチケット販促広告。

残念ながら、横綱に昇進してから欠場続きの稀勢の里関。そのせいもあって、せっかくの横綱土俵入りの勇姿も、写真下に悲しい打消し表示が表示されるハメに。

9月場所は進退をかけた場所ともいわれ、現時点で休場が決まったわけでもなんでもないのですが、名古屋場所も休場し、横綱最多休場の記録を作ったとあっては、協会としても安全策としてこうせざるを得なかったのでしょう。

見かけた瞬間は思わず「冗談キツイわ〜(笑)」と笑ってしまったのですが、プレッシャーを日々感じているであろう横綱と大相撲協会の胸中を思うと、切なさすら感じます。

【本】『英語論文によく使う表現 基本編』− アフターオリンピック時代に必要なのは英会話力よりも英語論文力


一見すると非常にシンプルな、タイトルそのままの英語論文表現集のようでいて、論文を英語で書くとはどういうことかを背中で語る本。25年ぶりの改訂だそうです。





英語論文はかくあらねばならないといった小難しい講釈は抜きに、ひたすら「型」としての英語論文表現と応用例が集められています。

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表題(タイトル)の付け方、コンマやセミコロンなどの句読法、グラフの必要箇所を指し示す際の英語なども紹介されています。こういった表現を辞書から探すのは至難の業。英語論文を書く時間をぐっと効率化し質を向上させてくれる、行き届いた本だと思います。

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淡々とした解説の中にも、本書全体を通して、「明晰な論理の積み重ねを旨とする英語論文が書けるようになるには、日本語論文を書く段階から意識して訓練していないと到底無理ですよ」という筆者のメッセージを感じます。法務の世界における似たような話で、文章の論理構成にあいまいさが残る日本語版利用規約を英訳しようとして、訳しきれずに端折ったりごまかした経験は、法務の方ならあるのではないでしょうか。


いまどきの優秀な若手研究者にお会いすると普通に英語で論文を書いていて、日本語論文のabstractを英訳するだけでも冷や汗モノな私とは、彼我の差を感じます。彼らが誰から言われるでもなくそういうスキルを身に着けているのは、日本という市場に魅力や優位性がなくなり、英文で発信しなければ検索されない・発見すらしてもらえなくなっていることを、私たちの世代以上に切実に感じているからです。

あと2年後に迎えることになるアフターオリンピック。主婦層までがこぞってフィリピン留学・Skype英会話にいそしんでいた英語学習ブームも一巡し、最近は落ち着いてきた感じがありますが、インバウンド需要が消えた後の日本を想像すると、「2020年に世界からくるお客様をおもてなしするための英会話力」より、むしろ「2020年以降に日本の中から私を発見してもらうための英語論文力」こそ、身に着けておく必要があるかもしれません。

しかもそれは、英会話力よりもはるかに身につけることが難しいスキルです。

iPad用ノートテイキングアプリのスタンダードは文字認識機能が追加されたNotabilityに軍配

Apple Pencilを使って手書きでノートを取りながら録音ができ、しかも文字を書いた時間と録音をリアルタイム同期してくれるアプリ、Notability。私も普段からインタビュー用アプリとして活用させてもらっています。

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先月このアプリがメジャーアップデートされ、特徴である録音同期機能はそのままに、手書き文字や画像として取り込んだ文字をデジタルデータとして勝手に文字認識してくれるようになりました。もちろん、過去のノートも遡って認識してくれます。ノートを跨いでのグローバル検索や、手書き文字をデジタルテキストへ変換(置き換え)することもできます。

さらに、(iOSのSplitViewのように)自分が作ったノートを複数左右に並べながら書き込むことも(同期録音も並行して)できるようになりました。これは一見すると地味な機能ですが、実現されていないノートアプリがほとんどでした。

これまで、手書き文字認識・OCRが充実していることもあり、日本ではGoodNotesやEvernoteが人気でした。しかしこのメジャーアップデートによる2大機能の追加により、Notabilityがノートテイキングアプリのスタンダードの地位を確保することになるだろうと思います。


今回のメジャーアップデートについて、詳しく紹介している日本語のブログ。Notabilityでできるようになったことがまとめられています。

Apple Pencil に最適なノートApp「Notability」の神アップデートの感動を共有したい

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今回のアップデートで Notability は同一ジャンルにおける競合と言われるアプリの機能をキャッチアップするとともに、2つのメモの同時表示という付加価値を追加しました。今回の神アップデートにより、Notability は執筆時時点で最強のノートアプリになった、と言えるでしょう。


次にご紹介するのは、ノートテイキングアプリを比較し続け、これまでGoodNote・Note+・neboなど他アプリを推してきたTom Solid氏による解説動画。「まさにゲームチェンジャーだ」と言っています。



もうひとつ動画を。ケンブリッジ大学の医学部生が、普段の授業でNotabilityを使いどのようにノートテイキングしているかを、アプリの特徴を紹介しながら説明してくれます。聞きやすい英語ではあるもののあまりに早口過ぎて、最初見たときはビデオを早回しているのかと思いました(笑)。



冒頭紹介のブログにもあるように、日本語で書いたノートの文字認識も問題なし。最近はAppleも含め日本語対応を後回しにするデベロッパーも少なくない中、大変ありがたい対応です。メモを取った私が後から読みかえすのも難しいような、かなり汚いインタビュー時の速記もきっちり文字認識してくれ、認識率は他アプリよりも高いと思います。

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開発元がそう予告してるわけではありませんが、このままでいけば、今後のメジャーアップデートで、Notabilityで録音していた音声も文字として認識・検索できるようにしてくれる未来が見えます。

そうなれば自分の勉強メモアプリとしてだけでなく、議事録作成アプリとしても最強の地位を確保することに。その日がくることを信じ、これからもNotabilityを応援し続けることにします。

私はあなたに正解を教わりたいのではない、相談しているのだ

 
法務として法的アドバイスを求められたとき、条文を引き、判例や通達を探し、文献や法律問題にならないまでも世の中で問題視された先例も踏まえながら、できるだけ確かな根拠に基づく正しい回答をしなければ、と考えます。

しかし、その場ですぐに間違いのない回答ができると確信できるケースは少なく、多くの場合、何らかのリサーチや確認をし不安を解消した上での回答が必要となります。そんなとき、

「お話を聞いて事実関係はわかりました。ではきちんと調べて、間違いの無いようにお答えしますね」

という対応は、どうやら相談者から期待されている対応ではないということは、ある程度の経験を積んだ方であれば、うすうす感じているのではないでしょうか?


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前職で、Fさんという二日に一度は相談に来る常連の相談者さんがいました。さすがに相談の頻度が多すぎて「よくお会いしますね」といった枕詞で相談がはじまるのがお約束になるほど。その彼からこんなことを言われたことがあります。

「はっしーさんは難しい法律論抜きにまずその場でスパっと見解を出してくれるから、こちらもじゃあこれならどうでしょう?という話ができて助かります」

私は正直、彼のあまりの相談頻度に、組織としてあまりリソースを割いてられないという思い半分で、「後で条文とか通達とかはきちんと確認してレポートしますけど、直感的には〇〇なところが匂いますんで、やめておいたほうがいいかな。もうすこし××な感じにできません?(できるなら、調べなくてすむしね!)」と、言うなれば冷たくあしらうような対応をしてしまっていたつもりでした。ところがそれが意外にも、その「直感的にここがNG」という反応をそこそこの論拠で具体的に返してあげることで、次に自分がプランB・Cの方向性を考えるきっかけになってありがたいと言うのです。


相談者も、リスクだけしかない道を好んで踏みに行きたいわけではなく、ある程度の常識や法律知識をもって、向かいたいゴールに向かう中で最も賢い道筋・ルートはどれかを自分なりに考えているはずです。法務は水先案内人の一人ではあるけれど、結局その茨道を歩くのは相談者自身。自分なりにはリスクは考えて当然じゃないですかと。

自分に降りかかった災難や課題にばっちりはまる正解があるわけではない、世の中はそんなに単純じゃないということは、法律に明るくない相談者であってもうすうすは気づいているものです。自らのリスクを(程度はさておきある程度は)認識して頼ってくださる相談者に対し、自分が持ちうる限りの知識・経験・論理的思考を総動員し、苦しくてもその場で何らかの見解を一つ二つ返してあげるというのは、相談に応じる者の姿勢として大切なことだと思います。


もちろん、その場の反応の精度や品質が低ければ、相談者は二度と現れません。それらを向上させるための業務経験や日々の研究を重ねる必要があることは、言わずもがなとして。
 
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