最近は少し法務系のエントリが少なくなってしまった『法務だけど理系女子の綴るblog』のmichyさんの書評を拝見して買った気がする(だいぶ前なのでおぼろげな記憶です)この本。


タイトルにビジネスって入っているところからも、実践的な内容が期待できますが、さらに著者の男気を感じる一言が「はじめに」に。
侵害論(模倣の範囲)は、ビジネス実務の観点からは本来解説の中心となるべき項目であるので、この部分の解説を充実させた。
そう、“本来解説の中心となるべき”なのに、世の著作権法本は侵害論への言及がうすっぺらい。「結局このケースは模倣にあたるの?あたらないの?」というビミョーな相談に応じることになる法務担当者を支えてくれるような厚みのある解説を伴った本は、皆無といってもいい。だから私が書きましたが何か?と著者の荒竹純一さんはおっしゃっているわけです。これを男気と言わずしてなんというか

あ、ちなみに私が侵害性の有無を相談されたときは、
「あなた自身が模倣かも?と心配になってわざわざ法務に相談に来るぐらい似ているということは、著作権者からすればマネされたと当然思うでしょうし、仮に裁判になっても模倣と判断される可能性が高いって思ってください。しかも相手が先行で著作されている訳なので、ウチはかなり分が悪いです。」
と、つれない返事をすることが多いです。相当男気ないです(笑)。

でも実際そう返事せざるをえないくらい、君それパクッたんでしょ?ってレベルの相談があるのも事実。

そんなとき、実際の侵害事例がたくさんの写真付きで紹介されているこの本を見せながら、「世の中こんな事例でも侵害と認められちゃうんですから、やめときましょうね」と諭してあげられます。

前職で通信・放送ビジネスに携わった身としては、放送事業者に関わる著作隣接権についての解説と紹介事例が豊富なのも興味深かったところ。著作隣接権はビジネスを知らないと事例が出てきません。ここで著者の弁護士としての豊富な経験が垣間見える点も、この本の特徴ではないかと思います。

michyさんも評されているように、様々な学説を踏まえた上での踏み込んだ記載は多いのですが、そのバランス感覚、文章の分かりやすさを含め、好感の持てる良書です。