「著作権ビジネス実務」みたいなタイトルの本には幾度と無く期待を裏切られてきた、とお嘆きの法務担当者のみなさん。

そして、著作権絡みの契約書の雛形集はまともに使えるものがない、とお嘆きの法務担当者のみなさん。

ついに出ました。決定版です。


この本のすごいところ。

1)エンタテインメントビジネスの各種ビジネスモデルに
  おける各当事者の権利関係を整理するところから解説
  がはじまる点
2)ビジネスの流れに沿った法律実務・契約の解説がなさ
  れている点
3)契約書の雛形が惜しみなく公開されている点
4)言葉が平易で、読みやすい(難しい論点は本文から
  はずし、脚注で丁寧にフォローしている)

特に、3)の契約書雛形の量・レベルはスゴい
冒頭の契約当事者の表示部分からはじまり、雛形集では端折られがちな一般条項、記名押印欄までそのままコピーして使えるレベルになっています。
しかも、映画/音楽/ゲーム/芸能/イベント/スポーツ/マーチャンダイズと、エンタテインメントという言葉で思いつくジャンルのほとんどの契約類型を網羅しています。
(プロ野球選手やJリーガーが球団と結ぶ契約書の実物やその条項解説までしている本は初めて見ました!)

2)についても、例えば映画だったら、プロデューサーの視点から
・製作委員会(組合)を組成する
・原作の使用許諾を取る
・脚本制作を発注
・監督を雇う
・俳優に出演を依頼する
・制作会社に制作を委託する
・配給会社に配給を依頼する
という一連の流れに沿って、そこで発生する契約の雛形すべてを掲載し、そのポイントを条項ごとに丁寧に解説してくれています。
(本来この本の本題とは外れている)投資ビークルとしてのSPCの作り方にまで触れている充実ぶり。

これまで、エンタテインメントビジネスと法律との問題について、部分部分に触れていた本はありましたが、エンタテインメントビジネスを起こすところから、著作権法上のポイント、具体的な契約書の作りかたまで、すべてに目を配れている本は皆無だったと思います。

こんないたれりつくせりの本が出てしまうと、エンタテインメント法に強いといわれていた弁護士や弁護士事務所も、商売上がったりでは?

恐るべし、桜坂法律事務所
弁護士登録10年前後の若めの先生お三方で経営されているようですが、弁護士業界のタブー?に恐れずに踏み込んだその姿勢に拍手。
私の会社からもそう遠くないので、機会を見つけてお世話になりたいと思いました。

そして、この本の存在を知らせてくださったひまてんさんにも感謝。

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