『ビジネス法務』とか、『会社法務A2Z』とか、“法務部向け”の雑誌はいままでにもあったわけですが、この雑誌は立ち位置がちょっと違うのです。


それは、“部”というよりも“個人”を購買ターゲットにした雑誌であるというところ。

法務パーソンとして現在お勤めの方々による、法務という職種につきまとう“キャリアパスの広がりの狭さ”についての対談が載っていたり、35歳以下の法務パーソン3人に、転職をどう考えているかというインタビュー記事が載っていたり。

こんなリアルに悩ましい記事が載っていては、会社の予算で買って法務部内の本棚に並べてはおけないはず(笑)。

それはさておき、私が一番興味深くフムフムした記事は、「ミクシィ法務グループの2年間」という記事。
2006年にグループリーダーとしてミクシィに入社された岡本さんが、法務グループの立ち上げ、社内からの契約書レビュー/法務相談フローの整備、法務の人事評価制度策定について、かなり具体的なところまで時系列で明かしてくださっています。

現場からの契約書レビュー/法務相談の受付の仕方は、各社悩まれているところだと思います。ミクシィでは、eメールでの受付に限界を感じ、イントラ窓口からの受付→担当者割り振り→進捗ステータス管理→過去事例の検索までできる専用のシステムを社内の技術者さんが組んで運用されているそうです。しかも1日で作ったとか(凄)。
画面のスクリーンショットも一部公開してくださっていて、これは是非見習わせていただきたいなと。

人事評価については、こんなことをおっしゃっています。
法務においては何より事実関係を確認することが重要です。そのためには国語力が前提となります。法務は数多くの相談を受けるので事務処理能力がなければなりません。また、他部署から相談を受け付けた時点で問題が整理されているとはかぎりませんし、取りうる選択肢が複数あることもありますので、そういった場合の分析力・判断力を要求します。
案件によっては複数の部署がかかわりますので調整力が求められます。結論に納得してもらうためには論理性を持った説得力が必要です(後略)。

このあとに続く後略部分ではその他必要とされる専門能力についても述べられていましたが、引用部分については、私が採用面接時に見ている求める能力とほとんど同じ。
これらを人事評価の項目に落とし込むことで、評価される側のメンバーに対しても、「仕事上大切にすべきことは何か」が明確にメッセージされることにもなります。これは素晴らしいこと。

そのほかさすがLexisNexisだなーと思ったのが、巻頭言に会社法の大家、神田秀樹先生のお言葉があったり、「会社法であそぼ」でも有名な葉玉さんの論文が掲載されていたりと、大御所もきちんとブッキングされている点。
これまでに出版されている法務系雑誌に対して、格の違いを打ち出そうとしている姿勢が伝わってきます。

法務系ブロガーでは、葉玉さん以外ではisologueの磯崎さんも出てらっしゃいました。ろじゃあさんやFJneo1994さんあたりに声がかかる日も近いのでは?

こんなに内容盛りだくさん(目次へのリンクはこちら)の雑誌が、ほんとに月刊でつづけられるのか?購買層があまりにもニッチ過ぎないか?と余計な心配もしてしまいますが、私はしばらく買わせていただこうかと思います。

週3冊本を読む法務マンの本棚と書評を見たい方はこちらをクリック!(Booklogへのリンク)