自己啓発本・成功本の類で、これだけ嫌味のない本も珍しいでしょう。


おっしゃっていることは、様々な自己啓発本で言われていることのエッセンスなので、それほど目新しさはないのですが、そのエッセンスの汲み方、そして読者への訴え方がうまい。

シンプルで、説得的で、それでいてさわやか

だから、鼻につく成功本を数冊読むよりも、ふっと迷ったときにこの本を開きたくなってしまう。

鮒谷さん自身は主にメルマガビジネスで成功をおさめられたようですが、そのメルマガの成功の鍵も、着眼点の良さというより、この文章力にあったに違いありません。

さて、肝心の「仕事はかけ算で考えればうまくいく」という鮒谷さんの成功哲学。そのかけ算思考の中でも特に象徴的で印象に残ったのが、「勉強や仕事をやめたくなったときは」というパート。

エクセルを使って面白い計算をしてみました。

1.001  365日    1.440
1.440  5年     6.197
1.440  10年    38.404
1.440  20年    1474.903

さて、これは何の数字でしょうか?
じつは、最初の、「1.001 365日 1.440」という部分は、毎日、0.1%(1000分の1)だけ自分が進化(成長)したとして、365日たったときにどんな自分になっているかを便宜上、数字で表したもの。
毎日、0.1%進化していくことで(昨日の自分より1000分の1だけ成長するということですから、これぐらいならできそうです)、結果として、1年後には44%も自分の能力が高まっているという計算になります。
(中略)
「継続して力を蓄えている人は、あるところで爆発的に結果が出る瞬間がある。」ということ。これがかけ算の面白いところです。

面倒見のいい先輩が、うまいたとえ話をしながら仕事のコツ・心構えを後味さわやかに説いてくれるような、そんな味わいがあります。

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