前回のエントリでご紹介したこの本について、もう1点ご紹介しておきたいポイントがあります。


実はこの本、競業避止義務そのものについて述べているのは、全355ページ中の後半100ページ前後。

では前半200ページあまりで何を解説しているかというと、
・第1章〜3章 営業秘密
・第4章    秘密保持契約
・第5章    知的財産権の保護を受けない情報の法的保護

このうち、第5章の「知的財産権の保護を受けない情報の法的保護」がかなり興味深い論考となっています。


創作性も秘密性もない情報であっても、法的保護は受けられる

普通に考えれば、・知的財産権各法で保護される創作性の高い情報か、さもなくば不競法で保護される営業秘密たる情報でも無い限り、情報は法的保護は受けられないと思いがち。

これに対し、そのような“創作性のない公然情報”であっても法的に保護されるべき、と著者は主張します。
「情報利用の専有状態」を創出する知的財産権が合理的であるのは、情報への「ただ乗り」を禁止することにより「情報生産のリスク負担者」とそれ以外の法主体との競争条件を公平とすることが社会に有用な情報の生産を促進するからである。したがって、営業秘密保護制度や公然情報保護型知的財産権の保護対象とはされていない情報であっても、‥該情報が社会に有用な情報であり、当該情報の「情報生産のリスク負担」以外の法主体の行う当該情報の利用行為を禁止することが競争条件を公平にして当該情報の生産を促進することになるときは、当該情報の法的保護は否定されるべきではない

では、どうやって保護できるというのか?
ここででてくるのが、民法709条の不法行為責任に基づく差止請求権と損害賠償請求権です。

・民法が差止請求権を直接に規定しているわけでないこと、
・損害賠償請求権についても、知財法と違い損害額の立証
 責任を負う必要があること
という限界もありますが、これは意外な盲点だったなと。

このことを述べている第5章は、以前このblogでもご紹介した『民法でみる知的財産法』を読んでいるかのような錯覚に陥りました。
【本】民法でみる知的財産法―not only 実務的知財法 but also 学術的知財法

やはり、「すべての私法は民法に通ず」です。

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