ケース

国内メーカーXが、製造工程の一部をA国のYに委託。
委託する工程は以下の通り。
1)Xの国内工場で中間品を製造
2)Xが中間品をA国のY工場に送付
3)Yが追加工程
4)YがXの工場に返送
5)Xが最終工程と点検検査
6)製品完成
輸送にあたっては陸上はトラック、海上は船舶を利用する。


問題

Xの法務担当者として、本プロジェクトの基本契約に盛り込む基本条項とそのポイントを挙げよ


回答

契約の構成について、中間品をYに販売し追加加工されたものをYから買い戻す売買契約とするか、加工を委託する製造委託契約とするかで大きく異なるが、ここでは製造委託契約として基本条項を列挙する。

1)前文
契約の目的、契約に至る経緯を記すことにより、解釈の指針を定める。

2)定義条項
契約で用いる用語を定義し、解釈の余地を少なくする。

3)Yに委託する業務の内容
Yに委託する業務の内容を明記する。できる限り委託業務の詳細は仕様書を添付する形で詳細に渡り明文化する。

4)個別契約の成立
個別契約の申し込みと承諾の手続きを明確化する。

5)注文量の最低注文量、最大注文量
Yが希望する場合は、注文量のミニマム/マキシマムコメットメントラインを定める。

6)納期
引渡し後加工を委託し引き渡すまでの納期を明確化する。

7)委託加工の対価と計算方法
加工にかかる対価とその算定方法を明確化する。

8)決済条件および決済方法
委託加工の対価の決済条件および決済方法(L/C、D/A、D/P、送金)を定める。

9)中間品および加工品の引渡し条件
運送の手配をどちらが行うか、積地渡か揚地渡かを規定する。

10)危険の移転時期
中間品および加工品の滅失・毀損等のリスクを引渡し時とするか検査完了時とするか。

11)保険の付保
引渡しまでの保険をどちらが手配・負担するかを定める。

12)検査方法
検査の主体、全量検査かサンプリング検査かを定める。

13)瑕疵担保責任
中間品および加工品の瑕疵担保責任期間、瑕疵が認められた場合の対応方法(修理・新品交換・損害賠償)を定める。

14)知的財産権条項
特許・意匠・商標・著作権等の帰属および侵害に対する対処方法。

15)再委託の制限
下請けを起用する場合はその許諾の要否。

16)不可抗力
不可抗力事由の定義と免除される責任を定める。

17)契約解除
当事者の契約不履行、信用不安が発生した場合の無催告解除権、期限の利益喪失について定める

18)秘密保持
秘密と指定し開示する情報の第三者開示禁止および目的外使用の禁止。

19)損害賠償
必要に応じ、損害賠償の制限、賠償額の予定を定める

20)完全合意
合意された内容はすべて契約書に記載の条件を優先し、締結以前の合意事項はすべて無効であることの合意。

21)準拠法
準拠法の定め。

22)紛争解決方法
仲裁または裁判の選択。場所の指定。


要復習ポイント(自分用メモ)

・売買契約という構成も可能であるということ
・注文量の最低/最大範囲の規定
・決済方法(L/C、D/A、D/P、送金)
・積地渡/揚地渡


参考文献

比較的シンプルな英文製造委託契約の雛形


英文契約全般の雛形、特に一般条項に強い



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case46を基に検討)




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