ケース

Xは乙に対して金銭支払いを求めている。以下はXによる乙に対する金銭支払請求の主張に関する発言要旨である。
・甲が所有していた顧客名簿、商品、事務機器等を乙が利用
 (占有)しているが、これらの利用の対価を丙に支払って
 いない。
・乙は甲のロゴマークを流用している。
・乙は創立当時から現在まで、甲の本店所在地に事業所を
 構えている。
・乙は、甲の本店所在地の土地・建物が丙に譲渡されたにも
 かかわらず、丙に対しては賃料を支払っておらず、無償で
 使用している。


問題

設問(1)Xの乙に対する金銭請求の法的根拠は何か
設問(2)乙のXに対する反論はどんなものが考えられるか


回答

設問(1)
乙は甲から事業または営業の譲渡を受けたのであり、会社法22条ないし24条または商法17条および18条の定めにより、乙は、Xに対する甲の債務の履行義務がある。
特に、乙が甲のロゴマークを使用しているという点において、会社法22条および商法17条には「譲受会社(人)が譲渡会社(人)の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社(人)も、譲渡会社(人)の事業(営業)によって生じた債務を弁済する責任を負う。」とあり、このことから乙には甲に対する金銭支払請求権を有する。
その他、丙に対し顧客名簿その他備品等を利用する対価を支払わずに利用・占有し、また事業所利用の賃料等を支払わずこれを占有しているという事実からも、乙が甲から譲り受けたのは、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産である事業そのものといえる。

設問(2)
々辰ら譲り受けたのは個々の財産についてであり、事業は
 譲り受けていない
甲から事業の譲渡を受けたのは丙であり、乙は丙から事業
 全部の賃貸または経営の委任を受けているに過ぎない。


要復習ポイント(自分用メモ)

・会社の事業譲渡は会社法22条だが、商人の営業譲渡について
 商法17条が存在すること。
・「事業全部の賃貸借」という法的構成があること。
 ※ビジ法1級公式テキストの模範解答では賃貸借の構成まで
  言及されていない。


参考文献

事業全部の賃貸借契約について(P865〜)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case2を基に検討)




「企業と人との新しい結びつき」の実現を目指して頑張ります。ご支援いただける方はこちらをクリック!(blogランキング)