ケース

X:デラウェア州法人 スポーツウェアの輸入販売業
Y:日本法人 繊維生地の製造販売業
甲:繊維製品の製造および輸出業

平成18年3月
XがYから新製品のスポーツウェアの見本を提示し、Yに対しビジネスショウに出品するために見本に従い試作品を製作するよう依頼。
Yは甲にそれを依頼しその旨Xに通知。

同年9月
YからXに対し、Yが供給できるスポーツウェアの規格、価格、量及び時期に関し連絡。

同年11月
YからXに対し、スポーツウェアのXへの販売には商社として甲を選択したことを連絡。
XY間の合意事項をすべて甲に通知。
甲はYから通知を受けた内容および甲の希望条件に従いXと交渉、X甲間で売買契約を締結。

甲が売買契約に従いスポーツウェア見本をXに出荷したところ、生地に染色加工ミスが見つかる。
Xはビジネスショウへの出品が間に合わなくなることを恐れ、「色は若干明るくなる」旨の説明を加えながら注文を受けた。

この結果Xの受注額は、前シーズンに比して激減。


問題

設問(1)
XがYにその責任を追及するための法的理論構成を複数挙げよ
設問(2)
Xの主張に対し、Yの立場で反論せよ


回答


設問(1)
〆通撹塒行責任
Yは、Xとの間の合意を前提として甲との売買契約を締結した以上、甲だけでなくXに対しても、指定された内容の生地を提供すべき契約上の義務がある。
また、Xとの間で合意された内容の生地を甲に納入するという事実行為を委託する準委任契約が成立していたとも言える。この場合Yは、善管注意義務違反を理由とする債務不履行責任を負う。
不法行為責任
Yが染色加工ミスのある記事を甲に納入した行為は、Yの過失によりXの販売を阻害して売上減少という損害をもたらす不法行為であり、Yはこの責任を追う。

設問(2)
〆通撹塒行責任に対する反論
Xが売買契約を締結しているのはあくまで甲とであり、Xは甲に対し売買契約上の瑕疵担保責任を問うべきである。
仮にYに直接責任を問えるとしても、見本の染色ミスとXの受注額激減との因果関係は明らかではない。
従い、Yは債務不履行責任を負わない。
不法行為責任に対する反論
Yの行為が不法行為と認められるには権利侵害性または違法性を具備していることが必要とされるところ、本件はスポーツウェアの見本の染色ミスであり、これには当たらない。
また、見本の染色ミスと販売額との因果関係についても前述同様明らかではない。
従い、Yは不法行為責任を負わない。


要復習ポイント(自分用メモ)

・「Xとの間で合意された内容の生地を甲に納入する
 という事実行為を委託する準委任契約が成立」
 という構成には気づいていたが言葉として表現できず。
・ビジ法は契約外の第三者に対する責任追求手段として
 不法行為責任成立の可能性について答えさせようとする
 傾向あり。
・不法行為責任の追及を論破する場合において、テキスト
 模範解答どおり「違法性の具備が必要」と言い切って
 いいのか。内田民法では否定的だが?


参考文献

不法行為の違法性論について(P337〜)
第三者による債権侵害について(P341〜)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case7を基に検討)



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