ケース

A社 資本金100億 製造業 取締役会設置
B社 資本金1億 取締役会設置 A社の100%子会社
C社 資本金50億 商社

B80%・C20%の共同出資により設立されたD社は、マーケティングの失敗により経営難に陥っている。
Bの代表取締役X(A社従業員と兼任)は、B社がD社に対して有する債権1億円を放棄して、D社を再建することを計画した。
A社には1億円以上の債権放棄は取締役会決議事項とする定めがある。


問題

設問(1)
Xとして、この計画を実現するために法律上行うべきことの有無を明らかにし、あればあわせてそれを怠った場合の責任について述べよ。
(ア)B社において行うべきこと
(イ)C社に対して行うべきこと
(ウ)D社に対して行うべきこと

設問(2)
100%子会社であるB社の債権放棄につき、Aの代表取締役は、A社において何をすべきか。

設問(3)
B社が100%未満子会社であった場合、設問(2)の結論は異なるか。


回答

設問(1)
(ア)親会社たるA社の社内規定基準、B社の資本金額に照らし検討すると、1億円の債権放棄はB社における会社の重要な業務執行にあたり、取締役会決議が必要と考える。(会社法362条4項)
これを経ずに債権放棄をした場合、法令に違反する行為を行ったとして、取締役としての任務懈怠の責任を問われる。(会社法423条1項)
(イ)法律上は特に行うべき事は無い。
(ウ)法律上は特に行うべき事は無い。

設問(2)
B社はA社の100%子会社であること、および代表取締役XがA社従業員であることから、法律上は別法人であっても事実上A社とB社は経営として一体であると考えるべきである。今回の債権放棄についてもB社の業務執行と捉えるのでなく、A社の取締役会において賛否を決議すべきである。

設問(3)
100%子会社ではないとなれば、その持株比率に比例してA社がB社に対し及ぼす支配力は低下し、経営の一体性は問われない場合もあると考える。具体的には、A社の取締役会における賛否決議を図る必要がなくなる結論も取りうる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・債権放棄が重要な業務執行に当たるかについて、資本金額を
 その判定基準として使う発想は無かった。
・経営判断の原則論にまで言及する必要は無かったか。


参考文献

・取締役の会社に対する責任一般について(P427〜)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case3を基に検討)



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