ケース

Xは、Aから商品Qを長年にわたり仕入れていたが、今回Bから大量に仕入れる場合には3%ほど有利な価格で、かつ納期も短縮する提案があり、Bと契約を締結したいと思っている。
Aとの契約は、期間1年の継続的供給契約であり、更新する場合はどちからかの会社が1ヶ月前に更新の申し入れをし他方が承諾することによって更新されることとなっていたが、実際は更新の申し入れも契約書の書き換えもないまま取引が継続していた。


問題

設問(1)
XはAとの契約を打ち切ることはできるか。できるとすればどのような点に留意すべきか。

設問(2)
Bと契約することを前提に条件交渉にはいってしばらくして、Aより「契約を打ち切られては企業存亡に関わる。条件を見直したい。」と再検討依頼の申し出があった。役員からも「Aとは付き合いも長く融通を利かせてもらった過去もあり、継続したほうがよいのでは。」との意見があった。
このような状況のもとで、XがAと契約を継続するとどのような問題が発生するか。


回答

設問(1)
契約を打ち切ることはできる。
ただし、ここ数年更新の申し入れがないまま契約が継続されていた点について、この状態を「1年間の継続供給契約について、1ヶ月前までに双方意思表示がなければ引き続き1年間継続する」という合意と考え、更新された契約期間満了の1ヶ月前までに更新しない旨の意思表示をAにしておく。
また、この申し入れと契約終了の合意については、後々Aから契約が継続履行を要求されるおそれもあるので、継続的供給契約を終了した旨の合意文書を取り交わすことが望ましい。

設問(2)
契約締結上の過失に基づく損害賠償を請求されるおそれがある。
BはいまだXとは契約締結にいたっていないが、契約締結を前提とした交渉に入ってしばらく経っているという状況から、Xとの取引開始を前提としたなんらかの準備行為に入っている可能性がある。XがBに対しこのような準備行為に入るにいたるような信頼を与えていたことが認められた場合、発生した損害について賠償義務を負う可能性がある。


要復習ポイント(自分用メモ)

・“事実上契約が継続している状態”についての法的言及が足りな
 かった。


参考文献

・上記設問(2)は、厳密には、「契約締結上の過失の一部」では
 なく、その一部である「契約準備段階における信義則上の注意義
 務」に基づく損害賠償請求である(P24〜27)。



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case12を基に検討)


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