ケース

甲の従業員Xが出社すると、会社の金庫が荒らされ、
・取引先Aから担保として預かっていたA名義の上場株券
・取引先Bが振り出した約束手形
が盗まれていた。
Xは直ちに警察に盗難届けを提出し、株券については、C証券に株券の銘柄・記番号・名義人等を伝え、持ち込まれても売却に応じないよう依頼した。


問題

設問(1)
盗まれた約束手形について、甲として取るべき行動を述べよ。

設問(2)
数日後、盗まれた株券が第三者によりC証券の支店に持ち込まれ、証券取引所を通じて売却された。
当該株券は、C証券が売方、D証券が買方となって取引が行われ、C証券がD証券から受け戻し(事故のない株券と差し替え)、C証券が保管している。
甲はC証券に対し、いかなる請求ができるか。Cからの反論とあわせて述べよ。


回答

設問(1)
まず取引先Bに連絡し、取引銀行に対し事故届けをしてもらうよう要請する。これにより、取引銀行が当該手形の支払いを拒絶することが期待できる。
同時に、裁判所に対し公示催告を申立て、除権決定を取得する。これにより、除権決定以後に手形を善意で取得した者に対しても対抗できる。

設問(2)
甲としては、まず第一に所有権に基づく株券返還請求を行うべきである。
これに対しCからは、Dに売却した時点でDが株券を善意取得している旨反論してくる可能性がある。(会社法131条)
続いて、株券の売却に応じないよう依頼したにもかかわらず売却したことについて、債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。
これ対しCからは、売却に応じない依頼を承諾していないことによる債務不存在を主張される可能性がある。
3番目の手段として、株券が持ち込まれた際に真の権利者であるか事故情報を調査せずに応じたことにつき、証券会社としての注意義務を果たしていないことについて、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。
これに対しCとしては、株券の占有者は適法な所持人と推定される(会社法131条)。このことから、そのような高度な注意義務・調査義務はない旨反論される可能性がある。


要復習ポイント(自分用メモ)

・公示催告申立→除権決定
・会社法131条(権利の推定等)
 1.株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を
   適法に有するものと推定する。
 2.株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式について
   の権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過
   失があるときは、この限りでない。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case13を基に検討)


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