ケース

AはBに家庭用品1,000万円分を販売したが、代金未払いのままBは破産手続開始決定を受け、破産管財人Yが選任された。
Aの営業担当Xは、Bの代表取締役Pから、販売した家庭用品のほぼ全数が展示されたまま100店舗ほどに分散保管されているとの情報を得た。またPは、他の債権者Zが、破産手続開始決定直前に、Pの承諾を得て展示品の一部を代物弁済として持ち去っていることについても、詳細な説明は拒みながらも認めている。


問題

設問(1)
Xとして、実務上なにをすべきか、考えられる事項を答えよ。

設問(2)
法的整理手続きが開始していなかった場合に、実務上なにをすべきか、(1)と同様に答えよ。

設問(3)
Bが個人事業主の場合などで、破産後の就職による給与収入等により破産手続開始決定後に新たに財産を取得している場合、Aはこの財産から任意弁済を受けられるか。


回答

設問(1)
・書証等の確認
A商品販売時の契約書、納品書、受領書等伝票類が存在しているかどうかを確認する。
・B社資産状況の確認
B社の負債総額や現有資産を確認し、回収可能性を検討する。
・B社に対する債務の確認
相殺による回収可能性を検討するため、AのBに対する債務の有無を確認する。
・破産管財人との交渉
Yに対し、展示されている商品およびZに代物弁済として引き渡した商品について、書証等を用い動産売買の先取特権が成立する旨を主張し、保全の必要性を理解させる。
可能であれば、Yの承諾の上展示商品の引き上げを実施させてもらう。その際、破産管財人に対しては、破産後に売却し換価するよりもAにこれを返還し破産財団を縮小した方がメリットがあることを主張する。

設問(2)
・商品回収の交渉
売買契約の合意解除を行い、Bの承諾を得た上で、いち早く商品を回収する。
・代物弁済の交渉
現金はないことが予想されるので、他の在庫商品等による代物弁済に応じられないかを交渉する。
・担保権の設定交渉
Bと交渉し、他のB在庫商品について動産譲渡担保を設定させAによる占有を認めさせる交渉を行う。
・詐害行為取消権の行使
ZへのA商品の引き渡しについて、Zに対し詐害行為取消権に基づくBへの返還請求を行う。
・仮差押・仮処分の申立
特にBが協力的でない場合は、Bの財産散逸を防止すべく、Bの財産および在庫商品に対し仮差押及び仮処分を申し立てる。

設問(3)
任意弁済を受けることが可能である。
破産手続開始決定後の新得財産は、破産者が自由に処分できる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・破産管財人に保全の必要性を理解させ、破産管財人による換価
 処分が破産財団にデメリットを与える点を理解させる。
・他社商品に対する動産譲渡担保権の設定+占有までは検討でき
 ず。
・破産手続開始決定後の新得財産による任意弁済は可。


参考文献

・取引先の在庫商品から債権を回収する際のセオリー/書式
 (P199〜202)



(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case32を基に検討)


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