ケース

平成20年11月30日、XはYに対し、内装工事を3,400万円で発注した。
請負代金の支払期日は平成21年5月末日と定められ、Yはこの工事(第1工事)を4月までに完成させ、Xに引き渡した。
さらに、Yは追加で別の内装工事(第2工事)を5,500万円でXに発注し、こちらは7月10日までに引き渡すこととなっていた。
ところがYは、第1工事の代金支払期日の1週間前になって、「5月末日に払うことはできない。とりあえず3分の1を払うので、残りは8月〜10月の間に3分割して払う。」と提案してきた。
Yはこの提案を固辞したが、Xも譲らず、支払期日の5日前の5月26日に第2工事を一時中止し、第1工事の代金支払いをXに求めた。
ところがXはなおも分割弁済案を撤回しないため、Yは5月28日に第2工事の履行意思がないことを伝え、いつでも再開できる範囲で工事を撤収した。
そこでXは、Yに対し、第2工事の請負契約を解除することを伝え、第2工事をZに発注した。


問題

設問(1)
請負代金債権の時効期間は何年か。

設問(2)
Xは、Zに発注しなおさざるを得なくなった結果、
・Yの中途工事解体
・新たな図面作成
・Zへの発注代金
合計7,300万円の損害賠償をYに対して請求した。
Yはこれを支払わなければならないか。


回答

設問(1)
3年(民法170条)

設問(2)
支払う必要はない。
Xが第2工事を中止した理由は、Yが負う第1工事の代金支払い債務が不履行になっているためであるが、これは第2工事についてXが同時履行の抗弁を主張できる原因とならないのが原則である。
しかし、第1工事と同様Xが先履行義務を負い、さらに請負代金額も増加している第2工事について、第1工事の不履行の状況から再び不履行となる可能性が高いにも関わらず、Xに一方的に先履行を求めるのは公平に欠けるものであり、Xにはいわゆる不安の抗弁を認めるべきである。
Xは第1工事を期日どおり完了しており、また第2工事の中断についてもいつでも再開できる形で中止しつつYに協議を呼びかけており、信義則上も問題無く、Yが主張する損害賠償について帰責性は認められないと考える。


要復習ポイント(自分用メモ)

・請負代金債権の時効期間は3年
・不安の抗弁


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case35を基に検討)


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