ケース
 
自社工場の総務課から、次のような意見照会がきた。
法務担当として回答を検討せよ。


問題

設問(1)
夏休み期間中、工場のプールを地域住民に無料開放している。
ここで死亡事故が発生した場合、どのような責任を負うか。
管理における注意点はあるか。

設問(2)
工場のグラウンドを草野球チームに貸したところ、グラウンド外に飛んだ打球が歩行者にあたってケガをした。このような場合、工場に責任は発生するか。
管理における注意点はあるか。

設問(3)
工場に勤める剣道有段者が、体育館を利用して無料剣道教室を開きたいといっている。工場主催で開催をした場合、練習中の参加者のケガについて、どのような点に注意して運営すればよいか。


回答

設問(1)
無償ということで、有償の場合ほどの注意義務は発生しないと考えてよいが、施設の利用を認める者として、A工場には事故が生じないよう通常払うべき安全配慮義務を利用者に対して負う。
具体的には、施設の点検を行い、施設内における溺死・転倒等の危険を防止するための注意表示を掲示し、監視員をつけることが望ましい。

設問(2)
A工場が歩行者に対して負う責任として、土地工作物責任がある。グラウンドにフェンスがなかったり、高さが低い等の事実があれば、瑕疵と認められ、所有者として無過失責任を負うこととなる。
管理における注意点としては、このような瑕疵を修補しておくとともに、利用者から「グラウンド利用に際し第三者に損害を与えた場合、自己の責任と負担によりこれを解決し、A工場に損害、迷惑をかけません。」という主旨の一筆を確保しておくべきである。

設問(3)
無償ということで、有償の場合ほどの注意義務は発生しないと考えてよいが、A工場および講師である従業員には事故が生じないよう、通常払うべき安全配慮義務を利用者に対して負う。ここにおいて事故が発生した場合には、A工場は、債務不履行責任及び講師たる従業員の使用者責任を負う可能性がある。
運営における注意点としては、講師経験のある従業員を選任する、参加者の人数を限定し目を配れるようにする、練習時間を制限する等の安全配慮の徹底が望まれる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・土地工作物責任(民法717条)


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case18を基に検討)


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