ケース

大規模スーパーを営むXは、業績不振により平成20年12月6日に会社更生法の適用を申請し、同日、以下の通り裁判所の保全命令が発令された。

1.申立会社は、平成20年12月6日以前の原因に基づいて生じた一切の債権債務(従業員との雇用関係から生じたものを除く)を弁済してはならない。
2.申立会社は、店舗内にある商品・設備その他一切の財産について、所有権譲渡、担保権の設定、その他一切の処分行為をしてはならない。
(以下略)

Yは、Xと下記のような取引関係にあった。
。戮自社所有の在庫商品をXの店舗内に納入し、Xが自社の
 従業員を使用して、商品を販売する。
売上は日々Xに納めた上、毎月末に当月の売上金合計を集計し、
 そこから一定割合の手数料を差し引いて翌月20日にXからYに
 支払われる。

Yは上記保全命令により、平成20年12月6日以前の売上からYに支払われるべき金員の支払いが行われなくなると考え、損害拡大防止のため、X店舗内の商品の返還を要請することを検討している。


問題

設問(1)
Xが保全命令を理由にYの返還請求を拒んだところ、Yが「当社に所有権がある商品を返してもらえないのはおかしい」と主張している。
この場合、Xとしては、どのように反論をすべきか。

設問(2)
Yとして商品引き揚げを断行する際留意すべき点を挙げよ。

設問(3)
XとYが直接取引関係になく、中間業者Zが介在していた場合、Xとしては、Yの商品返還請求をとどまらせるために、どのような観点からの説得を行うべきか。


回答

設問(1)
保全命令において、「店舗内にある商品」の「一切の処分」が禁じられていることから、Yに所有権がある商品に対しても保全命令の効力が及ぶことを主張する。

設問(2)
Xの許可なく商品引き揚げを行うことは、住居不法侵入および窃盗等の犯罪となることから、Xより商品返還についての同意を書面で取り付けておくことが必要である。
なお、Xの同意があった場合でも、会社更生手続の中で詐害行為として取消を受ける可能性がある点注意を要する。

設問(3)
Yに商品返還をすることは、Yにとってメリットがないことを理解させる。
具体的には、YのZに対する売買代金債権は保全命令とは法的になんら関係がなく、Zに引き続き請求できるものであることを説明する。
加えて、保全命令を無視してYが商品を引き揚げれば、XがZに対し弁済する原資を生む商品がなくなるため、Zへの弁済がより困難となり、ひいてはZのYに対する弁済も困難になることを説明する。


要復習ポイント(自分用メモ)

・保全命令の文言を良く読み、対象物を特定することが大事。


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case37を基に検討)


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