ケース

化学製品メーカーXは、平成19年12月にプラント製造業者Yに新工場製造ライン建設の見積もりを依頼し、XY間で仕様、納期、契約金額等を合意し、Xは以下概要の注文書をYに発行、第1回の支払いがなされた。

                       平成20年2月1日
Y株式会社御中
                        X株式会社
                        代表取締役A

下記の通り、注文いたします。
             記
1)品名        化学製品製造ライン一式
2)仕様        別添仕様書のとおり
3)契約金額     840,000,000円
4)支払条件     平成20年2月10日 84,000,000
            検収後90日以内 756,000,000
5)納期        平成20年8月末日
6)納期遅延に対する損害賠償
            1週間につき契約金額の0.5%

Yは納期に従い平成20年8月1日にプラントをXの新工場に据付け、試運転を行い機械は正常に稼動したが、仕様書で要求される生産量は達成できなかった。
その後、3ヶ月に渡りプラントを調整するも、仕様書の要求生産量を5%下回る生産量となっている。

Xは、性能未達成を理由に残代金の支払いを拒み、平成20年12月、Xは契約解除と損害賠償を求める通告をYに出した。
Xは今もプラントを稼動させ、製造・販売を継続している。


問題

設問(1)
Xからの契約解除の通告は適法・有効といえるか。

設問(2)
YはXに対し、損害賠償にどの程度応じる義務があるか。


回答

設問(1)
適法・有効とは言えない。
本件請負契約において締結された注文書を見る限り、瑕疵担保責任に関する特約も解除に関する特約も設けられていないため、YはXに対し民法上の責任のみを負うこととなる。
この場合、プラントのような土地工作物については、瑕疵がありそれにより契約目的を達成できない場合であっても、Xは契約解除できない(民法635条但書)。

設問(2)
生産量につき仕様を5%下回った点につき、損害賠償に応じる義務がある。
この金額算定方法としては、
\源採未鯏初仕様の95%と想定したプラントの建設見積もり
 金額との差額
■%を増産するためのプラント改築費用
プラントの設備寿命期間における5%減産分の逸失利益
の3つが主に考えられるが、Yとしては,泙燭廊△了残衒法により交渉を行うべきである。
なお、納期遅延についてのみ注文書において損害賠償額を予定しているが、本事案においては8月1日に据付が完了し、Xによる製造・販売も開始されていることから、納期遅延の損害賠償に応じる義務はないと考える。


要復習ポイント(自分用メモ)

・前職時代にまったく同じようなトラブルに見舞われたことが
 あります・・・発注者側としてですが。
・民法635条但書 土地工作物の解除制限


参考文献

・請負契約 瑕疵担保責任の原則と土地工作物における例外の
 まとめ(P266〜)
 


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case20を基に検討)


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