ケース

Xの作業所内で、Xの従業員がクレーン車を使用して物を運んでいたところ、物が落下し、従業員数名が負傷した。


問題

設問(1)
Xは負傷した従業員に対してどのような責任を負うことになるか。

設問(2)
Xが負傷した従業員に対して賠償をした場合、Xは他者に対しどのような請求ができるか。


回答

設問(1)
まず第一に、不法行為責任としての使用者責任と運行供用者責任の成否を検討する必要がある。使用者責任については、クレーン車を操作する従業員の選任・監督に相当の注意をしたこと、または相当の注意をしても損害が生じたことを証明すれば、使用者責任は免責される。運行供用者責任に関しては、クレーン車が自動車にあたるか、Xが運行供用者にあたるか、クレーンの操作が運行にあたるかが問題となる。
次に、債務不履行責任としての安全配慮義務違反の有無を検討する。Xとしての安全管理の不備と損害との因果関係が立証されれば、損害賠償義務を負うこととなる。
最後に、労働基準法上の補償義務について検討する。クレーン車の操作が労働として行われていたものであれば、労働災害としてXの故意・過失・安全配慮義務の有無にかかわらず無過失責任を負うこととなる。

設問(2)
請求の可能性を検討しうる他者としては、クレーンを操作していた従業員、クレーン車の販売業者・製造業者が挙げられる。
クレーンを操作していた従業員に対しては、従業員に故意または過失が認められれば求償が可能である。クレーン車の販売業者に対しては、事故の原因がクレーン車の瑕疵に起因するものであれば、売買契約上の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求が可能と考えられる。製造業者に対しては、製造物責任の追及も検討しうる。


要復習ポイント(自分用メモ)

・自賠法3条 運行供用者責任


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case22を基に検討)


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