ケース

メーカーAと商社Bは20年にわたる取引関係にあったが、契約書はとくに作成していなかった。
AはBからC社製の部品Xを購入したが、納期の3日前、Bの倉庫が隣接する工場からの延焼により被害を受け、調達してあった当該部品Xも焼失してしまった。
Bでは納期までに部品を納入することは不可能とのことであったので、Aは他の商社をあたり、D社製の部品Yを調達した。


問題

設問(1)
Aは債務不履行責任に基づき損害賠償請求をしたが、Bはこれを拒絶している。A・B双方の主張の根拠を上げ、その妥当性を述べよ。

設問(2)
Bに債務不履行責任が成立することを前提として、Aが部品の調達に失敗したことにより客先に製品を納入することができず、当該客先に対し損害賠償をせざるを得なくなった場合、この賠償額をBに請求できるかを検討せよ。


回答

設問(1)
A社の債権を制限種類債権と捉えるか、種類債権と捉えるかにより、責任が異なる。
Bの給付の内容がB倉庫内の部品に限定されていた場合は、制限種類債権と考えられ、Bの債務は履行不能となる。Aは履行不能となったことにつき損害賠償請求をするわけであるが、Bに責任のない第三者の失火による部品の焼失であるので、Bは損害賠償義務を負わないと考える。
これに対し、Bの給付の内容をB倉庫内の部品に限定しない種類債権と捉えれば、他から入手が可能である限りBの債務は履行不能とならず、履行遅滞の問題となる。この場合履行遅滞の損害賠償の算定根拠としては、Aの部品調達コスト、部品Yと部品Xの代金の差額などが考えられる。

設問(2)
Aが客先に支払った損害賠償額は転売利益を含んでおり、特別損害にあたる。
Aが部品Xを用いて客先への製品を製造すること、および部品Xが納入されないことで製造が立ち行かなくなることをBとして予見しまたは予見しえたのであれば、Aはこの特別損害についても損害賠償を請求できると考える。


要復習ポイント(自分用メモ)

・種類債権・・・履行不能
 制限種類債権・・・履行遅滞


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case23を基に検討)


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