最近何かと切れ味のあるエントリが続く企業法務についてあれこれの雑記のkataさんが、tsudaる=twitterで講演やシンポジウムを中継することについて、著作権法の観点から問題提起をされています。

"tsudaる"の著作権法上の留意点(企業法務についてあれこれの雑記)
中継の対象は、ほぼ「思想又は感情を創作的に表現した」「学術の範囲に属する」ものであるため、言語の著作物に該当するケースがほとんどだと思います。
そして、中継行為は、言ってみれば要約(翻案)+送信可能化なので、著作権者の許諾を受けている場合や、著作権の制限に該当する場合を除いて、中継行為が翻案権侵害・送信可能化権侵害と評価される可能性は非常に高いはずです。
前例が無い以上、中継をする場合は、著作権者(主催者ではなく)に必ず中継の事前承諾を得るべきです、と。

著作権法の解釈論&理想的な解決策としては私もkataさんと同意見です。コンプラや法務に携わる者の頭の構造として、曖昧な状態で著作物を利用する行為を見かけると、どうしても著作者(権利者)の視点から利用対価請求権を行使できるかどうかを即座に検討し、著作権法上それが行使されうるとなると、(悪意なく)反射的にそのリスクを指摘し、ヘッジのために権利者からの許諾をとることをオススメせざるを得ないわけで。これはもう法務パーソンの性分ですね(笑)。

加えて、閉鎖された空間に参加者を集めて行う講演やシンポジウムは、(終了後にある程度その周辺に伝達されることを想定しているとはいえ)その閉鎖された空間にいる参加者のみが聞くことを前提として喋るわけで、もっとうるさいことを言えば、著作者人格権上の公表権や同一性保持権の問題もでてくるかもしれないとビビってみたり。

とはいえ、その一方で、講演やシンポジウムをやる側としても、何らかの主義主張があり、それを一人でも多くの人に伝えたいと思って発言をしているはずでしょうから、実際にtsudaることについて著作権を振りかざしてガミガミ言いたくなるシチュエーションの方が少ないとも思われ・・・

と考えていくと、堂々巡りで答えがでないので、以下tsudaっても著作権侵害とならない基本的なガイドラインを、現実的な線でこう引きませんか?という大胆なご提案。

“講演・シンポジウムの主催者および講演者が「会場内撮影・録音禁止」の意思表示をしていない限り、tsudaることについても黙示の同意があったと推定する。”

参加者(著作物の利用者)側はあれこれ理屈を作っていかにして著作権侵害にならないかに傾いた主張になりがちなので、講演・シンポジウムに出演される側の方の意見もお聞きしたいですね。