5/29から正式サービスがスタートした、リクルートのTownMarket(タウンマーケット)を試してみましたが、これが日本の新聞の寿命を確実に縮めるメディアになることは間違いないことを確信しました。

幸せ生活便 Town Market―リクルートの“0円”無料宅配サービス
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「奥様」という抵抗勢力の攻略

私は2001年から新聞を購読していません。日経新聞さえもです。
【本】日本経済新聞は信用できるか(企業法務マンサバイバル)
まだ新聞ってとってますか?(企業法務マンサバイバル)

最近はそんな私のような人も珍しくなく、新聞を購読をしない人や、購読していた人がやめるケースがどんどん増えているという話は、ネットのニュースだけでなく、自分の周りからも見聞きします。

しかし、実際に購読している新聞を辞めるときは、自分自身の決断だけでは辞められなかったりするのです。実は、新聞購読を辞める時の最後の抵抗勢力は家族、その中でも特に“奥様”だったりします。

奥様が抵抗する理由は2つ。
1)テレビ欄が読めなくなる。
2)地元のスーパーなどの「チラシ」が手に入らなくなる
この2つがなくなるのは、特に専業主婦にとっては致命的です。

1)のテレビ欄については、地デジ等のEPG化が代替サービスとして浸透したものの、奥様のマインドシェアを大きく占める2)の地元チラシの代わりがなかなか登場しないことで、新聞の崖っぷちの価値が守られていたわけですが、

リクルートは、静かにその崖を崩すことに踏み込んだのです。

1週間分のテレビ欄に加えて、奥様向けのヒットランキングや芸能ニュース等、「R25」「L25」的要素も詰め込んだ新聞型メディアに、住んでいる街の広告チラシを同封し、週1回金曜日にまとめてクロネコメール便で配達、しかも配送料ふくめてすべて無料という、恐ろしいメディアを創刊して。


「新聞の息の根を止める」というリクルートの本気

このメディアの創刊自体はだいぶ前に聞いていたものの、勘の悪い私はリクルートが何を目指しているのかも見当がつきませんでした。

最近同社がプレサービスを行った沿線別無料情報誌の「EX:JAPON(エクスプレスジャポン)」が失敗したっぽいだけに、家庭に直接宅配なんてコスト倒れにならなきゃいいけど・・・と遠巻きにみていたのですが、正式サービス開始と共に5/29から自分の家にも配達された実物を手にさわり、読んでみて、遅まきながら「これはネットでは代替しにくい新聞が持っていた最後の機能を取り込んで、その息の根を止めようとしているんだ」ということと、それに懸けるリクルートの本気度合いをようやく理解しました。

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きっと今は大赤字の事業なのでしょうが、地域密着の情報を無料で宅配してくれるという利便性に読者が集まり、読者が増えることで広告主からの信頼を得られるようになったとき、損益分岐点を一気に突き抜けていく姿が目に浮かびます。

アメリカでは、新聞広告の売上が前年比40%ダウンを超える勢いと聞きます。
日本では、日本特有の全国紙を2紙取っているのが普通のような購読率の高さに支えられ、(それを1紙に減らす動きは見えても)新聞や新聞広告がすぐになくなるまでの危機感はなかったのかもしれませんが、

このTownMarket(タウンマーケット)の登場によって、日本の新聞の寿命も5年は縮まったであろうことを確信しました。

ヤマト運輸とのタッグで一般家庭への配送ルートを抑えはじめたという意味では、新聞と新聞専売所という宅配網によって支配されてきた地域広告に加えて、家庭向けダイレクトメールのプラットフォームとなることをも狙っているのかもしれません。