銀行員でもない自分に果たして役立つかなーと疑心暗鬼になりながらも、
銀行の法務部長が一般行員らの素朴な疑問に答える形式で解説しています。
この一言にそそられて購入。

銀行の法律知識 第2版(日経文庫)



カネを預ける・投資する・動かす法律を体系的に学べる本

中身は以下8つの銀行業務ごとに章にわかれていまして、

1)預金業務
2)金融商品販売業務
3)為替業務
4)与信業務
5)債権保全回収業務
6)その他の付随業務(ビジネスマッチング・M&A)
7)投資業務
8)銀行代理業

読む前から4)の与信業務、5)の債権保全回収業務のあたりは役立ちそうな予感がしていて、実際読んでみると民法の保証制度の改正の話とか、銀行が破産者のに対する債務と預金を相殺できるかとか、実践に役立ちそうなネタもゴロゴロ転がっていましたが、それ以外のところがもっと面白かったりして。

例えば、「ペイオフ全面解禁で預金は1,000万円以上は保護されないのに対し、保護預かりにしたり貸金庫に預けると全額返ってくるのはなぜですか?」という質問に対し、
預金の法的性質は、民法の消費寄託に当たるので、「預けたお金」というより「貸したお金」というイメージに近い。一方保護預かりは純粋な寄託なので文字通り「預ける」というイメージ、貸し金庫は賃貸借に当たるので「金庫を借りる」というイメージなんだ。おなじ「預ける」のでも、法律的に見れば、この三つは全然違う。
とか、

「電子マネーは現金を入金した所と離れたところで使うので為替取引に該当するのではないかと思うのですが?」という質問に対しては、
エディやスイカなどの電子マネーカードは、いわゆるプリペイドカードに該当し、プリペイドカード法の適用を受けるので、為替取引には該当しないと考えられているのだ。
プリペイドカード法上では、プリペイドカード、すなわち、「前払式証票」とは、カード上に記載されまたは電磁的方法により記録されている金額に応ずる対価を得て発行される証票等、と定義されているので、(中略)カード上の電子チップに入金残高が記録されていない電子マネーカードは、プリペイドカード法の適用は受けない。
といった具合に、さらっと、小難しくならない程度に「銀行業務」を「法律行為」に分解して納得させてくれます。

オンライン決済で簡単にカネを扱えるようになった時代にあっても、あらためてカネを預ける・投資する・動かすのってこんなにもたくさんの法律が関わって、自由にはできないんだなあ、ということが良く分かって興味深いと思います。
もっと厳しい言い方をあえてすれば、カネを扱わないビジネスパーソンなんていないわけで、興味のレベルでとどめるのではなく、ビジネスパーソン全員が法律知識としてきちんと知っておくべきなのでしょう。

私はこういった知識を断片的に時間をかけて学んできましたが、銀行業務という題材を通じて体系的に学べると言う点で、効率のいい本と言えます。