今度、とある案件で取引における不正を否定している相手方のウソを暴くために、この制度を使おうかなと思ってまして。

弁護士会照会制度―活用マニュアルと事例集



完全任意かと思いきや、意外と強力な報告請求権限あり

訴訟に限らず、紛争の早期解決には、揺るぎない事実を突き止めて相手方に突きつけるのが一番。

しかしながら、民事の紛争において強制力を持った警察のような公権力が調査に協力してくれるわけもなく、一方で個人情報保護法など情報を守る義務を明文化する法律はどんどん制定されて・・・と、いざ紛争になってみると、事実を集めて客観的に証明するということがこんなにも大変なんだということに、愕然とさせられることばかり。

そんな中で、唯一といってもいいかもしれない合法的情報収集手法が、この「弁護士会照会制度」。

弁護士法 第23条の2(報告の請求)
  弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

条文を読んでいただければお分かりかと思いますが、弁護士の申し出に基づく弁護士会の審査のもと、弁護士会の名義をもって調査対象に情報公開を求めるという手続になっています。

弁護士法にはこの条文に対応する罰則が規定されていないため、この請求に対して照会先が報告するのは任意なのか義務なのかという議論もあるものの、近時の裁判例では「法律上、報告する公的な義務を負う」というものが多数出ているほか(大阪高判平成19年1月30日ほか)、これに違反した者に対し実際に損害賠償を認めた裁判例も出てきている(京都地判平成19年1月24日)とのこと。

また、個人情報保護法に基づき各省が制定する個人情報の保護に関するガイドラインにおいても、弁護士法第23条に基づく照会は個人情報保護法第16条3項1号及び第23条1項1号の「法令に基づく場合」に該当し、本人の同意を得ずに回答することに問題は無い旨言及するものが増えてきています。

実際、この本に掲載されている実際の応答事例集にも、以前は金融機関などは口座番号等の情報はこの制度で照会をかけても回答を拒絶していたのが、ヤミ金融事件の多発などを契機に回答する姿勢に変わりつつあることが紹介されています。

ということで、あまり知られていないけれど、結構強力な事実調査手法に成長しつつある弁護士会照会制度。

不正をしていることは分かっているのに、相手がそれを認めずらちが明かないといったシチュエーションにお悩みの方は、弁護士とも相談の上利用を検討されてみては。