私のような企業実務で著作権法を扱う者は、細かい論点を詳しく知っていることよりも、広く浅く、あらゆるリーガルリスクについてまず「アンテナが立つ」ようにすることが求められます。

その点において、この本のように読みやすい言葉で論点を総ナメにしてくれる本を時々読み直しては、頭の中の情報をアップデートしておくことが必要なんだと思います。例えるなら、ウイルスチェックソフトがウイルス定義ファイルを更新してセキュリティを保っているように。 

著作権が明解になる10章


著作権法で言えば、今年の改正で違法な自動公衆送信を受信して録音・録画することが私的使用の複製にあたらない、つまり違法になることが明確になりました(30条1項3号)が、こういうのって、ニュースで騒いでいるときには関心を持っていても、法律の中で体系だてておさらいしておかないと、いつの間にか記憶から抜けてしまいがちですよね。

また、今年の改正とは関係ないところでも、著作者人格権上問題となる「公表」のタイミングについて、実際には公衆送信されていない送信可能化の段階でも公表とみなされる(4条2項)とかっていうあたりも、分厚い基本書の中だと埋もれて知らないままになりがちな点だったりするのは、私だけではないはず。

その他、
・リバースエンジニアリング
・電子データの改変と同一性保護権
・フェアユース
・保護期間延長議論
・非親告罪化
といった、著作権法の今後にかかわるキーワードについて脚注コラムで要所を抑えてくれているところも、法務パーソンにとってはうれしい配慮なのではと思います。