広告表示に関するコンプライアンス的チェックポイントについて簡単にまとめていくシリーズ第三弾。

今回は、フリーライドについて。

他人が築き上げた著名表示(社名・商品・コピーなど)を勝手に用いるなどして、営業上の信用や名声(グッドウィル)に便乗することを、フリーライドといいます。日本語でいうと「著名表示の冒用」です。

商標権で保護できるのでは?という疑問もあると思いますが、登録を受けていない商品名などは保護できない点、又、商標権は同一又は類似の商品又はサービス以外には権利が及ばないといった弱点があります。
こういった商標権の守備範囲外の部分をカバーするべく、不正競争防止法2条1項2号が、著名な商品等表示(商品又は営業の表示)を他人が自分の商品等の表示として使うことを禁止しています。

広告表示の問題というよりも、どちらかと言えば広告の対象がこんな事例に該当しないかという視点で、以下具体的事例を眺めていただければと思います。


1)社名
信用力のある他社の商号を、自社名や商品・サービス名に取り込んでしまうというもの。
実際の事件となったものもたくさんありますが、「ソニー」がサラ金に使用された神田ソニー事件(東京地判昭59.3.12)や、西日本ディズニー株式会社が「DISNEY」の看板でパチンコ店を開業したディズニー事件が有名なところでしょうか。

2)ブランド名
事例としては一番見つかるのがこの事例。
「シャネル」の名前を勝手に店舗に使った事例は枚挙に暇がありません(東京地判平6年4月27日中目黒スナックシャネル事件など)。また、商品名では、機動戦士ガンダムに登場するモビルスーツ「エルメス」がプラモデル化された際、馬具・革製品で著名なHERMESのフリーライドを避けるため、「ララァ・スン専用モビルアーマー」の商品名で販売されたのは、ガンダムファンには知られた話とのこと。

3)ドメイン名
著名表示をドメイン名として冒用する事件は一時期社会問題にもなりました。日本ではJ-PHONE事件(東京地判平13年4月24日)とJACCS事件(富山地判平12年12月6日)が有名。こういった事件を受けて、不競法の平成13年改正によってドメイン名の不正取得・使用行為が不正競争行為の類型として法律上も明確にされました。

4)キャッチコピー
事例は少ないですが、以前もご紹介したサーティーワンアイスクリームの『We make people happy』とコールドストーンクリーマリーの『make people happy』の争いなんかが典型例。ちなみにあの訴訟は請求棄却で終わったようですけど。

5)看板のデザイン
ちょっと変わり種なところで、動くカニの看板で有名なかに道楽の看板を真似した同業者に対し、看板の使用禁止と損害賠償が認められた裁判例があります(大阪地裁昭62年5月27日判決)。


このシリーズ、ニーズがあるのかどうか怪しい感じですが、次回があればNo.1表記の問題を取り上げてみようかと思ってます。