このエントリで伝えたいこと

  • 厚生労働省が行おうとしている違法派遣の取り締まりの真の被害者は、派遣元企業ではなく、性急な対応を迫られることになる派遣先企業であり、派遣社員だ。

法改正もまだなのに、締め付けがはじまった

2/9付で厚労省から配信されたメルマガの2行目に、読み捨てならない記事が。

期間制限を免れるために専門26業務と称した違法派遣への厳正な対応(専門26業務派遣適正化プラン)

上記サイトにアップされているPDFの記事を要約すると、
  • 専門26業務であるかのように偽装して1年を超えて違法に派遣している企業がないか、3月〜4月にかけて派遣元を対象に集中的な指導監督(行政処分含む)を実施するよ。
  • 特に、単なる一般事務の派遣社員を専門26業務である「事務用機器操作」「ファイリング」であるかのように誤魔化している事例がないか、徹底的にチェックするから、そのつもりで。
というもの。

特に5号業務「事務用機器操作」と8号業務「ファイリング」の解釈については、「会社から言われた指示通り仕事をするだけであれば専門26業務ではない」と断言するなど、従前よりも厳しめの解釈基準となっているこの通達。

年末に開かれた労働政策審議会で、専門26職種以外の登録型派遣を原則禁止とする方向でまとまったのを受け、将来事務派遣が専門26業種であると解釈されて骨抜きにならないよう、多くの企業が派遣契約の更新を迎えるこの年度末を狙って見せしめたいという思惑がミエミエです。

しかし、労政審の答申が出たとは言え、正式な労働者派遣法の改正決議がされているわけでもないタイミングでのこの締め付け。
派遣法改正案でさえ、受入れ企業の実務に配慮して3〜5年の移行措置期間をつけようというのに、このやり方は少し乱暴に過ぎる気がします。
 

本当に困るのは派遣元ではなく派遣先、そして派遣社員だ

厚生労働省の指導・行政処分そのものは派遣元に対してなされるため、一見派遣先企業へはそれほど影響は出ないように錯覚されるかもしれません。
しかし、本当にこの問題を突きつけられることになるのは派遣元ではなく派遣先企業であることに、お気づきでしょうか。

おそらく来週以降、このような不躾な文書が派遣元から派遣先企業宛てに送りつけられることになると思います。

前略 余寒の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、ありがたく厚く御礼申し上げます。

さて、既にご承知のことと存じますが、政府による労働者派遣法改正検討の流れを受けて、厚生労働省より「期間制限を免れるために専門26業務と称した違法派遣への厳正な対応(専門業務派遣適正化プラン)」が本年2月8日付発表されております。

これによりますと、実際は専門26業務とはみなされない業務を派遣社員に行わせながら、これに名を借りて1年を超える違法派遣を行う派遣元企業に対し、行政処分を含めた厳正な指導監督がなされるほか、派遣先となりうる団体へも、改めて専門26業務の適正な運用について要請がなされるとのことでございます。

貴社におかれましては、弊社とのご契約内容を十分ご確認・遵守いただき弊社人材派遣サービスをご利用下さっているものと承知しておりますが、この機会に改めて弊社との契約内容および労働者派遣法上の義務をご確認いただきたく、ご連絡申し上げます。

ご不明な点がございましたら、弊社営業担当までお問い合わせください。
                             敬具

単純作業性を否定できない派遣事務員を受け入れていた企業の立場としては、この文書を送りつけてきた派遣会社に文句をつけたくなるのかもしれませんが、厚生労働省からあんな通達が出た以上、派遣会社にクレームしたところでどうなるものでもないわけで。

本当にそれが欠かせない業務であれば、直接雇用を検討せざるを得なくなったわけです。しかもこのただでさえ人事が忙しい時期に・・・。こんな急なタイミングで法改正という大義名分もないうちに直接雇用せよと突きつけられても、そんな大英断を企業として経営判断できるはずもなく、これをきっかけに契約終了となってしまう派遣社員の方々も少なくないのでは。

そのような重みのある指導を、何の前触れもなく行おうとする神経を疑わざるを得ません。