日ごろ弁護士を活用する立場の法務パーソンとしては、今週の東洋経済の特集「弁護士超活用法」を読まないわけには。

週刊 東洋経済 2010年 5/22号 [雑誌]


記事の内容は、活用法というよりは、
・弁護士という職業も、人数増えて資格を持ってるだけじゃ食えなく
 なってさあ大変。いわんやロースクール生をや。
・そんな状況だから、弁護士のサービスもフィーも百花繚乱。今まで
 以上に交渉する余地や、手軽に利用できるチャンスがあるよ。
というほとんどがどこかで聞いたことのある話。目新しさはあまりなかったように思いましたが、P45〜の「『弁護士社員』は世界の常識」だけは、少し「新しい風」を感じることができた記事でした。

三菱商事、パナソニック、日本GE、マイクロソフトの4社の法務部の企業内弁護士をインタビューし、結論として「日本企業でも弁護士資格を持つ法務部員を置くニーズは高まっている」ことを述べている記事で、まあそのクラスのエスタブリッシュな企業でしたらそれは必要でしょうに・・・というツッコミは入れたいところなんですが、私が「新しい風」と思ったのは、そのインタビューに出てくる企業内弁護士の皆さんの満足度・働きがいが、想像以上に高そうだという点。以下記事に登場する社内弁護士の皆さんの声を引用。

「事務所のときは知恵を出すだけ。具体的な行動方針を練り、社内の各部署に徹底させるところまでをやるのが社内弁護士。そこにやりがいを感じている。」
「単独で働いていたときと違い、チームを組んで一つの仕事に取り組めるのが楽しい。」
「取締役会から日常的な会議まで、あらゆる場で意見を求められ、専門性と判断力が問われるのでやりがいがある。」

このブログで私は、企業の立場から弁護士をうまく使うという視点においては有資格者をあえて社内に置かないほうがむしろいいし、採用する人数にもおのずと限界がある、ということを主張してきました。

しかし、弁護士をうまく使いたいという企業の欲求と関係なく、弁護士としての新しい働きがいを求めて、先生方が自ら企業に就職される道を選ぶことまでを、否定するものではありません。同等の収入は望めないにしても、これまで企業の中で法務パーソンという特殊な人種がある種独占してきた“専門性と論理的思考力を持つ社員として仲間から常に頼られる喜び”は、働きがいとして何ものにも代え難いものであることは、私たちも実感しているところなのですから。

ただし、有資格法務パーソンを目指すにしては払う犠牲・リスクが大きすぎるというのが、日本の司法制度改革の一番の問題点。この点についても以前のエントリで申し上げた通り、ロースクールを卒業した方には30%と言わず、原則全員に資格を付与するという考え方をとるべきだと思っています。