今のマンションにはだいぶ長いこと住んで、もうそろそろ何回目かの契約更新の時期を迎えます。

・・・賃貸借契約の更新といえば、そう、更新料問題です。

私も法務パーソンの端くれ、更新料無効判決のニュースには敏感です。
年末にも最高裁判決が出るのではと言われているこの問題、現状をまとめたものを見てみると、現在のところ高裁では3勝1敗で無効判決が勝っている状況。

s-IMG_0866週刊東洋経済6/19号より


私の住まいは分譲マンションのオーナーが賃貸に出しているパターンなので、契約管理はその大手マンションデベロッパーの子会社が担当しています。今回も、そのデベロッパー子会社から更新手続きの封書が届いたのですが、内容はこれまでと一言一句変わらず、更新料を◯か月分しらっと請求するもの。更新料無効判決も何のそのです。

おお〜そうきたか、ということで、しばらく交渉のオプションを整理した上で、連絡先に指定されている大手デベロッパー子会社に電話をしました。

私:「更新料の請求書をいただきましたけど、御社はこのご時世でもなお更新料を請求されるというスタンスなんですか?このご時世というのは、つまり、更新料無効判決がいくつも出ている中で、ということを申し上げていますが。」

管理会社:「いえ、弊社がというわけではありません。更新料のご請求はオーナー様のご意向なので。」

私:「いや、オーナーだけの意向じゃないでしょう。更新料のうち何%かは、管理会社として契約更新手続きにたずさわる御社にも取り分がありますよね。」

管理会社:「いえ、オーナー様の意向ですので。」

私:「そうですか、それなら私からオーナー様へ2つのオファーをさせて頂きたいと思いますのでお伝え下さい。1)更新料をゼロにし、家賃を◯千円上げる、2)更新料を支払い、家賃を◯千円下げる。私の希望はあくまで1)ですが、もし無理なのであれば、他の物件を含めて残る2)の選択肢を取るかどうか、検討させていただきます。」

管理会社:「わかりました。お住まいの地域の家賃水準もお調べした上で、オーナーに検討していただきます。」

こんな感じのやりとりで7分ほどの交渉。
更新手続きを代行する管理会社に更新料の取り分がない(更新手続きをタダで代行する)というのは私の常識ではにわかには信じがたいのですが、ハッタリだとしたら電話の担当者さんは大したものです。

さて、私が提示した2つのオプションのうちの1)について、更新料ゼロを家賃値上げとバーターにした点はお人好しのように見えるかもしれません。しかし、これがよくよく考えた末の私なりの更新料無効判決に対する見解なのだと思っています。つまり、慣習に甘えた説明不十分な(消費者契約法的には違法な)請求であるという誹りはあれど、オーナーの立場で考えれば更新料はやはり家賃と同様の“収益源”。更新料という形では払わないにしても、2年分の賃料の一部を一括前払いするリスク料を割り引いた金額は、(家賃相場が下落していない場合には)家賃に乗せて支払うのがフェアなんだろうな、という見解です。

いくら上乗せするか、ここは互いのリスク料の見積り次第なわけですが、私の場合は結構長いこと住んで滞納もない優良賃借人を自負していますので、オーナーサイドは低く見積もってくれるのではないかと期待してますし、私もこれまでオーナーにはよくして頂いた御礼を込めて、合理的な金額を提示させていただいたつもりです。
 
ところで、この大手デベロッパー管理子会社さん、これまでの裁判では更新料についての説明不足で消費者契約法違反を問われているという現状がある中で、更新料の意味・内容・内訳について説明文書も何も無いって言うのもどうなんでしょうか。こんなノーガードな請求の仕方では、今はおとなしい賃借人からしらっと更新料を回収できればいいとしても、年末に最高裁で全面無効判決がでた場合には更新料の返還訴訟にまったく対抗できなくなるのでは?と思うのですが。不動産に疎い私が生意気を申し上げるのもなんですが、果たして法務は機能しているのかとちょっと心配になりましたよ・・・。